同級生の恋
この作品は、全て妄想であり、創作です。
夏休みに6人でどこかに遊びに行かないかと由香が提案した。
浴衣でお祭りに花火なんてどうよ?っと。
しかし、他のみんなは部活の合宿なども許されていたが、私はなぜかことごとく外出も禁止だった。
今思うと、母の第6感みたいのが働いていたんだろう。家の中でダラダラしてる分には何も言われなかったが、クラスメートと出かけるなんて言葉は、異常に母を刺激した。
私は高1の夏休み、ただただ家にいた。本読んで漫画読んでテレビ見て、あの頃弟が買って来た、可愛くもないハムスターの世話なんてしていた。勉強は少しやったが家事を手伝った訳でも無かった。携帯も無い時代だったので、逆に他の友達の同行も全く気にならず、気楽は気楽だった。
夏休みが開けると、すぐに期末テストがあり、それが終わってから私達は、久しぶりに6人で近くの喫茶店に入った。
もちろん、当時でも高校生の喫茶店出入りは禁止だ。が、私達は私服だったため、市内の大学生に見えない事も無く、お店も私達が高校生だと十分に分かっていたが、T高生と言う事で大目に見てもらっていた。喫茶店で勉強なんかもよくしていたからだ。
一彦は日に焼けて逞しくなっていた。
何か変わった事は無いか?の話になって、由香が妙な事を言い出した。
クラスメートに由利子と言うちょっと大人っぽい美人がいる。そのコがうちの担任と付き合っているようだと言うのだ。なんでも由香のお姉さんがやはりT高の3年にいるのだが一緒に連れてってもらった映画館に2人がいてその後、隣のレストランに入って行ったと言う訳だ。
まぁ、映画なら高校生同士でも見るだろうが、あの頃、とりあえず父兄同伴が建前になっていた。
私が、由利子が見たい映画を親に頼みづらくて担任に頼んだんじゃないの?と、口火を切ったら、そこから各自の意見が行き交った。
じゃ、あんたなら頼める?普通担任と映画行くか?担任も一生徒と個人的に遊んで良い訳?どうやって約束したんだろう?いつの間に接近してた訳?でも教室で2人で話してた事なんてあった?いや、記憶に無い。何も無かったら2人で行くってのは無いだろ?いったい2人の年の差は幾つよ?あり得ないだろetc....やいのやいの。
うちの担任Nは、W田出身のイケメン、当時28歳独身。お父上は県会議員、お母上は書道家と、ピカピカのサラブレッドだった。
確かに同級生が子供っぽく見えたあの頃、唯一周りにいた大人の魅力ある男だったかもしれない。残念ながら私は先生としか見て無かったが。
じゃやっぱり2人は付き合ってるのかな?と私が言ったら由香が、あんた、大人の男と付き合うって意味分かってんの?と大人びて反撃して来て、私も奈津子も男子達も黙ってしまった。
何となくはわかるよ。お茶だけじゃない事は。
知識としては知ってるよ?
でも、それが同じクラスの友達が既に経験しているのか?と思うとどうにもピンと来なかった。
しかも、12歳年上の担任と?
私だって未知の世界に興味も沢山あった。実際に自分に当てはめると怖かったけど。
しかし私の身近は知らない間にドンドン大人になっていった、多分。
あの頃、私は夏休みさえ満喫出来ず、男女の機微も分からず本当にただの子供だった。
一彦が好きでも、ただそれだけだった。
いつの間にか大人になって行く同級生!