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完璧侯爵様、恋するとお腹が痛いんです —恋すると腹がキリキリする侯爵様の100連敗—  作者: ヨーヨー
第1章 貴族令嬢 クラリス

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5/100

第5話 若様、市場大混乱!恋腹と婚約騒動

今回はライとクラリスの「市場デート」です。

値切りもお見事、スリ捕縛でヒーロー扱い、そして……婚約騒ぎで市場全体が大パニック!

恋腹とミーナの暴走で、またも雰囲気は台無しに。どうしてこうなるのか……。


あなたの★【ブックマーク】一つで、王都がさらに安全になります。

王都の大きな市場は、朝から活気でいっぱいだった。


野菜や果物が山のように積まれ、屋台の商人たちは大声で客を呼び込む。

「安いよ安いよ! 今日だけだよ!」

「焼きたてパンだよ! 香ばしい香り、ほら嗅いでみな!」

子どもたちが走り回り、犬がパンをくわえて逃げ、持ち主が必死で追いかけている。まさにカオス。


そんな中、クラリスが控えめに口を開いた。

「今日は少し買い物をしたいのです」

「任せてください」ライは胸を張る。


バルドがすかさず皮肉を落とす。

「市場における若様のお顔は、値札を下げる効果があるやもしれませんな」

「それ、褒めてないだろ」ライがため息をつくと、横でミーナが元気よく手を挙げた。

「じゃあ私、横断幕を用意しておきますね! 『恋人同士のお買い物中!』って書いて――」

「やめろォ!」


ライが慌てて止めるが、すでに布を広げようとするミーナ。通行人が「え、恋人!?」とざわつきはじめる。

ライはあわてて布をひったくり、ミーナは

「えー、盛り上がるのに」とほっぺをふくらませた。


クラリスはそんな騒ぎを横目に、小さくクスッと笑った。



---


野菜売り場では、商人が山積みのトマトを前にして「これ以上は値下げできません!」と頑張っていた。


ライは一歩前に出て、冷静に言う。

「来週から大収穫期が始まるはずです。今のうちに数をさばいた方が得ですよ」

「ぐっ……!」

商人は歯ぎしりしてから「一本取られた!」と叫び、値段を下げた。

周囲の客から拍手がわき、クラリスも目を丸くして「詳しいんですね!」と感心。


続いて布の店では、クラリスが青と赤の生地で迷っていた。

ライは生地を指先で軽くこすり、

「この青は湿気に弱い。長持ちしません。赤は高いですが加工しやすい」

クラリスは「なるほど……」と頷き、赤い布を選んだ。


ここまでは完璧。


……だったのだが。


ライのポケットの懐中時計が、チリチリと音を立て始めた。

恋心を測るその針が、ぐんと上がっている。

「……むずっ」

ライのお腹がムズムズし始め、恋腹が発動。モフドラが慌ててライのお腹に飛び乗り、「ぷしゅ〜」と湯気を吹き出す。


その瞬間。

「肉が蒸されてるぞーっ!!」

隣の肉屋の親父が叫び、あわてて肉をかき集める。客たちも「火事か!?」「逃げろ!」と大騒ぎ。

「違う! 火じゃない! これは……」

ライの必死の説明は、混乱の市場にかき消された。



---


騒ぎが一段落したあと、クラリスが小さく笑った。

「でも……おかげで助かりました」

柔らかい声にライの胸はドクンと高鳴る。


「僕と……」勇気を出しかけた、その瞬間。


市場の反対側で、スリが子どもの財布をすり取ろうとしていた。

ライは一瞬でそれに気づき、衛兵に素早く合図を送る。スリはあっという間に捕まり、財布は無事に子どもへ返された。

「お兄ちゃん、ありがとう!」子どもが笑顔で頭を下げ、クラリスも「本当に頼りになりますね」と感心する。


市場の人たちから拍手がわき、ライは一躍“ヒーロー”扱い。

……だが、恋心を伝えるチャンスはまた遠のいた。


バルドは冷静にまとめる。

「若様、恋腹よりスリ捕縛の方が速いのは結構。しかし恋の進展は、いつも遅延でございますな」


ライは思わず天を仰ぎ、クラリスの横顔をちらりと見て、またお腹を押さえるのだった。


ライとクラリスの買い物は、順調すぎるほど順調だった。

値切りも品質チェックも完璧で、クラリスは

「本当に助かりますわ」とほほえんでいた。

……ここで終わっていれば、今日こそ“いい雰囲気”で帰れたのかもしれない。


だが、そんな平和をぶち壊す存在がいた。


「ライ様! サプラーイズ!」


ミーナが広場の端から飛び出してきた。

両手には、大人の背丈ほどもある巨大な横断幕。

金色のペンキでこう書かれていた。


──『ご婚約おめでとう!』


一瞬で市場が静まり返る。

次の瞬間、「えぇぇぇぇ!?」と全員が絶叫。


「婚約!?」「あの怖い顔の侯爵様が!?」

「いや、意外とロマンチストなのか!?」


クラリスは真っ赤になり、ライは真っ青になった。


「やめろーーーッ!」

ライは全力で横断幕をつかみに走る。だがミーナも「せっかく頑張って描いたのに!」と譲らない。


二人の間で横断幕はビリビリと裂け……最後には

「ご婚……おめ……」という謎の紙吹雪になって宙を舞った。


「わーい! 紙吹雪だー!」

子どもたちがはしゃぎ、駆け回る。


「祝いだ! 婚約祝いだ!」

パン屋の親父がノリでフランスパンを投げ売り。


「うちも負けてられねぇ!」

八百屋がキャベツをまきはじめる。


市場全体が、なぜか“即席結婚パレード”みたいなお祭り騒ぎに。



---


「ま、待ってください! 婚約なんて、まだ……!」

ライは必死に否定するが、怖い顔で叫ぶせいで逆効果。


「わ!こわい顔!?やっぱり強引に結婚させるんだ!」

「顔こええ!!」


さらに誤解が拡大。


おまけにモフドラが「ぷしゅ〜」と湯気を吹き、紙吹雪を吹き飛ばそうとした。

すると周囲の人たちは「竜まで祝福してる!?」と大盛り上がり。


「若様、これはもう市場災害でございますな」

バルドが冷静にツッコミを入れるが、誰も聞いていない。



---


ついにライは決断した。

魔法で声を拡張し、響き渡らせる。


「皆さん! 落ち着いて! 婚約など、まだ決まっていません!」


市場は一瞬でシーンと静まり返る。

フランスパンを持ち上げていた親父の腕が途中で止まり、キャベツを持った八百屋も固まった。


視線が一斉にライとクラリスに突き刺さる。

クラリスはうつむいて真っ赤になり、小声で

「ライ様は誠実な方です……でも、こういうのは、もう少しゆっくりがいいです」と答える。


「……分かりました。あなたの気持ちを尊重します」

ライは深くうなずき、大人の対応を見せる。


その瞬間、懐中時計の針がギュンと跳ね上がった。

「……ぐぅ……!」恋腹が“キリキリ”に突入。

ライが苦しそうに腹を押さえると、モフドラが慌てて飛び乗り、「ぷしゅ〜!」と湯気を噴いた。


市場の人々は「やっぱり婚約はまだか〜!」と茶化しながら散っていく。

クラリスは小さく頭を下げ、

「本日はありがとうございました」と礼儀正しく馬車へ。


ライは頭を抱え、「……待つのは得意なんだがな」とつぶやいた。


「若様、恋は値切りと同じ。焦れば損、待てば得でございます」

バルドのコメントで、この大騒ぎの幕は閉じたのだった。

読んでいただきありがとうございます!

市場という舞台は、群衆とドタバタが似合うので書いていて楽しかったです。

ライは恋心を伝える前に必ず“事件”が起きる運命のようですが、その不器用さこそが魅力だと思っています。

次回は果たして、腹痛より先に恋の進展があるのでしょうか? どうぞお楽しみに!


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

書いていてコメディは楽しいですね。

きっと☆評価をするともっと楽しくなりますよ!

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まとめサイトはこちら!

https://lit.link/yoyo_hpcom

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