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3話『戦乱』

空が嘶いた。


地が慟哭した。


生命が叫びをあげる。


────圧倒的、恐怖の前に。





「…何……あれ」


息を吞む。突如として現れた()()()()()

本来存在を許されない其れは、徐々に幅を広げていく。

何とも不可解な現象に、最初は固まっていた人たち(プレイヤー)も動揺の声を漏らし始める。


「ひ、ヒナキ?なんだよ、あれ?」


「わかんない、けど、何この感じ。嫌だ」


何かはわからない、分からないが、”あれに関わってはいけない”という絶対的本能が自分に訴えかけてきているのが分かった。


────だから、もっと早く言えばよかった。こんなことになるなんて。



「なぁんだ、これ??」


一人の青年が、そういって三日月に近づいた。


「…!!駄目だ!其れに触っちゃ!!」


遅い。遅かった。青年は三日月に触れると同時、此方を振り返った。

瞬間。触れたところから波紋のように空気が揺れた。音はない。振動もない。ただそこに揺れが生じて、段々と収まっていく。


なんだ、大丈夫だっ────────


「ぎゃぁああああああああああ!!!!!!」


劈くような青年の悲鳴が聞こえた。そう、()()()()()()()()()()()()に取り込まれるようにして。



助けに行かなくては、と思うのに、圧倒的恐怖の前に体はぴくりとも動かない。やがてその青年は三日月に取り込まれ、跡形もなくこの世を去った。


どくん、どくん、と自分の心臓が脈動するのが分かる。


否、自分ではない。脈動してるのは…この世界……!?

此の世界を構成している(コア)。それが脈動している。新たなものを生み出すように──────。


「ッ……防御領域(プロテクト)!」

ごう、と風が吹いた。ただの風ではない、と認識するまでに大分時間がかかった。ほぼ反射で領域(テリトリー)を展開させたせいか頬に切り傷ができている。勿論痛みは現実より少ない。が、展開させていないものといえば、首が切り落とされていたり致命傷を負ってリス地に戻っているであろう。


「はっ、タクミ!」


慌てて後方を振り返る。反射で、といったものの一応領域(テリトリー)範囲にはいれていたのだが………。


「俺は無事だわ。さんきゅ、な!」


にかっと笑う卓海を見て一安心を果たす。如何やら(ダメージ)は追っていないようだった。


「────それより、なんだアレ」


無数の手は青年を取り込んだ後、三日月からのそりと這い出てきた。


容貌。巨大な黒い繭、そこから生える黒い無数の蠢く手。それが浮遊しているとしか言いようのない膨大な存在感。


────”敵”だ────


こいつは間違いなく敵だ。目的はわからないけど、間違いなく。

今いるのはおそらくハイレベルプレイヤー。一回死んだ人たちも、もう少しすれば戻ってくるだろう。まずは相手の力量を……見るまでも無いか。


すぅっと息を吸って薙刀を顕現させる。



────さぁ、戦争だ。



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