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完璧侯爵様、恋するとお腹が痛いんです —恋すると腹がキリキリする侯爵様の100連敗—  作者: ヨーヨー
第7章 悪役令嬢 クラウディア

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69/100

第69話 悪役令嬢、パンの耳で無罪を訴える!?

ついにやってまいりました、物語最大の見せ場――舞踏会での「断罪イベント」!

悪役令嬢クラウディアにとっては一番避けたいシナリオですが、ゲーム知識を持つ彼女の勘違いと、予想外の展開が入り乱れ、今回もドタバタコメディに……!?

ブックマークで応援していただけると、クラウディアが断罪を避けられる可能性が少しは上がる……かもしれません!✨

どうぞ最後までお楽しみくださいませ。

ああ……ついに始まってしまいましたわ。


煌びやかな舞踏会場は、もはや豪華な処刑場にしか見えません。わたくしの頭の中では、シャンデリアがギロチンに、磨き抜かれた床が断罪用の舞台に変わっております。


「クラウディア嬢に問う!」

ユリウス王子の鋭い声が響き、場が一気に静まり返りました。

その瞬間、わたくしの脳裏にゲーム画面がフラッシュバックします。

(はい出ました、定番の断罪イベントぉぉぉ! この後は取り巻きの令嬢たちが次々と証言して、わたくしが公開処刑される流れですわね!?)


そして予想通り、令嬢たちが一歩ずつ前に出てきました。

「クラウディア様は、わたくしのドレスをわざと汚しました!」

「わたしのお茶会を台無しにしたのです!」

「侍女に命じて嫌がらせを……!」


出るわ出るわ、まるで用意していたかのように次々と並ぶ証言。いや、実際に用意していたのでしょうけれど。

わたくしは心の中で盛大に突っ込みました。

(そんなイベント、ゲームで見ましたわ!けれど現実にやらかした覚えは一切ありません!ただ……庶民的なお菓子を笑いながら味見したり、焼きイモの値段に驚いたりしただけですのに!それがなぜ断罪フラグに繋がるのですか!?)


会場の空気がじわじわと重くなる中、ひときわ甲高い声が響きました。

「クラウディア様は、ライ様に色目を使っておられます!」

――はい出ました、最大級の爆弾。


わたくしは心臓をぎゅっとつかまれたようになりました。

(い、色目!? 違いますわ!わたくしはただ、転生者として“ライ攻略ルートのフラグ管理”を意識していただけですの!現実的に色目なんて使ってません! 多分!)


必死で言い返そうと口を開きかけたそのとき。

「おかしいです!」

響いたのはミーナの声でした。


彼女は人混みをかき分け、目を真っ赤にしながら前に飛び出してきたのです。

「クラウディア様がそんな悪いことするはずありません! だって、いつもパンの耳を分けてくださるんですから!」

……パンの耳!? なぜこのタイミングでそんな庶民エピソードを!


会場がざわつきます。

「パンの耳?」「お菓子?」「侯爵令嬢が?」

周囲の貴族たちが顔を見合わせ、妙な疑問の波が広がっていきました。


モフドラまでもが「ぷしゅー」と湯気を吐き、クラウディア擁護のつもりなのか、ミーナの足元をぐるぐる回ってアピールしています。かわいいですが今は混乱を助長しているだけですわ!


わたくしは頭を抱えたくなりました。

(やめてぇぇぇ! そんな証言、逆に怪しいですわ! これでは“裏で庶民を手懐けている悪役令嬢”みたいに見えますでしょう!?)


会場が完全に混沌に包まれた、そのとき。

静かに一歩踏み出したのはライでした。


「――彼女は無実だ」


低く、けれどはっきりとした声が響き渡り、ざわついていた会場がぴたりと止まりました。

怖い顔のライが真っ直ぐに言い切る。その姿に、空気が一変します。

取り巻きたちも、証言を並べ立てていた令嬢たちも、口を閉ざして後ずさりしました。


わたくしは胸を押さえながら呆然と見つめました。

(……いま、ライ様が……わたくしを庇った……!? こ、これは……間違いなく“ライルート恋愛フラグ確定イベント”ですわーーー!!)



「ならば――証拠を示せ!」

ユリウス王子の鋭い声が会場に響き渡った。

その瞬間、胸の鼓動が跳ね上がり、背中に冷たい汗が流れる。


(はい来ました! ゲームで一番の見せ場、“断罪イベント”の山場ですわ!ここで主人公ヒロインが涙ながらに王子に庇われるのが王道ルート……。でも今のわたくし、どう考えても庇われる側じゃなくて断罪される側っ!完全にバッドエンド一直線ではありませんの!?)


令嬢たちの視線が一斉にわたくしへ突き刺さる。

さっきまでのおしゃべりや音楽はすっかり止み、場の空気は重苦しい沈黙に包まれていた。

それはまるで、舞踏会場全体が巨大な裁判所に変わったかのよう。


わたくしは思わず、胸の中で祈った。

(ライ様、どうかイベントをひっくり返して……! もしくは画面の端から「裏技」って出てきません? “Rボタン+スタートで回避”とか!)


しかし現実はゲームではない。

王子は眉をひそめ、冷ややかな視線をわたくしに投げかける。


「クラウディア嬢の潔白を語るなら、動かぬ証を見せよ」


ぐらりと視界が揺れた。

けれど、その場で一歩前に出たのはライではなかった。


「――証拠ならございます」


低い声が背後から響いた。

ゆっくりと前に出てきたのは、侯爵家執事バルド。

まるで全てを見通しているような、鋭い眼差し。彼の手には一枚の書類が握られていた。


「ここにあるのは、取り巻き令嬢たちが“使用人へ不正な指示”を与えていた記録。証人の証言と共に提出いたしましょう」


ざわっ、と会場が揺れた。

取り巻きたちの顔色が一気に青ざめ、互いに小声で何かを言い合っている。


わたくしは思わず口元を押さえた。

(ま、まさかバルド様がこんな切り札を持っていたなんて……! というかこの流れ、完全にゲームのスクリプト外ですわ! 想定外すぎます!)


しかし、バルドはそれだけでは終わらなかった。

わたくしの横を通り過ぎざま、一瞬だけ視線を投げてきたのだ。

その瞳に射抜かれた瞬間、背筋がぞくりと震えた。


――唇が、ほとんど動かないほど小さく形作った言葉。


 「……転生者殿」


心臓が止まりかけた。

(完全にバ、バレてるーーーー!?!?!?)


思わず後ずさりしそうになるのを必死にこらえる。

冷たい汗が額を伝い、ドレスの襟を濡らしていく。


わたくしが頭の中で悲鳴をあげている間にも、場の流れは急速に変わっていた。

証拠を突きつけられた取り巻き令嬢たちはしどろもどろになり、観衆の視線はわたくしから彼女たちへと移っていく。

王子も眉をひそめ、しばし黙り込んだ。


「……どうやら、事実は別のところにあるようだ」


その一言で、会場の空気が一気に緩んだ。

断罪の嵐は、わたくしを飲み込む前に消え去っていた。


胸の奥で大きく息を吐く。

(た、助かった……!ゲームではここで破滅だったのに、現実の私は生き残った……!でも問題は、バルドに……わたくしの秘密が……!)


モフドラが「ぷしゅー」と湯気を吐いてわたくしの裾にすり寄ってきた。

まるで「もう大丈夫だよ」と言ってくれているようで、思わずその背を撫でた。


――けれど心臓の高鳴りは、まだまったく収まってはいなかった。

いかがでしたでしょうか。断罪イベントのはずが、ミーナの「パンの耳証言」やモフドラの暴走で、だいぶ茶番寄りになってしまいましたね(笑)

しかしその裏で、バルドの冷徹な一手や「転生者殿」の囁きが、クラウディアの運命に大きな影を落としています。

彼女がこの先どんな選択をし、どんなフラグを踏み抜いていくのか……。

ぜひ感想や評価で応援していただけると、作者の励みになります! 次回もお楽しみに!

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楽しんでいただけましたか?

ぜひ☆評価で作者のやる気が上がります!

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まとめサイトはこちら!

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