第22話 失敗の代償
――進むしかない。
そう理解しているはずなのに。
「……少し、重いな」
さっきまでとは違う。
空間そのものが、わずかに“抵抗している”。
拒絶ではない。
――選別。
その感覚が、はっきりとある。
「……第2段階、か」
表示を見る。
対象:アレン
状態:試験対象
備考:第2段階
直後。
空間が変わる。
「……」
今度は、一つだけ。
領域が広がる。
さっきのように分割ではない。
“全体”が変わる。
床のようなものが現れる。
だが、安定していない。
踏み込めば、崩れそうな感覚。
「……」
一歩踏み出す。
足が沈む。
すぐに引き戻す。
「……不安定」
表示が出る。
対象:空間
状態:崩壊予測
備考:維持不可
「……なるほど」
今回は、“維持”か。
崩れる空間を、保てるかどうか。
「……分かりやすい」
だが、難しい。
対象が広い。
個体ではない。
“全体”だ。
「……やる」
意識を広げる。
対象:空間
状態:崩壊予測
これを。
固定する。
「――安定」
押す。
強い反発。
さっきの比じゃない。
「……っ」
耐える。
だが、範囲が広い。
押しきれない。
「……分割」
思考を切り替える。
一気にやるから負ける。
なら。
細かく分ける。
「――局所固定」
小さく区切る。
その一点だけ、止める。
成功。
次。
また一点。
止める。
繰り返す。
「……」
空間が少しずつ安定していく。
「……いける」
そのとき。
表示が変わる。
状態:崩壊予測 → 崩壊開始
「……は?」
一瞬、思考が止まる。
次の瞬間。
足場が崩れる。
「っ!」
踏み込んだ場所が、消える。
バランスを崩す。
「……っ」
視界が揺れる。
空間が割れる。
「……おい」
声が出る。
だが、誰もいない。
当然だ。
ここは一人だ。
「……くそ」
理解する。
これは。
“遅い”。
対応が追いついていない。
「……なら」
考える時間はない。
方法を変える。
「……全体を固定するんじゃない」
一拍。
「……崩れる前に、条件を変える」
対象:空間
状態:崩壊開始
これを。
――崩壊できない状態にする。
「――崩壊不可」
押す。
強い。
だが、さっきより一点に集中している。
さらに押す。
結果。
状態:崩壊停止
「……」
空間が止まる。
完全に。
「……成功」
小さく呟く。
だが、その瞬間。
違和感。
「……」
視界が、わずかにずれる。
思考が、少しだけ遅れる。
「……何だ」
表示を見る。
対象:アレン
状態:機能低下
備考:代償
「……」
理解する。
これは。
「……代償か」
小さく呟く。
さっきの操作。
あれは、無理をしている。
その反動。
「……」
試しに、もう一度。
意識を向ける。
だが、反応が遅い。
明らかに。
「……面倒だな」
だが。
これも含めて、試験だ。
そのとき。
空間が戻る。
元の暗い場所。
表示が変わる。
対象:アレン
状態:適合(第2段階)
備考:進行許可
「……」
小さく息を吐く。
「……通ったな」
だが。
代償は残っている。
思考が、わずかに鈍い。
「……これが続くのか」
そのとき。
視界の奥。
“それ”が、さらに近づく。
明確に。
さっきよりも。
「……」
そして。
初めて。
“形”が、少しだけ見えた。
「……」
人に近い。
だが、人ではない。
そして。
――目が合う。
「……」
次の瞬間。
表示が変わる。
対象:アレン
状態:試験対象
備考:第3段階開始
「……」
小さく笑う。
「……やるしかないな」
第2段階では「成功=代償」という形でリスクが明確になりました。
ここから単純な無双ではなく、「何を捨てるか」の選択が入ってきます。
そしてついに、“それ”の輪郭が見え始めました。
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次話はいよいよ第3段階です。




