第24話 最適解
――選定完了。
「……」
その表示が消えない。
頭の奥に、残る。
対象:アレン
状態:適合
備考:選定完了
「……終わりじゃないな」
小さく呟く。
“それ”は、まだいる。
距離は少し離れたが、消えてはいない。
そして。
――見ている。
今までと違う。
観測ではない。
確認でもない。
――待っている。
「……」
理解する。
これは。
最後の確認だ。
「……何をする」
問いかける。
今度は。
応答が来た。
言葉ではない。
だが、明確な“意図”。
表示が出る。
対象:アレン
状態:適合
備考:配置選択
「……配置」
小さく呟く。
その瞬間。
空間が変わる。
分かれる。
二つ。
「……」
一つは。
今までの“あの場所”。
暗く、静かで、何もない。
だが、すべてが見える場所。
そして、もう一つ。
見慣れた場所。
廊下。
人。
現実。
「……なるほど」
理解する。
これは。
どちらにいるか。
それを選べ、ということだ。
「……」
選択肢は、明確だ。
だが。
意味は重い。
「……」
“あの場所”にいれば。
すべてが見える。
世界の構造。
歪み。
原因。
そして。
――修正できる。
「……」
だが。
戻らない。
人間側には。
「……」
逆に。
こちらにいれば。
普通に戻る。
生活。
人。
日常。
「……」
だが。
完全ではない。
見えてしまう。
違和感は。
消えない。
「……面倒だな」
小さく笑う。
どちらも、楽ではない。
「……」
少しだけ考える。
だが。
答えは、すぐに出る。
「……決まってる」
一歩。
現実側へ。
足を踏み出す。
「……戻る」
言い切る。
その瞬間。
“それ”が、わずかに反応する。
否定ではない。
驚きでもない。
――確認。
「……」
さらに言う。
「……でも」
一拍。
「……関わる」
逃げない。
無視しない。
見えているなら。
「……直す」
できるなら。
やる。
「……」
その瞬間。
空間が揺れる。
そして。
表示が変わる。
対象:アレン
状態:配置確定
備考:現界側・干渉許可
「……」
静かに息を吐く。
「……通ったな」
“それ”が、ゆっくりと離れる。
そして。
消えない。
ただ。
遠くなる。
「……」
理解する。
これは。
終わりではない。
配置が決まっただけだ。
「……」
視界が揺れる。
戻る。
廊下。
音。
空気。
「……」
カイルがいる。
「……おい!」
声が飛ぶ。
「どこ行ってた!」
「……少しな」
「少しじゃねえだろ!」
リゼも近づく。
「大丈夫?」
「問題ない」
短く答える。
だが。
完全ではない。
「……」
視界の端。
わずかに、揺れる。
違和感。
消えていない。
「……」
小さく呟く。
「……やるか」
誰に向けた言葉でもない。
だが。
決まっている。
世界は、壊れる。
なら。
「……直す」
できる範囲で。
それだけだ。
そして。
もう一つ。
分かっている。
「……」
見上げる。
天井の向こう。
見えない場所。
「……見てるだろ」
返事はない。
だが。
確かに。
“ある”。
観測は。
続いている。
なら。
こちらも。
続けるだけだ。
ここで主人公は「どちらにいるか」を選びました。
完全に上へ行くのではなく、現実側に残りながら関わるという選択です。
これで物語の軸が確定しました。
次話でこの物語は完結します。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
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最終話もぜひお付き合いください。




