カタンカタン
この作品は牧田紗矢乃さん主催、第四回・文章×絵企画の投稿作品です。
この作品は、檸檬 絵郎さんのイラストを元に執筆しました。この場を借りて、御礼申し上げます。
檸檬 絵郎さん:https://22105.mitemin.net/
電車、どこからか発ち、どこかへ連れて行ってくれる装置。
私は、昔から電車が好きだった。
乗り込む人、出ていく人。
話す人、黙る人、外を見る人、寝ている人。
今、目の前の人も、どこかの高校生だろうか。
部活で使うような緑色をしたスポーツバックを足元に、電車の揺れに合わせて体が動いている。
しかし、その目はつむっている。
ただ、眠っているようだ。
彼女がどこから来たのかは知らない。
入ってきたときにはすでに乗り込んで、眠っていたからだ。
しかし、どこへ行くか、ということも知らない。
同じ駅で降りるとは限らないからだ。
だが、電車はそのすべてを包んで走り続ける。
次の駅、次の駅へと続けて。