それぞれの恋
この話は、全て妄想であり、創作です。
奈津子が、ちょっと話しを聞いて欲しいと、珍しく家に来た。
母がそば耳を立てているのが嫌で、私は弟に頼まれていた漫画を買うついでに参考書を一緒に見てくるね?と断って奈津子を連れ出す。
奈津子がバレー部のキャプテンに憧れてると前から話していたので、キャプテンと進展でもした?とカマかけたら、妙にはぎれが悪い。
先週、C高と練習試合があり、一年生は先輩達の応援に繰り出された。
終わってから両校でジュースだけの簡単な打ち上げがあった。奈津子もビックリしたらしいが、C高のバレー部の女子マネージャーの1人が、例の由香が失恋した彼の彼女だと言うのだ。
私も奈津子も由香もその子と同じ中学だったので、顔も名前もわかる。顔が小さくてショートカットのアイドルみたいな可愛い子だ。確かに中学でも人気があったと思う。ちなみに由香の元彼も確かにイケメンだった気がする。私はクラスが一緒になった事がなくて由香の元彼ともその彼女とも喋べった事、無いのだが。
で、どうして奈津子が気まずいのかと思って聞いたら、まっ、嫌な予感はしたが、奈津子の憧れのキャプテンがどうやらその彼女にひと目惚れしたらしいのだ。
奈津子がその子 ー理沙ー と話してるところを、そのキャプテンに見られ、知り合いなら紹介して欲しいと頼まれた。彼がいるらしいと微妙に牽制したらそんなの噂かもしれないから気にしない、本人にキッパリ断られたら諦めるけどね?っと爽やかに言い返されたと。キャプテンは文武両道派のバリバリの自信家さんなのだ。もちろん、なかなかのイケメン。
つまり、由香にそんな話しは出来ないし、キャプテンもしつこいから、一度理沙と会うのだが、気まずいから私にもその場に来て欲しい、私が上手に彼女の本心を聞き出して欲しいと言う訳だ。
うーん。
確かに興味深いが。
話しの内容によって、これから奈津子もキャプテンとも気まずいよね?
私達は次の土曜日に理沙と3人で、お気に入りのお汁粉屋で会う事になった。
緊張するなぁ。
高校生になって初めてしばらくぶりに見た理沙はメッチャ可愛かった。大人っぽくなりうっすら化粧もして、ほんと地元アイドルって感じだった。ミニスカートも良くにあってる。
私達は適当に近況を言って、話し出した。
私『理沙ちゃんって昔から可愛いけど、これじゃお誘いも多いでしょ?彼氏は当然いるんでしょ』
奈『うちの学校でも理沙に憧れてる人多いんだよぉ』
理『あれ?由香に頼まれたんじゃないの?佐々木君 ー由香の元彼ー の話じゃなくて?』
私はとぼけた。
『あれ、由香は自分の話しないから良く知らないんだけどね』
理『そっかぁ。確かに佐々木君に付き合ってって、入学してからずっと言われてて。良く遊んだりはしてるんだけど。でも、私、T高に好きな人いるんだ、内緒だけど』
奈『え?バレー部?何年生?』
理『違う違う。同級生だと思うんだ。名前も知らないの』
私はちょっと嫌な事に巻き込まれる予感がした。
可愛い理沙が好きなのは、まさか?