エピソード 10
フリース、サリウス、サキの一行はソーダー寺院へと無事辿り着く事が出来た。
門の前まで来ると、門衛が言った。「何者だ、お前たちは?」
門衛は謂わばモンク僧のような感じで、頭髪を剃り、肌の色は緑で、身長が2mを超す大男で、レスラーの様なガタイをしていた。
「地上に召還された大魔王を封じ込めるためにここにある壺が必要なのじゃ」と、サリウスが説明した。
「この寺院は魔界の者しか入る事が出来ん。申し訳ないが帰られよ!」
「この男は魔族の血を引いておる」とサキがフリースを指差しながら言った。
「見たところ地上の人間のようだが」
「見た目は人間でも中身は魔族なのじゃ」
「しばしお待ちを」と門衛は寺の中に入って行った。
暫くすると門衛は剣を持って出て来た。
門衛は剣をフリースの額に翳した。すると剣は輝きだした。
「間違いない、この者は魔族だ。中へ入られよ」
門衛は寺の内部へと案内した。
寺院の中は広々とした空間だった。何人かの僧侶が座禅を組んでいた。
寺の代表と思しき、長い白髭を蓄えた痩せた僧侶の様な大男が話しかけて来た。
「各々方はこの寺に奉納されておる壺が欲しいのかの?」
一行は頷いた。
「しかし壺を唯で渡す訳にはいかんぞ!壺の持ち主に相応しい者しか渡さん!」
寺の代表はフリースの肩に手を掛け「お虫には魔族の血を引いているようじゃが、先ずお主にテストを受けてもらおう」
フリースは心配そうにサキとサリウスの顔を見比べた。
「ぼ、僕がですか?」
「そうじゃ!」
「大丈夫、お主だったら出来る」とサリウスがエールを与えた。
代表は一行を奥のテーブルへと連れていき、そこにフリースを座らせた。代表は対面に座り、サイコロと三つのカップを用意した。代表はサイコロをテーブルの上に置き、その上にカップを置きサイコロを隠した。代表は素早く三つのカップをシャッフルし、動きを止めた。「どこにサイコロがあるかの?」と言った。
フリースは暫く考えた後「左です」と答えた。
代表は左のカップを開け、そこにサイコロがあった。「正解じゃ!」と言った。
「じゃあこれはどうかの?」と代表が更にカップを二つ用意した。カップの数は5つになった。またも代表は素早くカップをシャッフルした。動きを止めた。「次はどうじゃ?」
フリースは「右から2番目です」と答えた。代表は右から2番目のカップを開けた。そこにサイコロはあった。「見事じゃ」
代表は更にカップを2つ追加し、カップの数は7個となった。これもまた素早くシャッフルした。動きを止めた。「次はどうじゃの?」
フリースは暫く考えた後「僕の後ろにいる一番左の方です」と答えた。
部屋の入口に立っていた左側の僧侶が右手を出しそこにサイコロはあった。「お見事!」
「どうして私が其方の後ろの男に飛ばしたのが分かったのかの?」
「僕の目力を見くびらないで下さい。ちゃんと見てました」
一同が拍手をした。
「うぬ、そなたは立派な壺の持ち主じゃ。そなたにこの壺を与えてしんぜよう」
代表は奥の方から銅製の丸い蓋をした壺を持ってきた。壺は縦70cm、横幅50cmくらいの褐色をした物体だった。結構重かった。
「持って行かれるがいい。大魔王を封じ込めるにはその蓋を開ければいいのじゃ」
一行は壺尾を持ってソーダー寺院を後にした。
「これで一安心ですね」
「いや、そううまくいくとは限らん、ワシは兄の所にいって対策を立ててみる」
「とりあえず私とフリースは大魔王の所へ直行じゃ!」サキが腕を振るわせながら言った。




