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夢の宴  作者: naomitiara-tica
13/20

Nの結婚

この作品は、全て妄想であり、創作です。

去年一緒だったクラスの男子から号外と寄付のお知らせが回って来た。



担任だったNが結婚が決まったから、自分達も何かプレゼントしよう、高校生らしく、1人300円集めて記念品と色紙に贈る言葉でも書こうと。



私は由香と奈津子を呼び出し、内心の動揺を隠してNがどんな相手と結婚するのか無邪気に聞き出した。

由香はお姉さんルートで、奈津子は部活の先輩ルートで、私より2人は何かと情報通だった。



2人の話を総合するとこうだ。

Nのお相手は25歳、ピアノ教室の先生。親は県庁のお偉さん。2人は大学時代から顔見知りだったが交友は無く、この度お見合いのお世話をした人が写真をお互いに見せたら2人とも、あっ、顔わかります、となり、一気に話が進んだと。両家の両親も大喜びで、2人はもう一緒に暮らしており、Nは周りに随分惚気てるらしい....と。



由香

『ねえ、Nが昔、妊娠で騒がれたって言う先輩?本当にNと結婚の話あったらしいよ』



『じゃ、別れさせられたわけ?』



由香

『何でも、妊娠は先輩の思い込みだったらしいんだけど、何しろ担任と教え子じゃ、洒落にならなかったんだろうって。しかも、その先輩の親ってのが、あまり経済的事情が良く無くて、Nの父親が、お金で黙らせたんじゃないかって』



うわぁ。まるでドラマだ。



奈津子

『そー言えば、すっかり忘れてたけど金田由利子さんとの話はどうなった訳?』



私は由香が何を言うのかドキドキしながら言葉を待った。



由香

『さぁ、あれから何も聞かないし、2人とも普通に挨拶してるし、もしかしたら、本当に映画行っただけなのかもね。』



私はあの日図書館で見た秘密をこの2人にも言えずにいたが....

そっか。由利子、Nが他の女性と結婚するって事は、Nに振られちゃったんだよね?



私はいつも、爽やか誠実そのもののような笑顔で、明るく生徒達に挨拶しているNへの不信感を拭えなかったが、誰に真実を聞ける訳でもなく、悶々としていた。



私は急に一彦に会いたくなり、珍しくバトミントンが終わるのを待っていた。

すると、由利子がトボトボと下を向いて歩いているのを見つけ、思わず声を掛けてしまった。



しまった!と思ったが遅かった。

由利子は静かに泣いていた。



私は何も言葉が出ず黙って一緒に歩いた。



綺麗な涙を拭きながら由利子は言った。

『ありがとう、菅田さん。私とN先生の話、知ってるんでしょう。今まで黙っててくれたんだよね』

と、言われたので、私はびっくり仰天した。

私が黙っていると、



『私、あの日、図書館から菅田さんがこっそり逃げてくの見てたんだ。だから、噂になるだろって、覚悟してたの。でも菅田さんにも誰にも何にも言われなかったから、感謝してたの』



そっかぁ。由利子、知ってたんだ。



私がますます何も言えずにいると

『N先生の結婚の話聞いたでしょ。私が勝手に憧れて困らせてただけなの』

と、寂しそうに笑った。



いや、困らせたからって、あんな濃厚なキスはしないだろ?あれは恋人にするキスだったよ....

と、内心思った。

そしてNと身体の関係があったかどうか、聞きたくてウズウズしたがどうしても聞けなかった。そんな下世話な自分にも腹がたった。今その話をしたら由利子はきっと壊れてしまう。



私はわざと能天気に言った。

『ね?今からお汁粉食べない?落ち込んだ時は甘いものだよ?あそこの店、今度新商品出たんだよ?』

と誘うと、由利子は嬉しそうに頷いた。



17歳。少しずつ大人の階段を上がり始めた秋だった。


Nに振られてしまった由利子。大人の難しさをまのあたりにする菅田。青春ね?

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