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最恐魔王の手さぐり建国ライフ!!〜政治に農業、時々戦争!?〜  作者: 熊乃げん骨
第一章 ○○世界における魔王国建国の経緯(いきさつ)
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第11話 共感覚(シナスタジア)

「魔王だって? ずいぶん面白い事言うねー」

「俺は本気さ」


 どうやら俺がふざけてない事に気づいたようで奴は不愉快そうに眉をひそめる。


「それにしても、なんだい君の力は?さっきまでとは別人じゃないか」


 別に答える義理は無いが、後ろで舞衣さんが驚いた顔でこっちを見ているから答えることにする。


「俺の贈呈物《ギフト》は他人の感情、感覚の共有だ。今までは副作用のせいで上手く使えなかったけど、お前らが痛めつけてくれたおかげで能力に気づくことが出来た。感謝するよ」


「感覚の共有? それと魔法に何の関係が…………はっ!!」


「気づいたみたいだな。この贈呈物《ギフト》の真価はそこ。『魔法感覚《マジック・センス》』の共有だ」


 そう、俺に流れ込んできた力の正体は魔法感覚《マジック・センス》だった。

 あの時サングラスを魔道具化できたのも無意識化で贈呈物《ギフト》を無効化しなければいけないと理解していた俺の体が、その効果を持った魔道具を作れる魔法感覚《マジック・センス》を取得したのだろう。


 俺が魔法を覚えるのが早いのも当然だ。

 魔法を使う感覚を既に持っていたのだから。


「全ての魔人を束ね、統べる俺の贈呈物《ギフト》、名づけて共感覚《シナスタジア》。これから貴様が戦うのは7億人の魔法使いと思え」


「……くっくっくっく、ハアーッハッハッハ!!」


 どうした? とうとう壊れたか?


「すごいね! 本当に神の如き贈呈物《ギフト》じゃないか! 星の力ぐらいでイキっていた自分が恥ずかしいよ!」


 そうだろ。俺は凄いんだぞ。


「でも、だからこそ惜しい。いくら君が数多の魔法が使えてもボロボロの体に心もとない魔力残量。これでは宝の持ち腐れだ!」

「ぐっ……!!」


 図星だ。

 魔力は吸収したおかげでまだあるが、体力は底をつきている……。


 回復魔法はあるにはあるが魔力の消費が激しい。


「万事休すか……!」

「何しけた顔してんのよ」

「!?」


 振り返るとそこには体を引きずりながらも立ち上がり俺の元まで歩いてきた舞衣さんがいた。


「舞衣さん! 大丈夫なんです!?」

「見ての通りダメに決まってるじゃない。それよりあんた、体力を切らしてるみたいね」


 舞衣さんはそう言うとニッコリ笑って手の平を俺に向ける。


「まさか……!」

「ええ、一発なら回復させられる魔力が残ってるわ。目つぶって歯食いしばりなさい♪」


 背に腹は代えられないか……。

 舞衣さんの言葉に従って衝撃に備える。


「いくわよ。水行・命泉唇《めいせんしん》」

「えっ?」


 聞き慣れない魔法に思わず目を開けてしまう。


 その瞬間、衝撃が――――腹ではなくもっと上、つまり唇に来た。


「!!??!!?!?!?」


 目の前には舞衣さんの長いまつげがゼロ距離に見える。

 鼻にはほんのりと甘い香りが広がり、唇からはかすかな体温と優しい魔力を感じる。


 五感全てに心地よい感触が広がり、経験したことのない多幸感に包まれ脳がスパークしそうだ。


 しかし、夢のような時間もすぐに終わりを迎える。


「ふふ、上手くなかったかもしれないけど初めてなの。大目に見てね」

「あ、ああ」


 俺は気恥ずかしさに耐えきれず背中を向ける。


「行ってきます……。見ててください」

「当たり前でしょ。大丈夫、私の弟子なんだもの」


「ふふー、やっと終わったかい?」

「ずいぶん優しいんだな。待ってくれるなんて」

「そうだろ?やーっと気づいてもらえたか」


 三文芝居しやがって、お前がずっと魔力を練り上げていたのは気づいてんだよ。


「今の俺は、強いぞ?」

「愛の力ってやつかい?若いね」


「二星纏身《にせいてんしん》!!」


 ドウン!!


 奴は練り上げた魔力を解放し、身に纏《まと》う。

 とんでもない魔力量に足がすくみそうになるが、俺の後ろには守りたい人がいる。引くわけにはいかない。


「筋力強化《ストレングス》!!、高速移動《ハイスピード》!」

「そんな下級強化魔法で僕に勝てると思ってるの? もっと強い魔法を使いなよ」


 悔しいがそうはいかない。

 上級魔法を使えるようになっているとはいえ、実際に使い慣れていないと致命的なミスに繋がりかねない。


 だが、それならそれで戦い方はある。


「灼熱身体《ヒートボディ》!、雷速反応《ライトニング・インパルス》!、光速移動《フラッシュ・ムーブ》!、明鏡止水!、岩石肉体《ロック・ボディ》!、感覚強化《ハイセンス》!」

「はあ!?なんだよそれ!?」


 同属性の強化魔法は一つしかかけられないが、属性が違えばその限りでない。

 舞衣さんに教えてもらったことだ。


「行くぞっ!!」


 決着の時が、来た。


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