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完璧侯爵様、恋するとお腹が痛いんです —恋すると腹がキリキリする侯爵様の100連敗—  作者: ヨーヨー
第8章 孫娘侍女 フローラ

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74/100

第74話 おばあちゃん、料理対決!?

こんにちは、作者のヨーヨーです!

今回のお話は――なんと「料理勝負」回。侯爵家の厨房を舞台に、フローラ(中身はおばあちゃん)とミーナの対決が繰り広げられます。もちろん最後にはライ様の“恋腹”も大活躍(?)です。


笑って読んでいただけたら嬉しいですし、「続きが気になる!」と思った方はぜひブックマークをお願いします!ブクマが物語を紡ぐ力になりますので、どうぞ応援してやってください。

王都・グランツ侯爵邸の大厨房は、いつものように活気にあふれていた。


大きなかまどではスープの鍋がぐつぐつと煮え、長い調理台には野菜や肉が山のように並んでいる。

使用人たちが慌ただしく動き回り、包丁の音とお玉がぶつかる音がひっきりなしに響いていた。


その厨房の奥。

侯爵家の若き跡取り――ライオネルが、真剣な顔で帳簿をめくっていた。


「……この支出は少し多いな。肉と野菜の割合を見直せば、保存食を無駄にせず済むはずだ」


冷静に書き込みを入れるライの姿に、使用人たちはざわざわ。


「すげえ……若様、戦も政治もできるのに、台所まで数字がわかるなんて」

「どこまで完璧なんだ……」


感心のため息が広がる。

だがその中に、ひときわ低い皮肉混じりの声が挟まった。


「お顔以外は万能ですからな」


そう言ったのは執事バルド。

ひげをなでながら、わざとらしく深くうなずいてみせる。


「……バルド」

ライは冷たい目を向けたが、反論はしない。厨房に笑いが広がり、場が和んだ。



---


そんな中。


「おお……この匂い、懐かしいのぉ……いや、わたし初めてで……」


入り口から現れたのは、フローラ――若返ったシエラが“孫娘”として屋敷に潜り込んでいる姿だった。

彼女は大きく息を吸い込み、にこにこと調理台を見回している。


侍女ミーナが慌てて駆け寄った。

「フローラさん!危ないですから、厨房に入ったらダメですよ!」


「なにを言うんじゃ……いやいや、わたし料理は得意ですからの!」


フローラは袖をまくると、調理台の上の包丁を手に取った。

その動きは滑らかで、まるで何十年も台所を仕切ってきた主婦そのもの。


トントントントン――!


あっという間に野菜がきれいに切り揃えられ、調理台の上に山ができた。


「ひ、ひえぇ!速すぎて手が見えません!」ミーナが叫ぶ。

「な、なんという包丁さばき……!」と周りの料理人たちも口をあんぐり。



---


「これは……新人なのに達人級だ!」

「まるで長年の経験が染みついてるみたいだぞ!」


厨房は大騒ぎになった。


その様子を見ていたルチアが、青ざめながら頭を抱える。

「やばい……兄様が見たら絶対疑われる……!」


だが、その言葉をかき消すように、ミーナが突然声を張り上げた。


「これはもう!料理勝負するしかありません!」


「はああ!?」

ルチアがずっこける。


「だって、すごすぎますもん!フローラさんの腕前、見たいです!」

「そうだそうだ!」「勝負だー!」と厨房の使用人たちが面白がって騒ぎ始める。


フローラは少し頬を染め、「勝負とな?……ほほ、望むところじゃ」とにやり。


「ちょっと!フローラ、ノリノリにならないで!」

ルチアは必死に止めるが、すでに場の空気は「料理対決モード」一色だった。


こうして――。

次の瞬間、侯爵家の厨房は

「新人侍女フローラVSミーナ」の料理勝負の舞台と化してしまったのである。



大厨房の中央に、大きな鉄鍋が二つ並べられた。

片方にはフローラ、もう片方にはミーナ。

周囲の使用人たちが「勝負だー!」と手拍子を打ち、完全にお祭り騒ぎになっていた。


「ふふふ……これくらいの鍋なら、昔――いやいや、新人でも扱えますとも」

フローラはひときわ大きなお玉を握りしめ、やる気満々。


ミーナも負けじと気合いを入れる。

「絶対に負けません!ライ様にお出しする料理は、侍女としての誇りなんですから!」


「なんか勝手に試合が始まってるんですけどぉぉ!」

ルチアが頭を抱え、床を転げ回る。

「兄様に知られたらどうするのよ!これはただのドタバタ騒ぎじゃないんだからぁ!」


しかし、もはや誰も止まらなかった。



---


試合開始。


フローラの動きは、圧倒的だった。

手際よく野菜を切り、塩加減をひとつまみで決める。

火加減も絶妙で、まるで鍋と会話しているように見える。


「お、おばあ……いや、フローラさん!うますぎます!」

「味見ひと口で塩の量がぴたり!?化け物か!?」


使用人たちの驚きの声が飛ぶ。


一方のミーナは……。

「わ、私だってぇ!」と必死に炒めるが、味付けがやや濃すぎる。

「しょっぱっ!」と見学していた下っ端が涙目になる。


「こ、これは完全に勝負あったわね……」

ルチアは冷や汗を流しながら呟く。



---


そこへ――。


「……何の騒ぎだ?」


低く落ち着いた声。

入り口に立っていたのは、侯爵家の跡取り、ライオネルだった。


「ひぃぃ!兄様ぁぁぁ!」

ルチアが即座に床に沈み込み、頭を抱える。


「な、なんでもありませんっ!ただの遊びですっ!」

ミーナが鍋を背中で隠そうとするが、ぐつぐつ音が鳴りまくっていて隠しきれない。


ライは鋭い目を細め、調理台に歩み寄ると、湯気をまともに浴びながら一口すくった。


「……うまい」


フローラの鍋を食べて、短くそう言った。



---


「こ、これはっ……若様が褒めた!?」「奇跡だ!」

厨房の全員が騒然となる。


ライは続けて、真剣な顔でこう告げた。


「この味には誠実さがある。相手の体調や心を思いやり、余計なものを足さない……まさに誠実な味だ」


「誠実な味ってなんじゃそりゃ!」

思わずフローラが心の中で全力ツッコミ。顔は笑顔を保ちながらも、頬がひきつっていた。


「誠実なお味……素晴らしい表現ですな」

バルドがすかさず眼鏡を押し上げ、妙に感心した声を出す。



---


だが次の瞬間。


ライの懐中時計が「カチッ」と音を立て、針がぐぐっと跳ね上がった。


「……ぐっ!」


ライが腹を押さえて、その場にうずくまる。

周囲が「えええええ!?」と大混乱。


「兄様ぁぁ!やっぱりだめだったぁぁ!」

ルチアが叫び、ミーナが慌ててモフドラを取り出す。


小さな竜は「ぷしゅー」と音を立てながら、ライのお腹にぺたりとくっついた。

白い湯気がもくもく立ち、厨房はさらにカオスに。


「大丈夫ですかライ様ぁぁ!」

「胃袋の綻びは裁縫では直せませんな」

バルドの冷静な毒舌に、場はまた爆笑に包まれる。



---


ライは汗をにじませつつ、フローラを見上げた。


「……君の……料理は……誠実だった。だが、僕の腹は……誠実には応えられないらしい……」


その言葉に、フローラは口元をぎゅっと押さえて笑いをこらえた。

「ま、まったく……何を言うんじゃこの子は……」


だが心の奥で――。

(……こうして褒められるのも、悪くないのぉ)


フローラの頬には、ほんのり赤みが差していた。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

フローラの手際よすぎる包丁さばきに、ライの“誠実な味”コメント、そしてやっぱり避けられなかった恋腹……書きながら私自身もニヤニヤしてしまいました。


もし少しでもクスッとしたり「ライ様……!」と胸が熱くなったりした方は、ぜひ評価や感想をいただけると嬉しいです。皆さんの反応が、次のドタバタを生み出す燃料になります!

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楽しんでいただけましたか?

ぜひ☆評価で作者のやる気が上がります!

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まとめサイトはこちら!

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