第68話 悪役令嬢、断罪される!?
みなさま、本日もお読みいただきありがとうございます!✨
いよいよ舞踏会、断罪イベント目前……クラウディアの心臓も胃袋も(?)大忙しですわ!
もし「続きが気になる!」「この先クラウディアがどうなるのか見届けたい!」と思ってくださった方は、ぜひブックマークをしていただけると励みになります!
断罪か、それとも予想外のルートか――どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
舞踏会当日の夜、王立学園の大広間はまるで別世界のようだった。
天井からは幾重にも重なるシャンデリアが下がり、無数の光が宝石のように散りばめられている。壁一面には鮮やかなタペストリー、床は磨き上げられ、蝋燭の炎が反射して揺れていた。
貴族令嬢たちは色とりどりのドレスを身にまとい、笑顔でおしゃべりを交わす。青年たちは礼服に身を包み、ワイングラスを手に談笑している。
一歩足を踏み入れただけで、華やかさに目がくらむほどだった。
だが、私はその眩しさの中でただ一人、凍りついていた。
(ここが……断罪の処刑場……!)
心の声が自分でも響きすぎて怖い。いや、ゲームで見た。ヒロインが喝采を浴びる裏で、悪役令嬢が吊るし上げられる運命の舞台。
今、わたくしはその舞台に自分の足で立ってしまったのだ。
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「クラウディア」
背後から聞こえた低い声に肩が跳ねる。
振り返れば、黒い制服のライが立っていた。
怖い顔。いつも通り、まるで処刑人のような目つき。
けれど彼が差し伸べた手は、驚くほど静かで、温かさすら感じさせる。
「エスコートしよう」
「っ……!」
一瞬、頭が真っ白になる。
(やっぱりプロポーズフラグですわ!?いや、違う、これは処刑台に上る囚人に差し伸べられる最後の手かもしれませんの!?)
どちらにせよ、逃げ場はない。私は震える指を彼の掌に重ね、ぎこちなく歩き出した。
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広間の中央、音楽が流れ出す。
軽やかなバイオリンの音色、笛と打楽器が重なり、空気が波のように揺れる。
「は、始まってしまいましたわ……」
呟いた声は音楽にかき消されたが、隣を歩くライには届いたらしい。
「緊張しているのか?」
「に、緊張だなんて……そんな、わたくしが……」
(断罪に震えているだけですわ!!)
その時、背後から妙な声がした。
「きゃー! こっちのダンス簡単ですよ!」
振り向けば、ミーナが庶民流の踊りを披露していた。両手をぶんぶん振り回し、足をばたばたさせる。
当然、周囲の令嬢たちは目を丸くし、青年たちも笑いをこらえている。
「み、ミーナぁあああ!!恥を知りなさいませーーー!」
声を上げた瞬間、私はさらに目立ってしまった。会場の視線がこちらに集中する。
顔が熱くなる。背中に冷や汗が伝う。
(これは……間違いなく断罪の予兆……!)
だがライは、そんな私の隣で表情ひとつ変えない。怖い顔のまま、ただ静かにエスコートしてくれていた。
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そして、ついに――音楽が高まり、踊りの輪の中央へと導かれる。
ライの手に支えられ、私は半ば強引にステップを踏む。
彼の動きは淀みなく、背筋はまっすぐ。
その姿に、会場の視線はさらに集まる。
私は心臓が飛び出しそうになりながら、必死で彼の動きについていった。
「大丈夫だ、僕が導く」
低い声が耳元に届く。
「っ……!」
(い、今のセリフ! 完全に恋愛スチルじゃありませんの!? でもこのあと断罪が来るんですわよね!? どっちなの!?)
私の頭の中では、ハッピーエンドとバッドエンドが同時に再生されていた。
まるで二本のシナリオが重なって、ぐちゃぐちゃの混乱になっている。
「これは……恋愛スチルですわ!」
思わず口に出してしまったその言葉は、幸い音楽にかき消された……はずである。
音楽がひときわ盛り上がり、ダンスの輪が最高潮を迎えたその時だった。
突然、広間の入り口から低い声が響きわたった。
「クラウディア・フォン・エーデルワイス嬢に告げる!」
その声は、まるで雷鳴のように場を震わせた。
一瞬で演奏が止まり、楽団員の手が弦の上で固まる。
笑い声も囁き声も消え、会場は氷のような沈黙に包まれた。
振り返れば――そこにいたのはユリウス王子。
金色の髪を後ろで束ね、白の軍服のような礼装をまとった王子殿下は、まさに「主人公サイドの王子様」という風貌だった。
だが、私にとってはただ一つ――「断罪イベントを実行するゲーム上のギロチン係」。
(き、きましたわね……ついに最悪の本番が!)
頭の中で鐘が鳴り響く。
いや、正しくはシナリオの鐘。悪役令嬢ルートのバッドエンド開始を告げる鐘。
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「人を欺き、周囲を惑わした疑いがある」
王子の口から放たれた言葉は、冷たい剣のようだった。
私は青ざめる。
(はい、それ! 完全にゲームの断罪台詞ですわ!!)
周囲の令嬢たちが一斉にざわめいた。
「あら……やっぱり」
「そういう噂は本当だったのね」
耳に突き刺さる囁き声。
胸がぎゅっと締めつけられる。
「お、お待ちなさい! これは誤解ですわ!」
思わず声を上げたけれど、自分でも震えているのがわかる。
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その時。
「……若様」
低く響いた声に、私はぎょっとして振り返った。
バルドだった。
人混みの中にあっても、一歩踏み出しただけで空気が変わる。彼の冷徹な声は、場の重さをさらに強めていた。
ライがその言葉に応じるように、静かに前に出る。
広間の視線が、一斉に彼へと向かう。
背筋を伸ばした長身、黒い礼服。
その顔は相変わらず「怖い」。
だが、その怖さが今は――私にとって唯一の盾のように思えた。
「彼女を糾弾するならば、その前に確かな証拠を示すべきだ」
ライの声は低く、鋭く、迷いがなかった。
(えっ……? な、なにこれ。ゲームにはなかった展開ですわ!?)
私は目を丸くする。
ゲームでは王子と取り巻きが圧倒的に優勢で、悪役令嬢はただ追い込まれるだけのはず。
でも今――私の隣には、怖い顔をした侯爵家の若様が立っている。
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ユリウス王子は眉をひそめた。
「ライオネル……貴様は彼女の肩を持つというのか」
「正しさのない糾弾はただの暴力だ」
ライは一歩も退かない。
ざわめく会場。
令嬢たちは
「えっ、庇った!?」
「これはまさか恋愛フラグでは?」
と小声で騒ぎ、青年たちは
「グランツ侯爵家と王家が対立を……?」
と動揺している。
私はというと――。
(ちょっと待ってくださいまし!?ライ様!これはただのゲーム断罪イベント!庇ったらフラグがぐちゃぐちゃになってしまいますわー!!)
心の中で頭を抱え、わけのわからない方向に叫んでいた。
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その時、テーブルの下から「ぷしゅー」という間抜けな音が聞こえた。
視線を落とすと、モフドラがワイングラスを倒して頭にかぶっていた。
「ぷしゅ……ぷるる」
どうやら赤ワインを浴びて、全身がぶどう色に染まっている。
「も、モフドラぁああ!」
私の悲鳴で緊張の糸が少し切れ、周囲から思わず笑いが漏れた。
(な、なんですのこの空気!断罪イベントが茶番になってしまいましたわ!!)
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それでもユリウス王子は声を張り上げる。
「証拠があるのだ!取り巻きたちを呼べ!」
ざわつく令嬢たち。
会場の空気は再び張りつめていく。
断罪はまだ始まったばかり。
私はライの隣で、必死に心臓を押さえながら思った。
(わたくし、本当にこの場を生き延びられるのかしら……!?)
――運命の糾弾劇が、いよいよ幕を開けた。
とうとう始まってしまった断罪イベント!
でも、ゲーム通りに進むはずが……ライの介入やモフドラの大暴れで、すでにシナリオが大混乱。
悪役令嬢の未来は果たしてどうなるのでしょうか。
「ライが格好良かった!」「モフドラが癒やしすぎる!」など、どんな感想でも大歓迎です!
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