第24話 ギャル、改造マントと疑似デート
お読みいただきありがとうございます!✨
今回の話は――ライの黒マントをめぐって、ギャルのカレンがついに“おしゃれ大改造”に乗り出します!市場の喧噪から、雑貨屋・スイーツ・音楽まで、にぎやかな“疑似デート編”。そしてライの「完璧なのに恋だけ不器用」っぷりが、さらに際立つ展開になりました。
読んでいて「ここ笑った!」「この場面好き!」と感じるところがあれば、ぜひ感想で教えてください。ブックマークで応援いただけると、ライの胃痛も少しやわらぐかも……?
市場の騒ぎがおさまった夕方。
串焼きの香りも薄れ、広場は少し落ち着きを取り戻していた。
「ライ様、ほんとに助かりました!」
「怖い顔なのに、やっぱりヒーローだ!」
庶民たちは感謝の言葉を口々に並べる。
だが、その中にギャルの甲高い声が混じった。
「てかライくん、マントださくね?」
――ざわっ。
通りの空気が一瞬で変わる。
黒いマントは、ライが祖母から譲り受けた大切な装い。
それを“ださくね”と切り捨てる女子高生が、この異世界にいただろうか。
「ちょ、ちょっとカレン様!」
侍女のミーナが慌てて口をふさごうとする。
だがカレンはまったく気にせず、スマホを取り出してマントをカシャッ。
「ほら、こうやって撮るとさ、完全に“闇の支配者”って感じ。
でも笑ったらワンチャン、王子枠いけるんだよ? もったいなーい!」
「……伝統を“もったいない”で片づけられるとは」
ライは小さくため息をついた。
「若様」
横でひげをなでる執事バルドが、さらりと毒を落とす。
「お顔が武器なら、そのマントは弾除け。……ただし敵は女性でございますが」
「敵扱いしないでよ!」
カレンが笑いながら両手を広げる。
「でもさ、恋は第一印象ゲーだから! 見た目から攻めなきゃ勝てないっしょ!」
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そのとき。
「ご安心ください! すでに恋愛成功プランは完成しております!」
ミーナがバサッと巻物を広げた。
表紙には大きく「ライ様恋愛成功プラン第一号」と書かれている。
中には棒人間が並んだヘタ絵。
「笑顔強化訓練」
「おしゃれ演出」
「デートコース調査」
と三本線で分けられていた。
「なんだ、これは」
ライが思わずつぶやく。
「芸術は爆発……というより、爆笑ですな」
バルドの冷静なツッコミに、庶民たちがクスクス笑う。
「ちょ、笑うとこじゃないです! これは真剣なんです!」
ミーナが頬をふくらませる。
カレンはその巻物をひょいと奪い取り、じーっと眺めるとニヤリ。
「ふむふむ……なるほど。よし、“おしゃれ演出”はあーしに任せな!」
「え?」
ライが目を瞬かせる。
「ライくん、顔はこわいけどスタイルは神。これは改造したら絶対バズるわ」
「……僕は恋において不器用だ。だから、君の助言に耳を傾けよう」
「よっしゃー! じゃ、あーしとデートだな!」
カレンが突然宣言。
その瞬間。
胸ポケットの懐中時計が「ピクリ」と針を揺らした。
ライのお腹に“ムズッ”と痛みが走る。
「ぐっ……」
モフドラがすかさずライのお腹にぺたんと張りつき、ぷしゅーと湯気を吹き出した。
庶民はまた勘違いする。
「ひぃっ! 火竜が暴発する!」
「水用意しろ!」
「違う! ただの湯気だ!」
ライが必死に叫んでも信じてもらえない。
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「ほらライくん、試着会だよ!」
カレンがどこからかリボンや布切れを持ってきて、ライの黒マントに次々と巻き付ける。
赤いリボン、キラキラの布、謎のハート形バッジ。
「これは本当に必要なのか……?」
ライは真剣に問いかける。
「必要とかじゃない! 映えだって映え!」
カレンは迷いなく断言し、仕上げにマントの肩口へハートをドンッ。
「ギャル仕様、完成☆」
庶民たちは目を丸くし――
「おおっ!」「怖いけど……なんかオシャレ!?」と盛り上がる。
バルドはひげをなでながら、ぽつり。
「若様……怖い顔にキラキラは、祭りの余興にしか見えませぬ」
「……ぐっ」
ライはお腹を押さえてうつむき、小さくつぶやいた。
(僕は完璧だ。……恋以外は、ね)
カレンはドヤ顔でライの横に立ち、ポーズを決める。
「はいチーズ☆ “ギャルとイケメン風コラボ”!」
庶民たちは一斉に拍手。
ミーナは感極まったように叫ぶ。
「これは恋愛成功率120%です!」
こうして――ライの“おしゃれ大改造”は、にぎやかに幕を開けたのだった。
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王都の繁華街は、夕方になるとさらににぎやかだった。
通りには屋台がずらりと並び、甘いスイーツや珍しい雑貨、音楽隊の演奏まで飛び交っている。
「ライ! デート行こ、デート!」
金髪ギャル――カレンがライの腕をぐいっとつかむ。
彼女は先ほど完成させた“ギャルリメイクマント”を誇らしげに見せつけていた。
マントにはラインストーンがびっしり、裏地にはなぜかハート模様が追加されている。
「ちょ、ちょっと待て。これは公務では……」
「デートは手つなぎが基本っしょ!」
カレンが腕を絡めた瞬間――。
ライの胸ポケットの銀の懐中時計がカチリと音を立てた。
針がぐぐっと上がり、腹にムズッ……からのキリキリ痛み。
「ぐっ……」
ライは思わずお腹を押さえる。
すると肩の上から飛び降りた手のひらサイズの小竜――モフドラが、お腹にぺたんと張りついた。
「ぷしゅー」と湯気を吹き出して温める。
庶民たちはその光景を見て、ぎょっと叫んだ。
「火竜だーっ!」「腹から噴火するぞ!」
「……違う、湯気だ」
ライは真顔で否定するが、誰も信じない。
後ろで執事バルドがひげをなでながらつぶやく。
「若様、ギャルの握力より庶民の誤解の方が、腹にこたえますな」
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カレンはライを引っ張って、雑貨屋に飛び込んだ。
「ねえねえ、これかけて!」
差し出したのは黒いサングラス。
ライがしぶしぶかけると――。
「ひぃっ!」「暗黒皇帝だ!」
「カジノの帝王!?」
店の客たちが悲鳴をあげた。
だがカレンは大爆笑。
「やっば、バチイケ! こわ顔にめっちゃ似合ってんじゃん!」
「……評価が混ざりすぎている」
ライは冷静に外そうとしたが、カレンの笑顔が眩しすぎて、また時計の針がピクンと動いた。
「……ぐぅっ」
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次に入ったのはスイーツ屋。
カレンがパフェを二つ注文し、スプーンを差し出してきた。
「はい、あーん!」
「……っ」
恋腹が一気にキリキリと痛む。
ライは受け取ろうとしたが、腹痛でスプーンを落としそうになる。
慌ててモフドラが「ぷしゅー」と温めたせいで、周りの客がまた大騒ぎ。
「火竜がパフェを狙ってるぞ!」
「甘党だったのか!?」
「……違う。ただの湯気だ」
ライは必死に訂正したが、やはり誰も聞いてくれなかった。
カレンはそんな状況にも関わらず、顔を赤らめて小さくつぶやく。
「男子でスイーツ食べてくれるとか、ギャップ萌えマジやば……」
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さらに路地裏では、ミュージシャンがリュートを奏でていた。
カレンはすぐにライの背中を押す。
「ライもやってみてよ!」
「僕は完璧だ。――恋以外はね。音楽なら多少心得がある」
ライが真剣に弦をはじくと、流れる音色は美しく、通行人の足を止めた。
人々は静かに聞き入り、拍手が巻き起こる。
カレンはその横顔をじっと見つめ、思わず顔を赤くした。
「顔こわいのに……優しい音出すとか、ギャップ反則でしょ……」
また時計の針が「ググッ」と上がり、ライはこっそり腹を押さえた。
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日が暮れ、二人はベンチに腰を下ろした。
「今日のライ、普通にモテてたよ! やっぱあーしの改造マント大成功☆」
カレンは満足そうに笑う。
ライはまっすぐ前を見て、小さく答えた。
「……守りたい笑顔だと思った」
その瞬間、針が大きく跳ね上がり、ライはベンチでうずくまった。
「ぐはっ……!」
「ちょ、ちょっと! ライ!?」
カレンが背中をさすり、周りの庶民はまた誤解する。
「暗黒皇帝が倒れたぞ!」
「ギャルに浄化されたんだ!」
場がざわつく中、バルドが静かにまとめた。
「若様。恋愛は大赤字、しかし街の経済は大黒字。……差し引きすればトントンでございますな」
ライは腹を押さえながら小さくつぶやく。
「……それで済むなら、安いものだ」
モフドラは「きゅるる」と鳴き、湯気をもう一吹きした。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
ライにとっては「ただの腹痛の一日」でも、カレンや庶民にとっては“ギャップ萌え大爆発”の一日でしたね。マントにリボンやラインストーンを貼る日が来るなんて、執筆している私も想像していませんでした(笑)
物語はこれからも、ギャルの自由すぎる発想と、侯爵様の真面目すぎる誠実さがぶつかっていきます。ぜひブックマーク&感想で「次はこうなりそう!」と予想をいただけると、とても励みになります!
次回は……またもやライのお腹に非常ベルが!?
どうぞお楽しみに!
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