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一握りの幸せ

作者: 幸奈 いたみ


この世の中は皆が幸せになれない、誰かが幸せであればそれに泣く人や不幸になる人だっている。幸せの定員は決まってるんじゃないかと錯覚してしまう。人は幸せの定員に入りたくて、なりたくて行動を起こす。ただ、幸せになれる人は数は少ない・・・このお話はそんな幸せの定員に入りたくて手を伸ばそうとする1人の少女のお話。



私は今、好きな人がいます。


その人は今までの人とは何かが違う気がする。と言っても今までのは恋愛とはまた違う感じがする。


その人を思い始めたのは先輩の一言だった。


「ちとせちゃんって、あの人のこと気になってるの?」


「え!?」


「あれ?違うのあの人がここを通りすぎる度に目で追ってるよ?」


意識はしてなかったんだけど、言われたらそうかもしれない。

あの人を見かける度に見ていた気がする。


その人は同じ会社の隣の部署の人で、話をしたことも1度もなければ名前も知らない。会社が部署によって、ほぼ独立しているので違う部署の交流は殆ど無いのだ。


その日の夜、先輩にそんなこと言われたので仕事の帰り道、私は溜息が止まらない。とぼとぼと家に帰り鍵を開ける。地方から出て来て1人で住んでいるマンション。


扉を開けても暗い部屋が私を迎える。前の彼と別れて半年、彼氏と言っても相手には妻子がいるので、いわゆる私は2番目。


奥さんと上手く言ってないとのことでしょっちゅう私の家に居たのだ。私が仕事から帰ると、家の中からいい匂いと共に彼が私を迎えてくれる。


「おかえり。」


彼も仕事もしているので居ない日もあるけど、彼が料理を私に振る舞ってくれる。一緒に食事をして、一緒にテレビを見てから、彼は寝るだけに家に帰る。


もちろん、都合の良い女なのもわかってる。でも、私にも心の拠り所が欲しかったんだと思う。でも、そんなのは長くは続かない。しばらくして彼からLINEで


【ゴメン、もう会えない】


それだけで、関係が終わってしまう脆いもの。妻子がいるのは知っているが故に、引き留めることも叶わず、私は受け入れるしかなかったのだ。


趣味が同じでも同じ時間を共有しても身体を合わせても、結局は一番になれない。そんなのが続いていたので、私にはすっかり忘れていた気持ち。


私は部屋の電気も付けずにコートのまま、布団に倒れこむ。静かな部屋に私の心臓の音が響く位、バクバクしている。


「私・・・好きなのかな・・・」


結局、数十分考えてみたけど答えは見つからず、夜ご飯を食べてお風呂に入り寝ることにする。ただその間も、あの人の顔が頭から離れることはなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



私はあまり友人は多くはない。理由は中学生の時にイジメられていたから。小学校は結構、活発で休み時間には男の子に混ざって走り回ってる事が多かった。


もちろん、私自身も嫌いじゃなかったし、回りの子も理解してくれてた。でも、私の両親は良くは思ってなかったみたいで、


「女の子なんだから、中学校では文化系のクラブに入りなさい。それに、成績が悪くなる度に遊びに行く時間を塾に当てるからな」


もちろん、勉強のハードルが高かったのもあるし、私自身が勉強が苦手だったのもあるので、休み時間も勉強をしないと目標をクリアできないものだった。


もちろん、放課後に遊びたい一心で勉強していたんだけど、休み時間を黙々と勉強しているような子と放課後に誰も遊ぼうとは思わないよね。気が付けば私に近寄る子もいなくなり、クラスでも孤立することになった。


中学生のコミュニティなんて、ノリの悪い人が弾かれるのは当たり前で、そうなった人は自然とイジメられることになる。


学校に来れば上履きがなくなっていたり、机には花瓶を置かれたり、トイレに行けば水をかけられたりもした。勉強のしすぎでその頃には眼鏡をかけていたので、よく漫画であるような虐められっ子の再現でしかなかった。


地獄のような3年間は終わり、高校はもちろん誰とも会わない県外の高校に通うことにした。ただ、中学の事が原因で積極的に人と接することがあまり出来ず、大人しくしていることが多かった。


高校生活を過ごすにつれ、友達付き合いも増えてきたんだけど、その頃は男の人っていうだけで避けていた。そんな時に友達の薦めで、大人の男性とご飯に行ってお話をするとお金がもらえるというものを始めた。いわゆるアレ。


もちろん、芸能人のような男性や出来れば触れたくないような人もいた。私的にはお金ももらえるし、美味しいご飯も食べれれるので、メリットが多かったし、ある程度我慢すれば増えることもあった。


もちろん、ちゃんとした彼氏も出来たことはある。でも、私が冷めてるので相手に愛想つかされることが多い。


今までの私はそんなことばっかりだったので、私にはこの気持ちをどうしたらいいか、わからなかった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


朝までこの胸の高鳴りのまま、そんなモヤモヤを解消出来ずにいた。今の仕事は比較的に朝が早く出勤しないといけない。


「うーん、ほとんど寝れなかった・・・。」


鏡の前に立つ顔を洗い、歯を磨く。鏡の自分を見ると後ろの方に寝癖が見える。ささっとスプレーで整えて着替える。


前の人に誉められていた、腰まであった長い髪は失恋と同時にバッサリ切って肩に掛からないぐらいにしたのと、色を今までで一番鮮やかな金色に染めた。気分を変えたくて・・・


「さて、行きますか。」


化粧もバッチリして、鏡の自分に決意を告げる。最近のお気に入りの真っ赤な口紅が少し、派手に見えるがこれをするようになってから、何だか自信がついたように思う。


いつも通りの電車に乗り、いつも通りの道を歩き、予定通りの時間に仕事場に到着をする。特に変化もなくいつも通りに準備をする。

そんないつも通り作業をしてた時にたまたま、ガラスに写る私を見たときに首筋に違和感を感じる。


「あれ?もしかして、クリーニングのタグ付いてるかも・・・」


手で触れるとそこには紙の手触りが・・・最悪。こんなところで服を脱ぐわけにもいかず、トイレに行くことにした。


少し遠い場所にあるので少し早足で向かうことにする。扉を開けて向かうとこちらに向かって来る人が・・・

今更、引き返すこともできない。まさかの次の日にあの人に出会うだなんて


"どうしょう。気持ちの整理もできてないし、しかも服にクリーニングのタグ付いてるし・・"


そんな、そわそわしている私だが、向こうはなにも知らないのであくびをしながらこっちに向かって来る。

恥ずかしくなってしまって左手で首の後ろを押さえて彼とは反対の方向の下を向きながらすれ違う。


特にあの人は私の変な体勢を気にせず、すれ違う。気づかれないようにあの人が扉で見えなくなる所まで行ったのを振り返り私は見つめていた。


タグを取って、自分の所に戻ると隣の部署にも灯りが付いている。当たり前なんだが、今日はあの人が準備しているのだなと、覗きこむ勇気は無いので灯りだけを見て想像する。


それから何度かそんな場面に遭遇するが、挨拶する勇気もなく私は会うたびにうつ向いてしまう。


帰りもたまに一緒になるのだが、特には何もなく、たまにその人と同じ部署の女の子が楽しく話をしているので会話に入る勇気もなく、エレベーターのボタンの前に立ってじっとしている。

ある時、また帰りのエレベーターが一緒になって会話を聞くことになる。


「そう言えば、先輩ってここの会社ってどのくらいなんですか?」


背の小さい、可愛らしい女の子があの人に色々、質問をしている。私は悪いとは思ったが聞き耳をしていた。


「そうだなー、大体7~8年ぐらいかな?学校を卒業をする前からバイトで居たから、もう少し長いかも」


そうなると、私よりも4、5歳上なのかも知れない。そうは聞いても年齢よりもずっと若い感じがする。前に一度、私服を見たことがあるが、黒の皮のジャケットで暗めのデニムのパンツでいたので、私と年齢がそんなに変わらないような感じだった。あの時の服装もカッコ良かったなぁ、仕事の時のスーツも好きなのだがそういう感じも好き・・・なんだよね。


はっ!ダメだよね、完全にニヤニヤしちゃいそうだったので、冷静に装う。すると扉が開く、私はボタンの前にいたので開くのボタンを指で押し開けておく。


さっき話してた、女の子がすかさず降りて、あの人が私の横を通る。彼の方が身長は高く、頭ひとつ私と違う。キスするときは背伸びしないと・・・


「ありがとうございます。」


私が変な想像をしている中、彼が私の方を見て笑顔でお礼を・・・


とっさのことで反応出来ず、私は頭を下げることしかできなかった。しまった・・・ここは私もちゃんと、返せたら印象はよかったのかな?暗い子や印象悪くなってないかな。


そんなことを思うが後の祭で、あの人は先程の後輩と先に歩いて行ってしまった。


"しまったなぁ、何で私ってこうなのかな・・・"


そんなこんなで、特に何も進展なくと言うか、私が何も行動を起こすこともなく月日が流れる。変わった事と言えばたまにすれ違う度にあの人が会釈をしてくれる。でも私は恥ずかしくてそれに、対して手元のスマホを見て目線を反らしてしまう。


私が先にあの人を見つけてもスマホを出して、目線を反らし私の気持ちを隠す。メール、LINE、着信が特に全くないのに確認しているみたいに・・・。


前の人から別れてたからというもの私のスマホは殆ど着信はなくなった、たまに来るのは広告とかばかりである。元々、人付き合いは苦手な方で休みの日も一日中家にいることが多い。


あの人は何だか誰とでも仲良く話せてる感じがする。もしかしたら私みたいな暗い子じゃ相手にされないかな・・・それに見た目は派手な感じにしてるからそれも好きじゃなかったらどうしよう。


そんな事を考えている時は大体、溜息をしている・・・らしい。


「また、溜息してるよ?告白とかしてみたら?何か行動しないと距離が縮まらないよ?」


「こここ、告白とか無理ですよ。それに喋ったことも無いんですよ。無理ですよ。」


先輩にいきなり言われたので動揺してしまった。私は私の事を見てほしいけど・・・でも、今より距離が遠くなるのは恐ろしく恐い。


「そんなのやってみないとわからないよ?普通にオッケーしてもらえるかもよ?待ってても駄目だよ、伝えなきゃ伝わらないよ。」


私はそうは言われても、なかなか踏み出せない。私の事を知ったら、あの人がガッカリするんじゃないかと思う。自分になんて自信なんて持ち合わせてなんかないんだから。


結局、あれから特に変化もなく、クリスマス、お正月、バレンタインデーも特に何もすることもなく月日がどんどん流れていく。でも、少しづつだけど、私にも変化でてきて、帰るときにはその人の部署の前を通ったり、あの人の姿を見たら少しでも目が合うように目線を合わせたり。若干、危ない感じに聞こえるけど、少しづつが私にはやっとで、それを見た先輩からは


「もっと、ガーとアピールしてパパパと近寄らないとグズグズしてるとアレだよ」


擬音で構成されるアドバイスだけど、言いたいことはわかるけど、私にはきっかけがあってもチャンスにはできない。それまでに、他の人と付き合ったりしたのを聞いたら、たぶん私、立ち直れないし、すごく泣くと思う。


そんな事を考えるだけで涙が出てくる。家で枕を抱えて、今まさに泣いている。泣くほど嫌なんだけど、だけど・・・

これが恋で片思いがこんなに辛いと思わなかった。でも、今のこの気持ちを大切に育てていきたいと思っている。


"明日こそ、私の気持ちが伝わればいいな"


明日こそ、そんな事を思い続けて日々を過ごす。私の気持ちはあの人に届いてはないのかなぁそう思っていたある日、それは突然だった。


いつも通りの日常で仕事が終わり帰るところだった。カバンを探すがスマホが無いことに気がつく


"しまった、職場に忘れてきたかも"


職場の出口で気がついて、腕時計を見ると21時45分。セキュリティの問題で22時にはフロアには全て鍵がかかってしまう。


普段の帰り道を戻る、時間に余裕もなかったので少し小走りでいく。扉に手をかけると今日に限って鍵が既にかかっていた。スマホだけなら問題ないのだが、そこには定期券も入ってるのでないと困る。


時間は21時50分


少し遠いがもうひとつ入り口があるのでそこには向かう。流石に小走りでも間に合わないので必死で走る。


ここ何年も走ってないのと、今日は走りにくいパンプスなので苦戦する。やっとの思いで到着した時に


ドンッ


「おおおっ!」


私は勢い良く誰かに扉を開けると同時にぶつかったらしい。その時に私の荷物と相手の荷物がその場に散乱する。


「あ、いったー。やっちゃったよ。大丈夫?」


私はしりもちをついていたので相手の顔を見ていなかった。顔を上げるとそこには長い間、片思いを続けていた相手がそこにいた。


「え・・・。」


「大丈夫?怪我とかしてない?ゴメン、俺の不注意だった。」


私の目の前に彼の手が私を握り、私を立たせてくれる。


「何か忘れ物?時間がないから取ってきたら?」


その言葉で我にかえる、時計を見ると21時58分、それに自分の荷物も相手の荷物も散乱している。


「荷物は拾っとくし、警備員には言っておくから、行ってきたらいいよ」


ポンッと背中を押されて私は背中に羽が生えたように身体が軽くなる。その勢いで自分の部署にスマホを取りに行く。


無事にスマホを見つけて戻ってくると扉を支えてロックがかからないようにあの人が待っててくれる。


ズキン、ズキン。


一歩、一歩。早足で進んでるのに心が気持ちが身体に着いてこない。あの人が私のカバンを持って待っててくれてる。でも、心がついてきてない。近づいた私に彼が笑顔で


「よかった、間に合ったね。あと、ごめんね怪我とかしてない?そうそう、はいこれ。」


彼が私のカバンを渡してくれる。その彼の笑顔が眩しくて仕方ない。


ーチャンスだよ、私。ー


"ダメ、いきなり言ったら迷惑だよ。"


ー今なら伝えられる。ー


"きっと私の事なんて、好きになってくれない。"


ズキン、ズキン。


胸が張り裂けそうだった、彼との距離はもう手が届く距離。


「大丈夫?さっき思いっきりぶつかったもんね、少し休む?」


ぶつかったのが原因じゃないんだが私の身体は硬直している、そんな中、無理に動いたので躓いて、彼の方に倒れてしまう形になる。


彼は私の手を取りに支えてくれる。


「大丈夫じゃないね、ちょっと休憩室で休もうか」


彼は私の身体を支えてくれて、私は彼の二の腕辺りに捕まって休憩室に向かう。


ズキン、ズキン。


もう、気を失いそうだった、それに心臓がありえない速度でバクバクいっている。休憩室には誰もいなくて、二人っきり・・・不意に彼が立ち上がり自販機に行き戻ってくる。


「はい、お水は飲めるよね?ゴメンゴメン、好みがわからなかったから・・・で、だいぶましになった?」


置かれたペットボトルのお水を見てびっくりする。


「そ、そんな・・わ、悪いですよ。お金出しますよ」


テーブルのカバンに手を伸ばすと彼の手が私に被さる。


「大丈夫、気にしなくていいよ。若い女の子の好みがわからないから適当に買ったし。それに気分がすぐれない女の子にお金を要求したりしないよ」


彼が笑顔で私に、私に微笑んでくれる。


ズキン、ズキン。


私の心は張り裂けそうで辛かった。今まではある程度の距離があったのでこのような状況は予想もしていなかった。それに恋がこんなにも辛いだなんて・・・


ー手を伸ばせば、触れられる距離ー


ー言葉を紡げば、伝わる距離ー


ー息づかいは黙すれば聴こえるー


ー見つめれば、彼の目に私が写るー


私は・・・私は・・・。


ズキン、ズキン。


「少しは落ち着いた?まだ痛む?」


「ふぇ!?」


考え事に意識を集中させすぎて、急に話しかけられたので変な声を出してしまう。


「いえ・・・大丈夫です。」


気持ちがバレないように買ってもらったお水を口に含む。冷たい水が喉を冷やす、こんなにも渇いてたんだと今、気が付く。彼は私を心配そうに見ている。でも私は恥ずかしくて目を反らせてしまう。


「すれ違ったり、見かけたことはあるけど話をするのは初めてだね。」


彼は私に優しく問いかける。まさかこんな日がくるだなんて


ー夢は叶うのもじゃなくて、叶えるものー


「そ、そうですね。私も少し前からお、お話したいと思ってました。」


「そうだったのかー、僕も少し前から見かけてた時に気になってたんだ。何だか君、たまに悲しそうな顔をしてたからさ」


ズキン、ズキン。


そうなんだ、そんなに悲しそうな顔をしてたんだ。ずっと叶わないものだと思ってたから・・・


「そうなんですか・・・。そうですね、私ちょっと悩んでることが最近あったんで」


ー伝えるチャンスだよ、このタイミングを逃せばもうないよー


"いきなり言うだなんて、彼に迷惑だよ。それに私みたいな暗い女なんて嫌いに決まってる"


「そうなんだ、女の子は悩みが多いって聞くかからねー」


軽い感じで私に答えてるが彼の目は私を写し、本気で心配してくれていると感じとれた。


どうして、この恋はこんなにも辛いんだろう。【好きです】たったこの数文字の私の気持ちを伝えるだけなのに胸が張り裂けそうだった。


「そう言えば自己紹介がまだだったね。僕は◼◼◼◼です。よろしくね」


「あ、そうですね。わ、私は西野千歳といいます。よ、よろしくお願い致します。」


お互いに笑顔で挨拶をする。私は若干、ぎこちなかったけど・・。私はチラッと左手の薬指を見る、そこには目的の物はなかった。もちろん、それだけでは確実ではないがとりあえず、一安心になった。


"私は何を安心してるんだろう?でも、チャンスだよね・・・チャンス。"


少しの沈黙がその場を包み込むそれは、気まずい物ではなく、何故か心地よい


"一緒にいたら、いつもこんな幸せになれるんだなぁ"


ズキンッ!!!


今まで一番、心が激しく揺らぐ。


ー求めたらダメ。これ以上望むのは・・・ー


"違う!私は彼の事が好きなの!この気持ちを痛みのままにしておきたくない!"


私は立ち上がり、笑顔で彼に微笑む。


「もう大丈夫?」


「は、はい。もう大丈夫です。」


「そっか、じゃあ、帰ろうか。」


彼は自分のカバンを肩に掛けて立ち上がり、帰る準備をする。


彼が扉に向かう為に私に背を向ける。私はそのタイミングで勇気を振り絞り


「あ、あのっ!!!」


私は彼に問いかける・・・私にも掴めるかな一握りの幸せを・・・。


END


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