第15話 もえもえなレストラン
15話目投稿しました!
今回は忙しくて短めになってしまいました!
明日も投稿しようと思うのですが時間は未定です!
勇者、彼も勇者に選ばれたのか?
彼は他の冒険者を引き連れ事件の解決に向かった。
私はその光景を見て、手からなにか滴る感覚がし、広げて見てみると、血が出ていた。
気付かぬ内に拳を握り締めていたのか。
私は弱い、自分が強ければ彼らについていき、事件の解決に貢献できたというのに。
勇者なら勇者なら彼のように……
悔しさで吐き気がする、もっと強くならないと。
「勇者? どうした?」
「いえ、何でもありません」
デルシオンさんは心配そうにこちらを見つめている。
羨ましい、私も彼のように強くなりたい。
私達は門へと向かい、そこで剣を受け取った。
お腹も空いたので依頼者の家に向かう道中で手頃な料理店に入ろうという話になり依頼者の家へと向かう。
「ここなんてどうでしょう?」
「そうだな、ここにするか」
そしていかにもという見た目をしたレストランを見つけたので入ってみる。
「いらっしゃいませご主人様!」
フリフリのスカートにリボンの付いた制服を着た店員が出てきて席に案内してくれる。
なんて低姿勢な店員なんだろう、客に対してご主人様とは。
お客様は神様とは聞いた事があるが異世界ではご主人様なのか。
メニューは真っ白な動物の革の裏に板で伸ばして貼り、それにデフォルメされた料理の絵が描いてあるもので作られていて、とても可愛らしい。
……えらくファンシーで頭が痛くなるような商品名ばかりだ。
〜ドキドキワクワク宝箱オムレツ〜
〜もえもえ注入ラッキーカレー〜
〜恋の芽生えのラブラブドリンク〜
〜森の妖精さんシャーベット〜
一部だけ読み、メニューを閉じる。
私の住んでいた日本ではこんな商品名は見たことが無かった。
流石は異世界といったところだろうか?
チラッと目の前に座るデルシオンさんの方を見てみると、
「ッ……これは?」
震えながらメニューを持ち、凝視している。
私が視線を向けていた事に気が付いたのか私の方を見ると、
「ち、ちがう! 知らなかったんだ! すまない! いや、すまないじゃないけどすまない!」
と弁解するような発言をした。
「? どうかしましたか?」
何故だろう? 異世界なら普通ではないのか?
「……いや、なんでもない……注文決まったか?」
「はい、オムレツにしようかと」
「……俺もそうするか、すみませーん!」
彼は店員さんを呼ぶ、
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「えっと……ど……オムレツ2つで」
注文し終え、待っていると、
「そこで俺は見たんだよ! 巨大な蜘蛛を!!」
「へぇ〜すごいニャー、よく生きて帰れたニャー?」
「いやぁ〜! あっはっは! 運がいいものだなぁ」
「まずよくあの森に行こうとおもったニャ? ニャーは怖くて無理ニャ」
「ランク4冒険者のパーティーに参加させてもらってね、そこで色々としたわけさ」
巨大な蜘蛛、それが事件の正体なのだろうか。
「アラクネイヤ」
「? アラクネイヤ?」
「蜘蛛といったらそいつしか思い浮かばない。身体の一部を人間のように変化させて肉食の魔獣や人間達を巣におびき寄せるという生物だ。だがそいつはそんなには強くない、一体なんなんだ?」
そんな生物がいるのか……
色々とその生物について調べてみた方が良さそうだ。
「食べ終わったらあの男に話を聴きに行くか」
「そうですね」
私達は少しした後、オムレツをかきこむ。
流石は宝箱、私の中身は魚だろうか? にしてはやけに泥臭い臭いがする。
デルシオンさんの方を見れば、あちらも涙目で食べていたので、美味しいものでは無かったのだろう。