表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖艶行進  作者: うみはら
2/11

第一話

「こら、青桐。起きなさい。」


暖かい日差しにあたりながら昼寝をしていた青桐に優しい声が掛かる。

まだ重たい瞼をゆっくりと開けてみると、寝転んでいた青桐を覗き込む柊が目に入った。

柊が自分の横に腰を下ろしたのと同時に、青桐も起き上がる。


「こんなところで昼寝をしていたのかい?

全く………君の分の仕事までする木蓮のことも考えなさい。朝会にも来なかったね。次やったら今度はご飯抜きにするよ。」


わかった?と念を押す柊に、青桐は曖昧な返事を返すだけだった。

柊と青桐は『胡蝶の夢』という娼館で住み込みで働いている。柊は男娼、青桐は用心棒として。

青桐よりも年上で、長く店にいる柊は度々、このように青桐に説教をすることがある。それはもちろん、青桐に非があるのだが彼はその説教を真面目に聞こうとはしなかった。柊の説教は毎回言うことが一緒なのだ。


「真面目に聞きなさい、青桐。

君はいい子なんだ。ちゃんと働いてお金を貯めて、早く自立しなさい。」


一週間前に聞いた説教と同じ内容。

青桐の口から、思わず溜息がでる。

その行動に。柊が美しい顔を少し歪めた。

きっと、柊は何もわかっていないのだ。


「青桐。君は僕達と違って、真面目に働いたならこの店から出れる。人としての権利を持つことだって出来るんだ。君はまだ子供だからわからないかもしれないけれど、この店に長くいればいるほど、後になって後悔するはずだ。だから、僕の言うことを聞いて。真面目に働くんだ。」


柊が伝えたいことも十分に理解していた。

それでも青桐は、この店から出るつもりはないのだ。


「柊。わかった、もう少し真面目に働く。

でもさ俺、この店から出て行く気ねぇから。アンタがこの店にいる限り、俺もこの店に残るよ。人としての権利とか、興味ねぇし。それより俺はアンタを守っていたい。」


青桐の言葉に少し驚いた様子の柊だったが、すぐに困ったような微笑みを浮かべた。

そして、そっと立ち上がり青桐の頭を撫でる。


「僕は君に守ってもらわなければいけないほど、弱くはないよ。さぁ、とりあえず真面目に働きなさい。今日は少将様がいらっしゃるのだから、忙しくなるよ。僕は別の着物に着替えてくるから、君は先に木蓮のところへ行っておいで。」


そう言って、柊は早々に部屋を出て行ってしまった。

残された青桐も木蓮の元へ行こうと立ち上がる。忙しくなるのか、面倒くさいな、と思いながら部屋の隅に置いてあった刀を手に取った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ