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夢の宴  作者: naomitiara-tica
19/20

浩行と私

この作品は、全て妄想であり、創作です。

私は1人で、サランドルに顔を出した。



『あれ?菅田さん?久しぶり。東京の大学行ったんだよね?すっかり垢抜けちゃってぇ。今日は佐藤くんは一緒じゃないんだ?』てマスターが嬉しそうに声を掛けてくれ、私はバツが悪くてはにかむ。



客商売プロのマスターはそれ以上は何も聞いて来なかったが、帰り間際に、明日、店でライブをやるから良かったら来ないか?と言った。

『菅田さん、知らない?C高で有名だった、ザ ピープルってバンド?』



私が一彦の友達がメンバーだったからよく知ってると言ったら

『そうそう。順でしょ?そもそも佐藤くんが順とバンドを店に紹介してくれたんだよ。で、たまにここでライブしてくれるんだ。大盛況でこっちも大助かりさ。でも、明日はボーカルの浩行君のソロライブなんだ』



私は即答は出来なかったが、うん、明日母の用事が終わったら来れると適当に返事をしたら、マスターは佐藤君は明日大学のサークルの旅行で来れないって言ってたよ?っと何気なく付け足した。

私が一彦にもう会いたく事を完全に見透かされている。



私は順や礼子にもあまり会いたくなかったので、迷ったが、やっぱり好奇心に負けた。



何より以前クリスマスコンサートで見たあの浩行のビジュアルの美しさが忘れられず、また大人になったろう浩行が見たいと言う、誘惑に勝てなかったのだ。



果たしてサランドルは満席だった。ワンドリンクを頼んで端っこに行こうとしたら、マスターが菅田さんこっちこっちと言って、またもや真ん前の神席を用意してくれた。順と礼子にも肩を叩かれ、2人はもう完全な恋人同士っぽかった。礼子はベターっと順に張り付いている。この暑いのに。



いかにも浩行の取り巻きだと分かるキツイ表情をした化粧バッチリのきれーなオネエ様達に睨まれながら、コソコソと席に座る。



久しぶりに見た浩行は髪を伸ばしてミュージシャンって感じでかっこよく結んでいた。左手の薬指に指輪してる。

いや〜ん。近すぎてTシャツの脇から脇毛が見えちゃう。ジーンズが太ももに張り付いている。美しい頰に汗が流れる。化粧もバッチリ。



そして笑わない顔で、甘くて優しくて切ない声を惜しみなく披露する。

私はもうもう、申し訳ないが歌は覚えてなく、浩行の甘いビジュアルと歌声だけで、完全に我を忘れた。



そう、下世話な言い方だが、いわゆる子宮に響いた。



あの頃子供も産んでないのに私の本能が、ああ、寝たい男って見ただけで子宮で分かるんだ?と生意気な感想を持ったのをよく覚えている。



浩行のライブを見てボロボロ泣いた私は1人ポツンと帰ろうとたが、何故か、サランドルの階段を降りた時転んでしまった。ぼうっとしてたんだろう。

そしたらタクシーを待つまでそこでたまたま私を見ていたらしい浩行が声を掛けて来た。



『大丈夫?さっき、目の前で泣いてた人だね?髪長いね?』と髪をちよっと引っ張られたのには驚いた。



私が固まっていると、

『いや、僕がショートカットの子が好きだとライブで話したら、みんな髪切って来てちよっとうんざりしてたんだよね?だから長い髪の人、周りで久しぶりに見たと思って』

と聞きようによっては凄い嫌味なセリフを平気ではいた。



しかも、

『今から良かったら打ち上げに来ないか?』

と言われ、気がついた時は私は知らない人達と散々アルコールを飲んで騒ぎ、気がついた時は長い髪をまさぐられて浩行にキスされていた。一彦としたみたいのじゃなく、大人のキス。綺麗な指で私のアゴを掴み何回も舌を入れて来る。私も思わず舌を吸ってしまう。



そして、ああ、これから私はこの人と寝るんだな、女になるんだなと頭の片隅で考えていた。

あれま、夏休みに憧れのボーカルと急進展?上手くいくかな?

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