act20
おまたせしました!ミズキの視点に戻ります!
今回短いです…。申し訳ない!
いきなり戦闘が始まって腰が抜けたのか、声さえ出ずに光景を眺めていた。
ハっと気づいたときにはナッツはなんとか互角の戦いをしていたが、アルガとバトロはもう血だらけだった。どうしようにも、体が反応しない。あのフードの女が弓としぼった時に男の声が聞こえた。
「チャーク、ディー引上げ。偽情報に踊らされたな。あとで説明するから今は切り上げよう。」
違う男がまたフードを被った状態で出てきた。
「は?もう虫の息じゃん。レヴィ来るの遅すぎだろ。」
チャークと呼ばれている女が声を荒げながら話す。
「レヴィ久々に顔見たと思ったら、いきなりどうした?」
鎧男が聞く。
「皇帝に嘘の情報を流されたって訳。魔導騎士団は援助に行ってないよ。行ったのは別の部隊だったって事。この戦争リスキルド国は負けちゃうから、さっさと撤退しよう。」
「な!?それは本当か!?」
血だらけのアルガが肩を押さえながら驚愕している顔で聞いた。
男は話ながら俺の方に向かって歩き始めてきていた。
「嘘じゃない。朝方には猛攻撃が始まるよ。勿論初手に大規模戦術魔術でリスキルドの兵がほぼ壊滅状態になるだろうからね。リスキルド国も焦り過ぎたなぁ、結構遊べるいい国だったんだけど、これで終わりだし。ということで、これあげるから見逃してくれないかな?」
青いフードを被った男にヒールボトルを二つ渡された。
「そんな勿体ない事しなくても、この全員始末すれば終わりの事じゃん。」
チャークがそう言うと矢をバトロに向けて放った。と同時に俺の前に来ていた男が一瞬で視界から消えて、バトロの頭に刺さったであろう矢を目にも留まらぬ速さで叩き切った。
「チャーク勘弁してよ、この人皇帝の兄弟だよ。恨み買ったら面倒くさいし、また別のとこで暴れればいいじゃん。あと眠い。」
「もう帰ろう。俺も話聞くだけで面倒くさい。あと雑魚殺してもあんま面白くないって言ってたのチャークだった。」
「はぁー、しゃーねーな。切り上げるか。んじゃ、私らはここで引かせてもらうよ。バイバイ。」
三人が手をこっちに振ってくると周りから濃い霧が立ち込めて来て姿を消した。
俺は受け取ったヒールボトルを持ちながら突っ立っていた。何が起きたのかもわからず茫然としてしまった。
「ミズキ君?まずはあの二人にヒールボトルを飲ませよう。話はそれからだ。」
矢はナッツが抜いてくれたので、血だらけの二人に震える手で急ぎながらヒールボトルを飲ませると、二人共力尽きたように倒れ込んで寝てしまっていた。
「極度の緊張状態とこのヒールボトルに眠り薬でも入れていたのだろう。体を見るに毒は無さそうだ。さて、二人は大丈夫そうだが。このあとはどうしようかね。奴らの言っている事が本当なら、私らの出番は無さそうだが。」
「すまん、動けなかった。自分の身くらい自分で守れるだろって簡単に思ってたけど、甘かった…。」
「私も大口をたたきすぎたな。あの連中恐ろしい強さだった。最後のフードの男が加勢に入ったら私も無事では済まなかっただろう。」
ナッツが下唇を噛みしめていた。
「朝方まで待って帝都に帰ろう。それまでは寝かしてあげてもいいと思う。」
「ミズキ君も初めての戦闘で色々と堪えた所もあるだろう。私が見張っておくからミズキ君も休んでくれて大丈夫だ。」
「いや、流石に寝れないし、二人の様子でも見ておくよ。」
「そうか、では二人は頼む。私は少し辺りを歩いてみるとしよう。」
そう言ってナッツが歩いていった。
「大口叩いてこのザマとは笑わせるというか…。本当に何もできなかったな。起きたら二人に謝ろう。ナッツにもお礼を言わないとな…。」
口から零れた言葉を身に噛み締め、空を見上げると満点の夜空が見えた。こんな壮絶な事があっても空は綺麗な表情で見守ってくれているんだな…。




