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完璧侯爵様、恋するとお腹が痛いんです —恋すると腹がキリキリする侯爵様の100連敗—  作者: ヨーヨー
第7章 悪役令嬢 クラウディア

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62/100

第62話 悪役令嬢、災害警報奮闘中!?

みなさま、ようこそお越しくださいました!

今回のお話は、学園の礼拝堂でまさかの「清き誓いイベント」……になるはずが、クラウディア様の勘違いとモフドラの大暴れで、とんでもない方向に転がってしまいます。

果たして恋の誓いどころか、鐘の音で断罪フラグが鳴り響いてしまうのか――?


少しでも「続きが気になる!」と思っていただけたら、ぜひブックマークで応援してくださいませ。物語作りの励みになります!✨

学園の礼拝堂の前に立った瞬間、わたくしは深呼吸をした。


そう――ここは知っている。


「ここは……そう、攻略対象と“清き誓いイベント”が発生する場所!」


わたくしクラウディア=フォン=エーデルワイスは、断罪ルートまっしぐらの悪役令嬢。しかも中身は前世の記憶を持つ転生者である。

だからこそ断言できる。この礼拝堂こそ、乙女ゲームの大イベントの舞台だと!


本来なら、王子やロイス様と一緒にロマンチックに「永遠を誓います」なんて流れになる……はずなのよ。

けれど。


「……安全点検だ。周囲を確認しろ」


目の前で黒マントの裾を翻しながら淡々と指示を飛ばすのは、よりによって侯爵家の若様ライオネル様。

え、なにこれ。ロマンチックどころか、現場検証みたいな空気じゃない。


衛兵が真面目な顔で礼拝堂の扉を調べ、バルドがメモを取っている。

これは完全に「恋愛イベント」じゃなくて「治安維持イベント」では?

わたしの知っているシナリオとぜんぜん違うんですけど!?



---


「クラウディア様、ここでお祈りすると恋が叶うって聞きました!」


突拍子もないことを言い出したのは、ライ様の侍女ミーナ。

庶民出身で思ったことをすぐ口にするから、わたしには心臓に悪い存在である。


「ちょっ……! そんな庶民じみた迷信、信じられるわけないでしょう!」


必死に否定するわたしをよそに、近くの生徒たちが「え? 恋が叶うの?」

「ちょっとやってみようかな」

とざわめきはじめる。

やめて! 悪役令嬢が「恋が叶う」なんて話題の中心にいたら、断罪イベントが加速する未来しか見えない!


そのとき、ゆったりとした足取りでロイス様が現れた。金髪を揺らし、いつもの余裕を崩さない。


「試しにやってみても損はないと思うよ。願うだけなら害はないし」


……この方、ほんの一言で場を支配するのやめていただきたい。

しかもこれ、もしや“ロイス様ルートフラグ”なのでは!?

違う! わたくしは回避したいのよ、その断罪直行ルートを!



---


と、その時。


「ぷしゅう!」


妙な音と共に、小さな影が礼拝堂の鐘のロープに飛びついた。

モフモフした丸い体、湯気をぷしゅぷしゅ吹く――そう、モフドラだ。

よりによってこのタイミングで!


次の瞬間。


ごぉぉぉん……!


澄んだ鐘の音が学園中に鳴り響いた。

礼拝堂の扉がガタガタ揺れ、生徒たちが一斉に悲鳴を上げる。


「な、なによこれ!? 鐘が勝手に鳴るなんて、これ完全にホラー演出じゃない!」


慌てて振り返ると、モフドラはロープにぶら下がったまま「どやぁ」という顔でぷしゅぷしゅ湯気を出していた。

場が騒然となる中、バルドが冷静に言い放つ。


「若様。これは“迷信ではなく災害”でございますな」


「災害って言わないで!」


わたくしの悲鳴は、二度目の鐘の音にかき消された。



---


鐘の音が止んだあとも、生徒たちのざわめきは収まらない。

その中心に、わたくしはちゃっかり立たされてしまっていた。


「……これ、まさかわたしが仕組んだことになってない?」


嫌な汗が背中を伝う。

これは……これは断罪イベントの布石では!?

学園中に「悪役令嬢が不吉な鐘を鳴らした」なんて噂が広まったら――終わる。


「問題はない」


短く冷たい声が割って入った。ライ様だ。

淡々とした表情で「生徒たちに被害はない」と告げ、鐘のことなど大した問題ではないと片づけてしまう。


え、えぇ……? そんな一言で終わるの?

でも……よく考えれば、こうして庇ってもらえたのって、まさかフラグなのでは……?


彼の横顔が月明かりに照らされて、やけに立ち絵映えして見える。

「ちょっと待って……ライオネル様って攻略対象じゃなかったはずよね?」


わたしの頭の中で警報が鳴り響いた。

――これはゲームにはなかった展開。完全にシナリオが狂っている!



鐘が鳴り止んだあとも、礼拝堂の前はざわざわと落ち着かない。

生徒たちは「悪い兆しだ」「いや恋が叶う合図かもしれない」などと言いたい放題で、完全に騒ぎの中心になっているのは――わたし。


いや待って、なんでよ!?

鐘を鳴らしたのはモフドラじゃない。わたしじゃない!

なのに周りの視線が「悪役令嬢が仕組んだに違いない」って雰囲気を漂わせている。


「ふ、不運なだけですわ! わたくしは何もしていませんのよ!」


必死に否定したのに、モフドラはのんきに「ぷしゅー」と湯気を吹き、ロープにぶら下がったまま小さく揺れている。

……その姿が「犯人はこの子です」と言っているようで、かえって怪しい。



---


「ご心配なく」


そこへ、ライオネル様の低い声が響いた。

淡々としたその言葉に、生徒たちのざわめきが少しずつしぼんでいく。


「鐘の鳴動は偶発的なものだ。被害はない。――解散しろ」


短い命令に、周りの子たちは「さすがグランツ侯爵家……」「逆らえない」などと小声でつぶやきながら散っていった。


な、なんて恐ろしい説得力。

さすがに“ゲームの攻略対象外”なだけあって、バランスブレイカー感がすごい。

でも、助けてもらったのは事実……って、これフラグですか!?



---


「若様、鐘の音で場をまとめるとは……まるで教会騎士団の団長のようでございますな」


横から聞こえたのは、執事バルドの皮肉めいた声。

「ただし威厳ではなく、顔面の迫力が……でございますが」

「バルド……」

 ライ様が眉をひそめるが、わたしの方が心臓に悪い。

 この人、絶対わたしの「悪役令嬢」設定にも気づいている。前に独り言を聞かれてしまったし。



---


そんな緊張を吹き飛ばしたのは、ミーナだった。

「クラウディア様! 鐘が鳴ったってことは、やっぱり恋が叶うんですよ!」

無邪気な笑顔でそんなことを言うから、周りの空気がまたざわざわ……。


「ち、違いますわ! ただの偶然ですの!」

「じゃあクラウディア様、誰に恋してるんですか?」

「な、ななな……っ!?」


心臓が止まるかと思った。

わたしは悪役令嬢、断罪イベント直行の存在。

ここで恋なんて認められるわけがない!


慌てふためくわたしの耳に、さらりとした声が届いた。

「追及はやめろ。場が荒れる」


ロイス様だ。

相変わらず落ち着いた態度で、ミーナの天然ボケをあっさり制した。

……控えめな登場なのに、やっぱり絵になるのずるい。これ怖い顔の人特有のオーラなのかも!?



---


混乱の中、モフドラがわたしの肩にぴょんと乗った。

「ぷしゅー」

あたたかい湯気が頬にかかり、緊張で冷たくなっていた手がじんわりと温まる。

……なんだろう。

癒やしマスコットの力って、本当にすごい。


ライ様がふとこちらを見た。

目が合った瞬間、心臓が跳ねる。

「顔色が悪い。少し休め」

そう言ってわたしを礼拝堂の石椅子に導いてくれる。


え、ちょっと待って、これ完全にフラグじゃない?

いやいや、冷静になれクラウディア。

彼はただの気遣い……たぶん。きっと。


けれど――その横顔を見ていると、胸の奥がほんの少し熱くなるのを止められなかった。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

礼拝堂という神聖な舞台も、クラウディア様の手にかかればコメディに早変わり。ミーナの天然ボケと、バルドの毒舌、そしてモフドラの「ぷしゅー」で、作者としては書きながら何度も笑ってしまいました。


もし少しでも楽しんでいただけたら、ぜひ⭐評価や感想を残していただけると嬉しいです。みなさんの声が、この物語をもっと楽しく、にぎやかにしてくれます!


次回もクラウディア様の奮闘をどうぞお楽しみに!

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楽しんでいただけましたか?

ぜひ☆評価で作者のやる気が上がります!

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まとめサイトはこちら!

https://lit.link/yoyo_hpcom

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