イケメンバンド
この作品は、全て妄想であり、創作です。
修学旅行中、全然一彦と喋れ無かったので、旅行の報告をお互いしようって話で、私達はいつものサランドルに行った。
マスターにキーホルダーのお土産を渡す。
サンドイッチを仲良くつまんでたら、一彦が突然、
『菅田さん、陸上部の鈴木礼子さん って知ってる?』
と、聞かれたので、飛び上がりそうになった。
私は、はやる気持ちを抑えて
『ああ、あのカッコいい人ね?その人がどうしたの?』
『いや、前にC高の僕の友達の話したの覚えてる?イケメンバンドの。そいつが、鈴木礼子さんが文化祭に来た時ナンパしたんだって。で、話聞いたらT高の生徒だって分かって、僕に礼子さんを知ってるか聞かれたのさ』
『なんて言ったの』
私は一彦がなんと答えたかドキドキしながら言葉を待った。
『ああ、知ってるって。電車であの人、メッチャ目立つんだ。ほら去年一緒だった2人も彼女の大ファンだったんだよ。だから僕が嫌だって言ってるのに、毎朝同じ車両に乗ろうって大騒ぎさ。最近見かけ無いけど』
くそっ!あいつら!
自分達を棚に上げて、私をからかったな?
私は内心の怒りを悟られないよう平気な顔で聞いた。
『で、礼子さんと佐藤君の友達はどうなったの?』
『うん、僕が顔だけ知ってるって言ったら、僕の彼女にも会いたいから、礼子さんと四人でどっか行かないかって言うんだけど、一回付き合って貰えない?』
うーん。
行きたいような行きたく無いような?
礼子も間近で見たいし、イケメンの友達も見たいし、一彦が礼子を見る表情も見て見たいし、私よりいい女だって思われたら薮蛇か?とか、様々な感情が渦巻いたが....
結局、好奇心に負けた。
問題は母にいかに嘘をついて外出するかだったが、ここは同じクラスの由紀と紗江子に口裏を合わせて貰って、2人とクリスマスのプレゼント交換をやるから、それを3人で見に行くと。
私はだんだんずる賢くなっていた。
当日、一彦も大人しめではあったがなかなかオシャレをして来たし、礼子は真っ白なロングブーツに赤いケープを羽織って来た。ふわふわのポーチを掛け、前をリボン結びしてメチャメチャ可愛かった。
私は至って普通のワンピースに薄いコート。イケメンと噂の順君は噂通りのイケメンだった。カッコいいより可愛い?でも背が高くて目立つ。
礼子と順はお似合いだった。私と一彦は完全に2人の引き立て役だった。すれ違う人達みんな、礼子と順をほぉってな感じで見て行く。
最初はちょっとぎごちなかったが、私達は直ぐに意気投合し、一彦と順がお互いの中学時代の話をする。
それによると、順は成績も良くてT高に行けと言われてたが、バンドがやりたくてC高にしたと。すると礼子がわぁ、私の逆だぁ。私はC高行きたいって言ったのにT高に進めって言われちゃったのぉ。順と同じ学校に行きたかったぁ....と既に盛り上がりムードだ。
一彦は昔から優等生で、勉強も運動も出来て穏やかだからどの先生にも可愛がられていたし、けっこうモテたと。一彦が焦った顔をしたので順は黙ったが、礼子が聞きたい聞きたいとチャチャを入れ、結局、中学時代の彼女らしき話がバレてしまった。中一の話らしい。でもその後も一彦に告った女の子が何人もいたらしく、私はもう時効だと思いながらも内心イラっとしたし、失礼ながらちょっと意外だった。へぇ、一彦ってモテるんだ?
私が黙っていたため、少しだけシラケムードになったところで、順が素早く行った。
『ね、今度クリスマスコンサートが、市民プラザであるんだけど、僕達も高校生バンドって事で呼ばれてるんだ。良かったら友達も連れてみんなで来ない?有名なボーカルの先輩も紹介するからさ!あっ、言っとくけど、その人は女嫌いで有名だから好きになっても無理だからね?』
と笑って礼子と私に釘を刺した。
それが、私は全く知らなかったのだが、地元の学生カリスマ、イケメンボーカル 浩行との出会いだった。
イケメンバンドのメンバーと友達になった菅田。また新しい出会いが?