エピソード 6
月ロケットは月の内部に潜入し、発着所に着陸した。
そこには月の女王と思しき人が待ち受けていた。月の女王は黒いボディースーツに身を纏い、銀色の長髪を背中に垂らしていた。
「姉上、お久しぶりです」
リリカ女王が頭を下げた。
「よく来たな」
月の女王がリリカ女王の肩を叩いた。
リリカ女王、フリース、マリウス博士は、執務室へと案内された。
「用と言うのは何じゃ?」月の女王ドルーチェが唐突に訊いた。
「用というのは他でもない、この者たちの祖国ガイウス王国が侵略の危機に晒されておるのじゃ。それで同盟国である我がサーナ王国に援助を求めて来たのじゃ。しかし我が王国には動力となる液体プラズマが枯渇しておる。それでエネルギーの豊富な貴国に支援を求めて来たと言う訳じゃ」
ドルーチェ女王は暫く考え込んでいたが、意を決したように「分かった、その願い叶えてしんぜよう!」と言った。
「しかしそれには条件がある。そなたが私と剣の勝負に勝てたらの事じゃ」
「ど、どうしてなのじゃ」
「私はそなたの望みを全て叶えてやって来た。そなたの欲しい物は何でも与えて来た。私はそなたの欲望に嫉妬しておったのじゃ!」
「………」
「今度ばかりはただで望みを叶えてやる訳にはいかん、今日こそケリをつける」
「わかりました」
2人は闘技場へと向かった。
「私が案内します」人型ロボットがフリースとマリウス博士を観覧席へと案内しようと、2人に近づいて来た。2人はドーム状の建物の中に案内された。下を見ると円形の白い闘技場が広がっていた。
「私の名前はコピと言います」ロボットが名乗った。
やがて黒いボディースーツに銀髪を垂らしたドルーチェと、赤いボディースーツに金髪を垂らしたリリカが各々剣を持って現れた。
試合開始の銅鑼が鳴った。
先に攻撃を仕掛けたのはリリカだった。ドルーチェの首を切り落とさんがままに振りかぶってきた。
しかしドルーチェはそれを見事にかわし、リリカの剣を受け止めた。
最初はリリカの方が優勢だった。ドルーチェは次から次からリリカの攻撃をかわしていった。やがてリリカが不意に攻撃を緩め、隙を見せた。ドルーチェはその隙を見逃さなかった。ドルーチェの剣はリリカの胸部を貫通した。
「あ、ぐぅぅ…」
リリカはその場に倒れた。
ドルーチェはハァハアと息を切らし、暫く茫然と立っていたが、やがてリリカの死体の上に乗りかかり、両手でリリカの顔を包み、「リリカ、あなた食べてあげる。だってあなた私の妹なんですもの」とドルーチェはリリカの右腕を持ち出し、肘に齧り付いた。
「これ以上は見ない方がいいでしょう…」コピはそう言い、退室を促した。
「なんとも悍ましいこうけいじゃのう…」マリウス博士はそう言った。
フリースは悲しそうに後ろを振り返った。
「クーリン…」




