バスター
バスターはなんと空を飛べる!
バスターはなんと空を飛べる!
「地球人は飛べないの」
「どおして?」
バスターは飛べない理由が分からない。
「仕方ない歩いて行こうね」
「……」
ルージュはあっけにとられ下着姿のまま草原をさわさわ歩いてバスターの後をついて行く。
しばらくしてバスターが指指した。
「着いた。アレが僕んち!」
それは小高い丘の上にあり、見覚えのある景色、背景とは異空間な【それ】は、どう見ても宇宙船のコックピットだった!
「ちょ、ちょっとコレなんの操縦席なのよ!」
「ソージューセキ?」
とは言え、何のコックピットだか分からない。なぜなら天井は無くハンドルとボタン、椅子が一つだからだ。バスターが拾ったものを置いた可能性もある。
「シンプル過ぎて怖いわ。バスタオル君はここに住んでるのかしら?」
「うん!」
「(よく眠れるわね)」
ルージュがここで一晩明かすにはちょっと無理そうだ。
「ハクスッ!」
ルージュのくしゃみである。
「なんか寒くなってない?」
両腕を擦りながら聞いた。夜が地球と同じものなら寒くなるのは同じだ。しかし、ルージュ達は暖を取る術が一つしか無かった。
「お、おしくらまんじゅうしましょう」
「ナニソレ?」
「体を温めるの!」
「僕は平気だよ?」
「わたしがダメなのよ!」
仕方なくバスターが服を貸し、バスターは全裸で寝た。ルージュはガタガタ震えながら、「汗臭い服ね!」とだだっ子。しかし、思いの外バスターの服は暖かい。いつの間にかすーすー寝息をたてて寝る二人。そして、夜が明ける。恒星が朝靄から顔を出す頃にはバスターは起きていた。ルージュはまだ深い眠りについている。
「……お父さん」
ルージュの寝言が沈黙を破る。鳥の鳴き声、動物の足音、そしてバスターの笑い声。
ルージュが起きるとバスターが動物と戯れていた。
「何してんの?」
ルージュが訊く。
「井戸端会議」
「バスタオル君、もしかして動物と話せるの?」
「地球人は話せないの?」
ルージュはもうこの常識外れの生き物に慣れてきた。
「で、なんかいい情報あったの?」
「うん! レタス星人がまた来たって」
「!」
「あ、でも、こっちを警戒して襲って来ないみたいだよ」
「ほっ」
レタス星人は追跡してきた宇宙船と連絡が途絶え探しに来たのだろう。そして、水分をバスターにより奪われカスカスになったレタス星人の死体を見て脅威を抱いているのだが、地球に影響を及ぼす程の重力を操れるから油断はできない。
レタス星人は追跡してきた宇宙船と連絡が途絶え探しに来たのだろう。そして、水分をバスターにより奪われカスカスになったレタス星人の死体を見て脅威を抱いているのだが、地球に影響を及ぼす程の重力を操れるから油断はできない。