表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/142

第24話 料理

新作投稿開始しました!!そちらもあわせて読んで下さい!!

『無限牢獄』に閉じ込められた僕は、永劫に続く時間を修行に費やすことにした

https://ncode.syosetu.com/n4997ga/

 体が軽い。

 少し踏み込んだだけで俺の体は芭蘭に接近し、軽く拳を放っただけで奴は吹き飛び血反吐を撒き散らす。


 完全に芭欄を圧倒していた俺だったが、奴は何度ぶちのめしても平然と立ち上が肉体を回復させてしまう。

 このままじゃジリ貧だな。


「ふふふ、素晴らしい。素晴らしいですよジーク君。よもや君がここまで強くなっているとは」


 目をひん剥きながら興奮気味に話す芭蘭を見て俺は鳥肌が立つのを感じた。

 やはり奴は異常だ。ここで始末しなくては。


「いい加減その汚い口を閉じてくたばったらどうだ芭蘭。お前に勝ち目は無いぞ」


「ふふ、ツレナイことを言うものではないよ。僕は今嬉しいんだ。約束のとき(・・・・・)が近いのが分かったからね」


「意味深な事ばかり言いやがって。お前は何が目的なんだ」


 俺がそう言うと芭蘭はニヤリと笑い口を開く。


「ふふ、いいよ話してあげる。僕、いや僕たちの目的は君たち人間を進化させる事なんだ」


 気持ちよさそうに芭蘭は語り始める。

 これはチャンスだ、なるべく多く情報を引き出さなくては。


「進化とは大きく出たもんだ。で? それでお前になんの得があるんだ?」


「ふふ、君たちも家畜を大きく肥えさせてからから食べるでしょ? それと同じことさ」


 進化、家畜、肥えさせる。

 これらのワードから想像できる最も最悪な予想が脳裏をかすめる。


「てめえ、まさか俺たちがその家畜だって言いたいのか……!?」


「ご明察。君たちは我らの母の供物なのさ。約束の日、つまり母の食事の日までに君たちをちゃんとした料理(・・)に仕立て上げるのが僕たちの使命なんだよ」


 そういってニヤリと醜悪な笑みを浮かべる芭欄。

 相変わらず言ってることに意味不明な点はいくつもあるが、事態は想像していた以上にマズそうだ。


「お前の言うことをまとめると、俺達が進化すればするほど味が良くなるってことか」


「その通り、魔力は母にとってスパイスのようなものでね。君たちが魔法を使えるようにあればなるほど風味が増すんだよ」


「はっ、だとしたら運が良かったな。魔力大規模感染マジカル・パンデミックが偶然起きたおかげでお前らの計画は大きく進んだってワケだ」


 何気なく言ったこの言葉。

 しかしコレを聞いた芭蘭は急に柔らかい表情になると、想像もしてなかったことを口走る。



「偶然。本当にそう思っているのかい?」



 その言葉を聞いた瞬間、今までの事が全て繋がる。

 魔法なんて人知を超えたものが存在する理由。魔力大規模感染マジカルパンデミックが起こった理由。

 そして……真に倒すべき存在。


「てめえが、てめえらがやったんだな……?」


「ふふふ、僕たちにとっても賭けだったんだけどね。魔力大規模感染マジカルパンデミックを起こしたことがキッカケで、もしかしたら人類が絶滅するかもしれなかったからね。でも君たちはこの環境に適応した! 実に素晴らしい! おかげで出荷の時期を千年は早めることが出来た!」


 恍惚とした表情で芭蘭は続ける。


「特にジーク君には感謝しているよ。君が尽力してくれたおかげで魔人は大勢生き残ることが出来た上にその力を増やすことが出来たのだから」


 ……いい加減にしろ。

 感謝してる。だと?

 俺は……いや。


「俺達は、お前らに食われるために強くなったんじゃねえ! お前らみてえな人の気持ちも分からねえクソ野郎に抗うために強くなったんだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ