act7 帝都へ行くが怪しい店に連れ込まれる
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走り出してから一時間くらい経過した所で前に大きな街が見えた。奥の方には大きい城が建っている。
(あれが帝都すか?予想以上に大きいですね)
(そのはずだ、私も見るのは初めてだよ)
左に見える川を街に張り巡らせ、街全体を塀で囲い水路で塀を更に囲ってるという奴だ。
塀の高さも8m程ある為中に入るには門を通るしかないみたいだ。
門の前には人が並んでいるのが見える。
(私達も並ぼうか、帝都は比較的種族差別も少なく警備もしっかりしているから変装しないでも怪しまれないはずだからね)
左手でOKサインを出す。
門の前でバイクを降り引いて列に並び、30分くらいたったとこで前の人が門へと通り、門番に呼ばれた。
「滞在の目的とその車輪がついた物はなんだ?」
「観光だね。これは移動用の魔道具だよ」
「そうか、呪具や薬物を持っているか鑑査魔道具で検査させてもらう。」
「ああ、構わないよ。持ってないからね。」
門番の人が1,5ℓくらいのペットボトルくらいの大きさの棒を取り出して体に当ててくる。
「無反応か。よし、ともかく帝都内で騒ぎを起こさないようにしてくれ。税はエルフは500コル、そっちのリザードマンは300コルだ」
ナッツが俺の分も払ってくれた。
何か起こるのかと少し不安だったが色々調べられる事もなくすんなり入れたのは予想外だった。
二人でバイクを引き街へ入る。
「思ってたより調べないんですね。」
「帝都は警備がかなり厳しいと聞くからね。防衛も厳重なのだろう。まずは宿を探そうか。」
「そうですね何処かにいい場所があれば良いんですけど。」
門を過ぎて最初の大通りで話していたら、見た目チャラそうな男に声をかけられた。
この男背中に細身の大剣を背負っている。
「そこでお困りのお嬢さん二人!この冒険者アルガが相談に乗るよ!」
イケメン君がイケメンスマイルで近寄ってきた。
「そうか、女二人で安心出来る宿を教えて欲しい」
ナッツが即答で答えた。
「良い店知ってるよ!付いてきてくれ!」
こんなにほいほい付いて行っていいのか、不安だがナッツはそんな事気にもしないように付いて行く。
そういえば、ナッツは思考を読めるんだったな。なら安心か。
中央通りを外れた少しお高そうな家が並んでる所に来た。
「そこの馬小屋にそれ置いて、来て中入って来てなー!」
庭一面の花畑、門には妖精の楽園と書いてあると、ナッツが教えてくれた。
言われた場所にバイクを停め荷物を降ろして宿に入る。
「ただいまー、お客さん連れて来たぜー」
「おぉ、おかえり。こちらの美人さん二人だね。よくやった息子よ」
ここお前の家かよ!完全に誘導されてるじゃねーか!
「店主、一泊したいのだが、料金は?」
「いえいえ、お代は結構ですよ。家のルールとお願い事を聞いて貰うのが条件ですがね。」
店主がニヤりと笑いこっちを見る
(ナッツさん、もう怪しいレベルなんだけど…)
(ひとまず話しを聞いてみよう。判断するのはそれからでいいだろう。)
「店主、ルールとお願いとは何だろうか?」
「これは失礼しました、久々のお客様で少し舞い上がってしまいましたな。ルールは簡単、お食事は私と息子と一緒にして頂く事です。」
「それでタダなら安いですね。お願い事とは?」
「私が指定する衣装を着て一日を過ごして頂きます!あ、就寝の際は自由で構いませんが」
こいつただのコスプレオタクじゃねーか!
(ナッツさん、タダなのはいいけど見せ物にされ)
「安いな、では一泊お願いしよう」
「え?マジ?」
「マジだ、タダだし、服も提供してくれるとは最高じゃないか。」
ナッツ色々知ってる風に見えるのに男の下心を知らないのか、エロは世界を救うんだぞ。
「最近断られてばかりだから親父も覇気が無くてな。二人共ありがとう。」
息子のアルガが礼を言って来る。
「いやはや、こんな美人さんを見たのは久々で、ワクワクしますなぁ!」
「今メイドを呼びますので、衣装はそちらの部屋で試着なさって下さい。」
店主がベルを鳴らすとメイドが二人二階から降りて来た。
「いらっしゃいませ、ようこそ妖精の楽園へ。では、お二人様こちらにどうぞ。」
部屋に案内されるとメイドさんからチャイナ服に似ている服を当てられた。喉元までピッチリしているのに胸元にスリットが入ってる。完全にエロいっすね、見る側は目の保養だが俺にとっては拷問でしか無い。
スカートにも当然左右にスリットが入ってる。
腰の少し下に穴が開いていたので恐らく尻尾を通す穴だと思うが、いつ仕立てたんだよと疑問に思う。
色は黒と青の二色で右側に花の模様が施されている。
「サイズも大丈夫なようなのでお召しいただきます。」
メイドさんに着せて貰ったが恐ろしいくらい恥ずかしい、これで外に出たら死ぬ。
「如何でしょうか?どこか苦しいところがあれば言いつけ下さい。」
お盆サイズの鏡っぽい物を持ってメイドさんに聞かれた。
見る勇気すらねーよ!
「あ、大丈夫です。」
「かしこまりました。ロビーに戻りお待ちください、お友達の方はもう済んでいると思います。」
戻るとメイド姿のナッツが腕を組み待ち構えていた。
「ふふ…ふふ…あははははは!ジン君ププ…なんて格好だ!」
「ナッツさんも人の事笑えないでしょ…」
この人の笑うツボが可笑しい気がするのは俺だけなのか…。
「お二人共よくお似合いで!私の目に狂いは無かった!」
店主が目を輝かせて迫って来る。
「連れて大正解だった、依頼を投げ出して来ただけの価値しかないな。」
アルガもこっちを見て呟いた。お前依頼サボってんじゃねーよ!
「この宿は面白いな、気に入ったぞ」
ナッツも悪ノリなのか俺を見てくる。
なんなんだこいつら…
ともかくこんな格好で外には絶対出たくないと心に誓う俺だった。