雨の季節
この作品は、全て妄想であり、創作です。
なんとか無事、私は図書館を脱出出来た。
受け付けに本を置いて知らん顔で素早く出る。
その後2人に会っても全く普通に対応出来た。表面上は。
内心はもう、どうしていいか分からなかった。
まともに恋した経験の無い私でもあの雰囲気が普通の恋人じゃないぐらいは分かった。
深い関係なんだろうか?
どのぐらい?
キスだけ?
卒業生が騒いだと言う妊娠するぐらい?
そうだとして、いったい何処でそう言う事してる訳?
いわゆるホテルってやつ?
高校生が?先生と?
考え出すと頭の中はごちゃごちゃだった。
テスト勉強を教室に残って何人かでやっていた事があった。
その日は一彦が得意な数学の山をかけて問題を特訓する事になっており、黒板に問題と解き方を書いてそれぞれが質問する。
そこに由利子が入って来て、私の隣に座りながら微笑む。
『菅田さんと、佐藤君 一彦の苗字ー 本当に仲良しだよね。羨ましいな』
私は思わず由利子に聞いてしまう。
『金田さん ー由利子の苗字ー はどんなタイプが好きなの?』
言ってしまってから一瞬、ヤバっと思ったが遅い。
由利子はちょっと首を傾げで、長い指を唇に当てる。
『うーん。無邪気な人がいいな。何考えてるかばればれで、こっちがつい笑っちゃうような人』
そっか。
由利子はきっとNの本心が掴めず苦しいんだな。
と、私は勝手に解釈した。
あの日、図書館で見た事は、誰にも言えずにいた。奈津子にも。由香の耳に入ると由香のお姉さんに言うだろうし。そうすると話があちこちに飛びそうだし。
私は由利子やNに対する嫌悪感に近い気持ちもあったが、今日の由利子は寂しそうに見える。
由利子みたいな美人、いくらでも釣り合う男子いるだろうに。
上手くいかないもんだな。
次の日、由香が、暗い顔をして登校して来た。上手くいきかけてた男子に振られたと言う。
私も奈津子も初耳、ビックリだ。
私『由香、彼氏いたの?いつの間に?』
奈『まさか貴女まで年上じゃないんでしょうね?』
由香の話によると、彼は中学の同級生で、受験間際に親しくなったと言う。
しかも彼が進学したのは私達より1ランク下の高校だった。由香もそちらに行きたかったが家族に反対され結局そのままT高に進んだら、案の定、彼は自分より上のランクの高校に進んだ由香に対して微妙に卑屈になり途端に疎遠になった。
しかも、どうやら同じ高校に彼女らしき人が出来たらしく、最近約束をすっぽかされ続けたので問い詰めたら、T高で自分に似合う男を探せと言われてしまったらしい。
しかも、これまたあるあるだが、その彼女は由香の中学時代の友達で、可愛いので有名な1人だった。知ってる子だからこそ諦めが付かないと言う。
もう!
由利子も由香も、いい子なのに、なんでみんな上手く行かないの?
2年になったら自分にも逃げられない三角関係が待ち受けてるとも知らず....
一彦とも何の進展もなく、私は呑気に友人達の心配をしていたのだった。
うーん。なかなか上手く行かない季節。私は大丈夫なのかな?