エピソード 8
ガイウス国王、サキ、フリース、マリウス博士はグラニフ国王の召還した大魔王について対策を講じた。
「あの大魔王はとにかく無敵じゃ。サーナ王国の科学力を持ってしても太刀打ちできん、どうすればいいのか…」
サキが名案が思い浮かんだように言った。「確か魔界に行けば大魔王を封じる壺がある筈じゃ」
するとマリウス博士が「ワシの弟は魔術師じゃ、ワシの弟のサリウスに頼めば魔界に行けるかも知れん」
「へえー、博士の弟さんて魔術師なんですか、兄弟で随分違う道を歩まれたんですねー」
「余計なお世話じゃ、ワシと弟とは随分親交を絶っておる、ワシは弟の所には行かんが弟に手紙を書いておく、フリース、君だけで行ってくれ」
「ならば私も同行しよう」とサキが言った。
「エエッ、女王陛下も一緒に魔界へ?危険すぎます!」
「いや、私はお主だけで行く方がよっぽど危険だと思うが」
「その通りじゃな!」とガイウス国王もマリウス博士も賛同した。
「わかりました、私と女王陛下とで行きます」
サリウスの家は郊外から外れた辺鄙な場所にあった。外観はいかにもお伽話に出てくる魔法使いの家、という感じだった。
フリースとサキは並んで歩き、先ずフリースがドアをコンコン、と叩いた。
ドア奥から現れたのは、60代前半位の痩せた金淵眼鏡をかけた初老の男性だった。頬骨が張っているところなどはマリウス博士そっくりだった。
「はじめまして、私はガイウス王国の侍従フリースと申します。こちらは月の女王陛下であられるサキ様です」
「兄から話は聞いておる。中へ入られよ」
サリウスの部屋は様々な薬草や魔術書で囲まれていた。サリウスは古びたテーブルに2人を座らせた。
「グラニフ国王の召還した大魔王は以前、魔界で大暴れし、人間界にも現れて何千人もの人々を食い荒らした凶暴で強大な魔獣じゃ。しかしある魔術師が封じ込めに成功した。その魔術師は魔界のある寺院へとその壺を隠したのじゃ」
「その壺は魔界の何処かにあるというのは見当がついているのですか?」
「ウム、ワシはちゃんと魔界の地図を持っておる、壺は魔界のソーダー寺院にある」
「それだと話しが早いですね!」
「各々方、この魔法陣の中へ入られよ、早速魔界へと潜入するのじゃ」
「ウハッ、マリウス博士も気が早いけど、弟もまた気が早ッ!」
サリウス、サキ、フリースの3人は魔法陣の中へと固まった。サリウスが魔術書を片手に呪文を唱え始めた。すると周りの情景がだんだん揺らぎ始め、緑や赤等の帯が周りを包み始めた。
やがてピカッと周りを線香が走り、別世界への新道が開けた。




