act5 帝都へ行こう
誤字等ありましたら教えて頂けると助かります!
「ふぅ」
バイクを止めスタンドを下ろす。
「これは本当に素晴らしい物だ、魔力も何もいらないのだね」
「一応ガソリンが必要なんすけど」
この世界にガソリンなんてたぶん無いだろうし、これガス欠なったら終わるな・・・
ナッツが何か小言を言うとバイクが魔法陣っぽい物に覆われて白く光った。
「一応再構化魔法をかけてみたのだが、それがよかったのかね?」
「物の時間が元に戻るでしたっけ?、それなら物体も元の位置に戻るんじゃないかなって今更ながらの質問なんですけど」
「それについては大丈夫だよ、私のはそこにある物の時間を元にというだけで、物体自体の干渉ではないって何だかわからないような顔をしているね・・・」
「うん、わからんすわ、まぁ便利だなって思っときます」
「それでいいだろう、何事も体験だよ。さぁ、とりあえず部屋があるか見に行こう。回りに馬車はないみたいだし、空いてると思うがね。」
ドアを開けると普通の宿谷っぽいところのようだ
二階が部屋なんかな、一回は食堂っぽい。
ナッツが受付まで行くので俺も付いていく。
「一泊二人、部屋は一緒でいい」
受付は大柄のおっさんだ
「おう、珍しい客だな。エルフとそっちの子はリザードマンか?」
「まぁ、そのような物だ、でいくらだい?」
「一部屋1000コル、飯は別。湯が欲しければ追加で50コルだ」
(俺金なんて持ってないぞ、ナッツさんの奢りっすかありしゃす!)
(予想はできていたから問題ない。こうみえて余裕はあるよ、お湯は必要かい?)
(汗かいてるし欲しいっすね)
「お湯も欲しいな、あとで持ちに来るよ」
ナッツが硬貨を置く。
「あいよ!じゃあ1050コル丁度頂くぜ、これが鍵だ。」
「ありがとう。」
(部屋まで行こうか、そのあと今後について考えよう)
(了解)
受付のおっさんに軽く頭を下げて部屋に行く。まじめに何もないぞこの部屋
ベッドが一個と椅子が一つしかないんだが。俺がベッド、ナッツが椅子に腰かける。
「大体の安い部屋なんてこんなものだよ、第一ここはいくら通行用の道とはいえ、町の中でもない本当に寝るためだけにあるようなところだからね。」
「そうなんすね、というかモンスターとか出てくるならこの宿襲われたりとかしないんですか?」
「場所によってはあるかもしれないが、街道というのは騎士団や冒険者によってモンスターがあまり寄り付かないようになっているよ。」
なるほど、間引き的な奴か。
「ここは帝都に近いし、一年のうち何回か大々的に討伐軍を編成してるみたいだから徹底しているだろうね。それと帝都はここから徒歩で半日くらいだ。このあとの予定は帝都でいいかな?」
「それについてはまかせます、とりあえず男に戻れればしばらくそれでいいです。」
「君の目標はそれでいいのかな?私としては色々調べたいところではあるが。」
「ナッツさんの目的って俺を調べることなんすか・・・?」
「それもあるが君のもっている道具や先ほどの魔力反応が気になるね。」
俺がトンネルから落ちた時の奴だろうな・・・
「うーん、それについては何もわからないですね。というかナッツさんの目的ってとある魔法のうんぬんじゃなかったすか?そっちはいいんです?」
「私の調べ物というのは君だよ」
なんだこいつ、やっぱ変態なのか?
ヤバそうな奴を見る目でナッツを見る。
「誤解しないで欲しい。私の調べている魔法は時空魔法の一種なのだが、その中に次元魔法というもがあってね。違う空間、違う世界と言えばいいのかな。正に君が今体感している事なんだ。」
「てことはナッツさんがその魔法が使えるようになれば、俺は元の世界に帰れるってこと?」
「事は単純に見えてそうでもない。私はここ200年調べてはいるが、やっと手に入れた手掛かりが君しかない、村には300年程いたが何一つ情報は無かったよ。」
「ああ、そういうことね…。とりあえず、帰れるうんぬんよりまず元の俺に戻りたいのが俺の中での最優先っすね。何が悲しくて女にならなきゃいけないんだ…」
「了解した、私も世界を回るつもりでいたから一緒に見て回ろう。君は魔法の適正がないようだしね。」
ナッツがこっちを見てウインクしてくる。
ある意味頼れる同行人が出来たのだが、一癖も二癖もありそうな感じだな。
「さて、お湯を取りに行ってくるよ」
「流石に金まで出してもらって全部おまかせってのは悪いんで俺行ってきますよ。」
「そうか、ではまかせたよ。」
ドアを開けて下に降りる。
一階は食堂と受付なのだが馬車が無かったにも関わらず結構人がいるな。
歩いて旅してる人もいるんだなと思いつつ受付に行こうとすると酔っ払ったおっちゃんから声をかけられる
「そこのリザードマンのねーちゃん!こっち来て一緒に飲まねーか!?」
出たよTHE酔っ払い。異世界あるあるの恒例行事か。
テーブルを見ると五人で酒を飲んでる。
「ごめんなさい、同行人が部屋で待ってますので。」
「ちょっとだけでいいからよー!」
「すみません無理です。」
「少しだけいてくれればいいんだって、何もしねーからよぉ!」
しつこいな、だから酔っ払いは嫌いなんだ。
自慢じゃないが俺は一回酒で失敗してから禁酒を5年している。
「おう、お客さん。断られたならあんた達で盛り上がんな。他の客に迷惑かけんじゃねぇよ。」
受付のおっちゃんが少しドスの効いた声で言ってくれた
「おおう、おやっさんすまねぇな…。」
「謝るならそっちのお嬢ちゃんに謝んな」
「お嬢ちゃんすまなかったな、ちょっと色が欲しかったもんでよ…。」
「あはい、じゃあもう行きますので。」
受付のおっちゃんからお湯の入った桶と布を受け取る
「すまんなお嬢ちゃん、悪い連中じゃないんだが酒が入るとなぁ…」
「いえ、気にしてませんので大丈夫ですよ。ありがとうございます。使い終わったらここに持ってくればいいですか?」
「ドアの前に置いておいてくれ、明日掃除するときに片付けるからよ。」
ニッとおっちゃんが笑ってくれた。いいおっちゃんだな
軽く挨拶を済ませ、桶を持って部屋に戻るとナッツがニヤニヤしながらこっちを見てくる。
どうも下でのやりとりを聞いていたようだ。
「どうだい?男に声をかけられる気分は?」
「素直に鬱陶しいな、お前誰だよって感じ。というか俺ってリルドラケンじゃないのか?」
「君はリルドラケンだよ、竜と人間のハーフだね。なぜ君がリザードマンと呼ばれるかは絶滅した種であると言われてるからだね。」
「なるほどね、存在自体が珍しいから別の種族に見られるのか?というか、そんなに珍しいならさっき話してた奴隷っていう話俺やばいんじゃないのか?」
「そうだね、正体がバレると奴隷商達がこぞって襲ってくるかもしれないね。明日行く帝都は警備体制が整っているから大丈夫だとは思うが、他の都市や街道は危ないかもしれない。」
「まじかよ、もうここから動きたくないんだけど。」
「それを言ったら何も始まらない、私は君を全力で守るがずっと一緒にいられるかどうかわからないし、少しは自身を守る方法が必要だろう。」
「うーん、そうなると銃か。この国って殺人罪とかあるのかな」
「法は存在しているよ。ただそこまで圧のあるものじゃないからどんな犯罪をしても金でかき消されるっていうものあるらしい。とどのつまり自分の身は自分で守れということだね」
「理解した。明日少し慣らしてみるかねぇ・・・」
「その方がいいだろう。君の持っている武器?の威力はわからないが自衛は大事だよ。さぁ、お湯も冷めてしまうし、拭くだけ拭いたら寝よう。帝都へは徒歩で半日だ、明日も動かなければならないからね。」
布をお湯につけて体を拭いた。風呂入りたい。
体を拭いていると腰の少し下に尻尾の付け根があるのが確認できた。尻尾の長さは下につかない程度だったが。
尚鱗以外のところはもちもちしてて柔らかかった・・・