エピソード 5
「エネルギーが枯渇していて、武力である戦闘機が動かせないんですね」
「その通りじゃ、私達の普段の資源は石油なのだが、兵器に関しては液体プラズマを使用しておる。液体プラズマが無くてはどうにもならんのじゃ…」
リリカ女王は俯き、溜息を吐いた。
「一つだけ方法がある。月の女王に頼んで液体プラズマを分けてもらうのじゃ。月には液体プラズマが豊富にある」
「月に人がいるんですか!」
「月は巨大な人口天体なのじゃ!太古の昔より地球の動向を操作してきた」
「そうなんですか!」フリースとマリウス博士は目を丸くした。
「月の女王は私の実の姉じゃ。月と地下世界は連携を組んで地上の人間を操作して来たのじゃ」
「しかしどうやって月に行くのかの?」マリウス博士が心配そうに訊いた。
「ちゃんと月に行く技術くらいは持っておる。黄金の月ロケットを見せてしんぜよう。こっちに参れ」
リリカ女王は最下層へと案内した。
扉を開くと眩い光が周りを照らし出していた。
「おおう、こ、これは…」
目に映ったのは何とも豪華な金色の流線型をしたロケットだった。
「どうじゃ、見よ、この美しいロケットを、このロケットも動力源は液体プラズマなのだが、月に行くぐらいのエネルギーは蓄えておる。そなたたち私と共にこのロケットに乗って月に行くのじゃ!」
「そなたたち、て僕とマリウス博士と女王様でですか?」
「そうじゃ、このロケットは3人乗りじゃ、不満はあるか?」
「いえいえ、とんでもありません、光栄です!ねえ、マリウス博士」
「そ、そうじゃの!宇宙に行けるなんて夢のようじゃ」
「さあ、そうと分かったら、早速ロケットに乗り込むのじゃ」
「エッ、今から行くのですか?」
「そうじゃ、何か文句あるか?」
「いえ、とんでもございません、私達の為にそこまでして下さるとは」
リリカ女王、フリース、マリウス博士は月ロケットのコクピットに乗り込んだ。
月ロケットの内部はとてもシンプルな作りで、座椅子までも黄金だった。
「この月ロケットを操縦できるものは私しかおらん、そなたたち2人は後ろの座席でゆったり宇宙空間を眺めているがいい」
やがて月ロケットが発射した。
月ロケットは何の轟音も立てず、発射した。
月ロケットは地球の核を避けて、その先にある地上へと通じる巨大な穴へと向かっていった。その巨大な穴の先に光が見えた。月ロケットはその光に突っ込んでいった。
地上へ出るとそのまま宇宙空間へと躍り出た。
「ひゃあ、物凄い迫力ですね、これだけの科学力があればグラニフ帝国なんて一網打尽ですね!」
「そうじゃの!」マリウス博士も賛同した。
「よいか、よく聞け、私は多重人格者じゃ、私の他にダナンという男性の人格がおる。彼は主に武器を扱い、武器の操作に秀でておる。あとライサ鳥に跨り、荒野を駆け巡っておる遊牧人もおる」
フリースはそれを聞いてクーリンを思い浮かべた。
「私は生まれながらに人格の分裂と目に見えぬ邪気に翻弄されておった、私は王家の血筋を引いているが為に血筋に呪われた宿命を背負っておるのじゃ… 私の姉ドルーチェもそん私を気遣っており、姉妹仲良くお互いの宿命を訝しんでおったのじゃ…」
「そうなんですか…」
「悲しい宿命じゃのう…」
やがて月ロケットは月面へと近づいていった。月面のハッチが開いた。月ロケットは月の内部へあと突き進んでいった。




