エピソード 2
ドリモグ号は地下へ地下へと掘り進んでいった。
フリースとマリウスはただ茫然と暗い地中を眺めていた。
ドリモグ号を操縦するマリウス博士は「これ以上進んでいくとマントルに達して熱でドリモグ号ごと溶けてしまう筈だが地球は空洞だという説がある。必ず地下世界はある筈じゃ」と意気込んでいた。
なんだか気温が高くなっている気がする。どんどん機内が熱くなっていった。
「本当に大丈夫なんですか?」とフリースが心配そうに訊いた。
「大丈夫じゃ!地下世界は必ず存在する」
それから暫くすると、温度が下がり始めた。やがて光が見えだした。
ドリモグ号は遂に突破し地下世界へと躍り出た!
フリースとマリウス博士はコクピットの中から周りを見回した。そこはジャングルの様な風景で、シダ系の植物が繁茂していた。
2人はコクピットから外に出た。
空を見ると赤い太陽の様な球体が周りを照らし出していた。
マリウス博士は「どうやらあの球体は地球の核のようおじゃの」と言った。
2人はおそるおそる地下世界を探検した。
蜂のようおな昆虫が頬に寄って来た。フリースはそれを手で払い除けた。
暫く行くと熊と豹をミックスしたような動物に遭遇し、その野獣はいきなり襲って来た!
「逃げるんじゃ、早く!」
フリースはピストルを出し発砲したがその野獣には効かなかった。
やがて野獣はフリースに噛みつこうとしたが、そこで動きが止まった。
後ろを振り向くと木の棒に茶色い液体を付け、それを振り回している少女が目に入った。
野獣はおそるおそる後退し、少女が木の棒を投げると一目散に逃げていった。
「アロムはキビッツの樹液が苦手だぽよ!」
「危ない所をありがとう」フリースは礼を言った。
「どうやら地上の人間とお見受けしたぽよ」
その少女は歳は17,8歳くらいで、金髪を後ろに束ね、結っていた。瞳の色は少し茶色がかかったブルーで、丸顔で顎の尖った可愛い子だった。
「君は地底人かの?」マリウス博士が訊いた。
「あたしはこの世界で自由に暮らす放牧人だぽよ」
「僕たちはこの世界を収める君主に会いたいんだ。大昔我が王国とこの地下帝国は同盟を結んでいた筈だ、今我が国は侵略されそうになってこの国の援助が必要なんだ!」
「わかった、今から王宮に案内するだぽよ」
「おお!」
フリースとマリウス博士はてを組み合った。
「でも王宮はここから随分遠いだぽよ、歩いて10日はかかるだぽよ!」
「大丈夫じゃ、ドリモグ号に乗ればひとっとびじゃ!」
「空を飛べるんでしょ!」
「いや、空は飛べん、ただ自動車の代わりになるだけじゃ、歩くよりはマシじゃろう?」
「なぁーんだ…」
フリースは少し残念な気持ちになった。