エピソード 9
サリウス、サキ、フリースの3人は魔界へと降り立った。空は赤く、中生代の翼竜の様な物が空を飛んでいた。
「うっ!」
フリースが急に頭を抱えてその場に蹲ってしまった。
「どうしたのかの?フリース」サリウスが心配げに声をかけた。
「いえ、大丈夫です」フリースは何事もなく立ち上がった。
3人は北を目指して歩き始めた。
サリウスは地図を見ながら言った。「ソーダー寺院はこの先の森を抜けて5キロの地点にある。先を急ぐぞ!」
3人は森の中へと入って行った。
森の中腹にさしかかるとまたもやフリースが頭を抱え蹲ってしまった。
「うっ、うぐぐ…」
「どうしたんじゃ、フリース、気分が悪いのか?」
フリースは次第に形相が悪くなり、みるみる身体が巨大化していった。
「こ奴はもしかして?」
フリースの頭に角が生え、顔は雄牛の様な顔へと変貌していった。
「間違いない、こ奴は魔族の子孫なのじゃ!それが魔界の空気に触れる事によってその血が覚醒したのじゃ!」
「なに!」
魔族となったフリースはサリウスとサキに襲い掛かった。サキは剣を出し、サリウスを庇った。
フリースはサリウスとサキに向かって火を吐いた。サキは剣を回転させる事によってそれを遮った。
「そうか、こ奴は確か」
サキは一瞬頭を抱え込むと、突然クーリンの姿になった。
「ややっ!」
サリウスは目を丸くした。
「フリース、やめるだぽよ~」クーリンが叫んだ。一瞬フリースの動きが止まった。
「あたしはフリースの事が好きなんだぽよ~」
魔族と化したフリースの身体が震えだした。
「だから元のフリースに戻るだぽよ~」
クーリンはフリースの身体に抱き着き、頭部の方へ登って行き、フリースにキスをした。やがてフリースの身体はどんどん縮んでいき、角も引っ込んでいき、顔は柔和となり、元のフリースの姿に戻っていった。
そしてクーリンも元のサキの姿に戻った。
「アレッ、僕どうしちゃってたんですか?」と何事もないような事を言った。
サリウスが説明した。
「ああ、そういえば僕の母方の祖父が全く出生が不明なんです」
「全く人騒がせな奴じゃのう」
「ところでどうしてサキ様はクーリンの姿になれるんですか?」
「私は妹を吸収した、妹の人格は全部継承しておる。お主がクーリンに惚れておったことは薄々感づいておった。それでクーリンの姿になってお主を諭せば魔族の血も制御出来るのではないかと思いついたのじゃ!」
「そうだったんですか… どうもすみません!」
フリースは恥ずかしそうに顔を赤らめた。




