第74話 おばあちゃん、料理対決!?
こんにちは、作者のヨーヨーです!
今回のお話は――なんと「料理勝負」回。侯爵家の厨房を舞台に、フローラ(中身はおばあちゃん)とミーナの対決が繰り広げられます。もちろん最後にはライ様の“恋腹”も大活躍(?)です。
笑って読んでいただけたら嬉しいですし、「続きが気になる!」と思った方はぜひブックマークをお願いします!ブクマが物語を紡ぐ力になりますので、どうぞ応援してやってください。
王都・グランツ侯爵邸の大厨房は、いつものように活気にあふれていた。
大きなかまどではスープの鍋がぐつぐつと煮え、長い調理台には野菜や肉が山のように並んでいる。
使用人たちが慌ただしく動き回り、包丁の音とお玉がぶつかる音がひっきりなしに響いていた。
その厨房の奥。
侯爵家の若き跡取り――ライオネルが、真剣な顔で帳簿をめくっていた。
「……この支出は少し多いな。肉と野菜の割合を見直せば、保存食を無駄にせず済むはずだ」
冷静に書き込みを入れるライの姿に、使用人たちはざわざわ。
「すげえ……若様、戦も政治もできるのに、台所まで数字がわかるなんて」
「どこまで完璧なんだ……」
感心のため息が広がる。
だがその中に、ひときわ低い皮肉混じりの声が挟まった。
「お顔以外は万能ですからな」
そう言ったのは執事バルド。
ひげをなでながら、わざとらしく深くうなずいてみせる。
「……バルド」
ライは冷たい目を向けたが、反論はしない。厨房に笑いが広がり、場が和んだ。
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そんな中。
「おお……この匂い、懐かしいのぉ……いや、わたし初めてで……」
入り口から現れたのは、フローラ――若返ったシエラが“孫娘”として屋敷に潜り込んでいる姿だった。
彼女は大きく息を吸い込み、にこにこと調理台を見回している。
侍女ミーナが慌てて駆け寄った。
「フローラさん!危ないですから、厨房に入ったらダメですよ!」
「なにを言うんじゃ……いやいや、わたし料理は得意ですからの!」
フローラは袖をまくると、調理台の上の包丁を手に取った。
その動きは滑らかで、まるで何十年も台所を仕切ってきた主婦そのもの。
トントントントン――!
あっという間に野菜がきれいに切り揃えられ、調理台の上に山ができた。
「ひ、ひえぇ!速すぎて手が見えません!」ミーナが叫ぶ。
「な、なんという包丁さばき……!」と周りの料理人たちも口をあんぐり。
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「これは……新人なのに達人級だ!」
「まるで長年の経験が染みついてるみたいだぞ!」
厨房は大騒ぎになった。
その様子を見ていたルチアが、青ざめながら頭を抱える。
「やばい……兄様が見たら絶対疑われる……!」
だが、その言葉をかき消すように、ミーナが突然声を張り上げた。
「これはもう!料理勝負するしかありません!」
「はああ!?」
ルチアがずっこける。
「だって、すごすぎますもん!フローラさんの腕前、見たいです!」
「そうだそうだ!」「勝負だー!」と厨房の使用人たちが面白がって騒ぎ始める。
フローラは少し頬を染め、「勝負とな?……ほほ、望むところじゃ」とにやり。
「ちょっと!フローラ、ノリノリにならないで!」
ルチアは必死に止めるが、すでに場の空気は「料理対決モード」一色だった。
こうして――。
次の瞬間、侯爵家の厨房は
「新人侍女フローラVSミーナ」の料理勝負の舞台と化してしまったのである。
大厨房の中央に、大きな鉄鍋が二つ並べられた。
片方にはフローラ、もう片方にはミーナ。
周囲の使用人たちが「勝負だー!」と手拍子を打ち、完全にお祭り騒ぎになっていた。
「ふふふ……これくらいの鍋なら、昔――いやいや、新人でも扱えますとも」
フローラはひときわ大きなお玉を握りしめ、やる気満々。
ミーナも負けじと気合いを入れる。
「絶対に負けません!ライ様にお出しする料理は、侍女としての誇りなんですから!」
「なんか勝手に試合が始まってるんですけどぉぉ!」
ルチアが頭を抱え、床を転げ回る。
「兄様に知られたらどうするのよ!これはただのドタバタ騒ぎじゃないんだからぁ!」
しかし、もはや誰も止まらなかった。
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試合開始。
フローラの動きは、圧倒的だった。
手際よく野菜を切り、塩加減をひとつまみで決める。
火加減も絶妙で、まるで鍋と会話しているように見える。
「お、おばあ……いや、フローラさん!うますぎます!」
「味見ひと口で塩の量がぴたり!?化け物か!?」
使用人たちの驚きの声が飛ぶ。
一方のミーナは……。
「わ、私だってぇ!」と必死に炒めるが、味付けがやや濃すぎる。
「しょっぱっ!」と見学していた下っ端が涙目になる。
「こ、これは完全に勝負あったわね……」
ルチアは冷や汗を流しながら呟く。
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そこへ――。
「……何の騒ぎだ?」
低く落ち着いた声。
入り口に立っていたのは、侯爵家の跡取り、ライオネルだった。
「ひぃぃ!兄様ぁぁぁ!」
ルチアが即座に床に沈み込み、頭を抱える。
「な、なんでもありませんっ!ただの遊びですっ!」
ミーナが鍋を背中で隠そうとするが、ぐつぐつ音が鳴りまくっていて隠しきれない。
ライは鋭い目を細め、調理台に歩み寄ると、湯気をまともに浴びながら一口すくった。
「……うまい」
フローラの鍋を食べて、短くそう言った。
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「こ、これはっ……若様が褒めた!?」「奇跡だ!」
厨房の全員が騒然となる。
ライは続けて、真剣な顔でこう告げた。
「この味には誠実さがある。相手の体調や心を思いやり、余計なものを足さない……まさに誠実な味だ」
「誠実な味ってなんじゃそりゃ!」
思わずフローラが心の中で全力ツッコミ。顔は笑顔を保ちながらも、頬がひきつっていた。
「誠実なお味……素晴らしい表現ですな」
バルドがすかさず眼鏡を押し上げ、妙に感心した声を出す。
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だが次の瞬間。
ライの懐中時計が「カチッ」と音を立て、針がぐぐっと跳ね上がった。
「……ぐっ!」
ライが腹を押さえて、その場にうずくまる。
周囲が「えええええ!?」と大混乱。
「兄様ぁぁ!やっぱりだめだったぁぁ!」
ルチアが叫び、ミーナが慌ててモフドラを取り出す。
小さな竜は「ぷしゅー」と音を立てながら、ライのお腹にぺたりとくっついた。
白い湯気がもくもく立ち、厨房はさらにカオスに。
「大丈夫ですかライ様ぁぁ!」
「胃袋の綻びは裁縫では直せませんな」
バルドの冷静な毒舌に、場はまた爆笑に包まれる。
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ライは汗をにじませつつ、フローラを見上げた。
「……君の……料理は……誠実だった。だが、僕の腹は……誠実には応えられないらしい……」
その言葉に、フローラは口元をぎゅっと押さえて笑いをこらえた。
「ま、まったく……何を言うんじゃこの子は……」
だが心の奥で――。
(……こうして褒められるのも、悪くないのぉ)
フローラの頬には、ほんのり赤みが差していた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
フローラの手際よすぎる包丁さばきに、ライの“誠実な味”コメント、そしてやっぱり避けられなかった恋腹……書きながら私自身もニヤニヤしてしまいました。
もし少しでもクスッとしたり「ライ様……!」と胸が熱くなったりした方は、ぜひ評価や感想をいただけると嬉しいです。皆さんの反応が、次のドタバタを生み出す燃料になります!
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