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完璧侯爵様、恋するとお腹が痛いんです —恋すると腹がキリキリする侯爵様の100連敗—  作者: ヨーヨー
第3章 召喚少女 島津カレン

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24/100

第24話 ギャル、改造マントと疑似デート

お読みいただきありがとうございます!✨

今回の話は――ライの黒マントをめぐって、ギャルのカレンがついに“おしゃれ大改造”に乗り出します!市場の喧噪から、雑貨屋・スイーツ・音楽まで、にぎやかな“疑似デート編”。そしてライの「完璧なのに恋だけ不器用」っぷりが、さらに際立つ展開になりました。


読んでいて「ここ笑った!」「この場面好き!」と感じるところがあれば、ぜひ感想で教えてください。ブックマークで応援いただけると、ライの胃痛も少しやわらぐかも……?


市場の騒ぎがおさまった夕方。

串焼きの香りも薄れ、広場は少し落ち着きを取り戻していた。


「ライ様、ほんとに助かりました!」

「怖い顔なのに、やっぱりヒーローだ!」


庶民たちは感謝の言葉を口々に並べる。

だが、その中にギャルの甲高い声が混じった。


「てかライくん、マントださくね?」


――ざわっ。


通りの空気が一瞬で変わる。

黒いマントは、ライが祖母から譲り受けた大切な装い。

それを“ださくね”と切り捨てる女子高生が、この異世界にいただろうか。


「ちょ、ちょっとカレン様!」

侍女のミーナが慌てて口をふさごうとする。

だがカレンはまったく気にせず、スマホを取り出してマントをカシャッ。


「ほら、こうやって撮るとさ、完全に“闇の支配者”って感じ。

でも笑ったらワンチャン、王子枠いけるんだよ? もったいなーい!」


「……伝統を“もったいない”で片づけられるとは」

ライは小さくため息をついた。


「若様」

横でひげをなでる執事バルドが、さらりと毒を落とす。

「お顔が武器なら、そのマントは弾除け。……ただし敵は女性でございますが」


「敵扱いしないでよ!」

カレンが笑いながら両手を広げる。

「でもさ、恋は第一印象ゲーだから! 見た目から攻めなきゃ勝てないっしょ!」



---


そのとき。


「ご安心ください! すでに恋愛成功プランは完成しております!」


ミーナがバサッと巻物を広げた。

表紙には大きく「ライ様恋愛成功プラン第一号」と書かれている。

中には棒人間が並んだヘタ絵。


「笑顔強化訓練」

「おしゃれ演出」

「デートコース調査」

と三本線で分けられていた。


「なんだ、これは」

ライが思わずつぶやく。


「芸術は爆発……というより、爆笑ですな」

バルドの冷静なツッコミに、庶民たちがクスクス笑う。


「ちょ、笑うとこじゃないです! これは真剣なんです!」

ミーナが頬をふくらませる。


カレンはその巻物をひょいと奪い取り、じーっと眺めるとニヤリ。

「ふむふむ……なるほど。よし、“おしゃれ演出”はあーしに任せな!」


「え?」

ライが目を瞬かせる。


「ライくん、顔はこわいけどスタイルは神。これは改造したら絶対バズるわ」


「……僕は恋において不器用だ。だから、君の助言に耳を傾けよう」


「よっしゃー! じゃ、あーしとデートだな!」

カレンが突然宣言。


その瞬間。

胸ポケットの懐中時計が「ピクリ」と針を揺らした。

ライのお腹に“ムズッ”と痛みが走る。


「ぐっ……」


モフドラがすかさずライのお腹にぺたんと張りつき、ぷしゅーと湯気を吹き出した。

庶民はまた勘違いする。


「ひぃっ! 火竜が暴発する!」

「水用意しろ!」


「違う! ただの湯気だ!」

ライが必死に叫んでも信じてもらえない。



---


「ほらライくん、試着会だよ!」

カレンがどこからかリボンや布切れを持ってきて、ライの黒マントに次々と巻き付ける。

赤いリボン、キラキラの布、謎のハート形バッジ。


「これは本当に必要なのか……?」

ライは真剣に問いかける。


「必要とかじゃない! 映えだって映え!」


カレンは迷いなく断言し、仕上げにマントの肩口へハートをドンッ。


「ギャル仕様、完成☆」


庶民たちは目を丸くし――

「おおっ!」「怖いけど……なんかオシャレ!?」と盛り上がる。


バルドはひげをなでながら、ぽつり。

「若様……怖い顔にキラキラは、祭りの余興にしか見えませぬ」


「……ぐっ」


ライはお腹を押さえてうつむき、小さくつぶやいた。

(僕は完璧だ。……恋以外は、ね)


カレンはドヤ顔でライの横に立ち、ポーズを決める。


「はいチーズ☆ “ギャルとイケメン風コラボ”!」


庶民たちは一斉に拍手。

ミーナは感極まったように叫ぶ。



「これは恋愛成功率120%です!」


こうして――ライの“おしゃれ大改造”は、にぎやかに幕を開けたのだった。


-----


王都の繁華街は、夕方になるとさらににぎやかだった。

通りには屋台がずらりと並び、甘いスイーツや珍しい雑貨、音楽隊の演奏まで飛び交っている。


「ライ! デート行こ、デート!」


金髪ギャル――カレンがライの腕をぐいっとつかむ。

彼女は先ほど完成させた“ギャルリメイクマント”を誇らしげに見せつけていた。

マントにはラインストーンがびっしり、裏地にはなぜかハート模様が追加されている。


「ちょ、ちょっと待て。これは公務では……」


「デートは手つなぎが基本っしょ!」


カレンが腕を絡めた瞬間――。

ライの胸ポケットの銀の懐中時計がカチリと音を立てた。

針がぐぐっと上がり、腹にムズッ……からのキリキリ痛み。


「ぐっ……」


ライは思わずお腹を押さえる。

すると肩の上から飛び降りた手のひらサイズの小竜――モフドラが、お腹にぺたんと張りついた。

「ぷしゅー」と湯気を吹き出して温める。


庶民たちはその光景を見て、ぎょっと叫んだ。

「火竜だーっ!」「腹から噴火するぞ!」


「……違う、湯気だ」

ライは真顔で否定するが、誰も信じない。


後ろで執事バルドがひげをなでながらつぶやく。

「若様、ギャルの握力より庶民の誤解の方が、腹にこたえますな」



---


カレンはライを引っ張って、雑貨屋に飛び込んだ。


「ねえねえ、これかけて!」


差し出したのは黒いサングラス。

ライがしぶしぶかけると――。


「ひぃっ!」「暗黒皇帝だ!」

「カジノの帝王!?」


店の客たちが悲鳴をあげた。

だがカレンは大爆笑。


「やっば、バチイケ! こわ顔にめっちゃ似合ってんじゃん!」


「……評価が混ざりすぎている」

ライは冷静に外そうとしたが、カレンの笑顔が眩しすぎて、また時計の針がピクンと動いた。


「……ぐぅっ」



---


次に入ったのはスイーツ屋。

カレンがパフェを二つ注文し、スプーンを差し出してきた。


「はい、あーん!」


「……っ」


恋腹が一気にキリキリと痛む。

ライは受け取ろうとしたが、腹痛でスプーンを落としそうになる。


慌ててモフドラが「ぷしゅー」と温めたせいで、周りの客がまた大騒ぎ。

「火竜がパフェを狙ってるぞ!」

「甘党だったのか!?」


「……違う。ただの湯気だ」

ライは必死に訂正したが、やはり誰も聞いてくれなかった。


カレンはそんな状況にも関わらず、顔を赤らめて小さくつぶやく。

「男子でスイーツ食べてくれるとか、ギャップ萌えマジやば……」



---


さらに路地裏では、ミュージシャンがリュートを奏でていた。

カレンはすぐにライの背中を押す。


「ライもやってみてよ!」


「僕は完璧だ。――恋以外はね。音楽なら多少心得がある」


ライが真剣に弦をはじくと、流れる音色は美しく、通行人の足を止めた。

人々は静かに聞き入り、拍手が巻き起こる。


カレンはその横顔をじっと見つめ、思わず顔を赤くした。

「顔こわいのに……優しい音出すとか、ギャップ反則でしょ……」


また時計の針が「ググッ」と上がり、ライはこっそり腹を押さえた。



---


日が暮れ、二人はベンチに腰を下ろした。


「今日のライ、普通にモテてたよ! やっぱあーしの改造マント大成功☆」


カレンは満足そうに笑う。

ライはまっすぐ前を見て、小さく答えた。


「……守りたい笑顔だと思った」


その瞬間、針が大きく跳ね上がり、ライはベンチでうずくまった。

「ぐはっ……!」


「ちょ、ちょっと! ライ!?」

カレンが背中をさすり、周りの庶民はまた誤解する。


「暗黒皇帝が倒れたぞ!」

「ギャルに浄化されたんだ!」


場がざわつく中、バルドが静かにまとめた。


「若様。恋愛は大赤字、しかし街の経済は大黒字。……差し引きすればトントンでございますな」


ライは腹を押さえながら小さくつぶやく。

「……それで済むなら、安いものだ」


モフドラは「きゅるる」と鳴き、湯気をもう一吹きした。



ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

ライにとっては「ただの腹痛の一日」でも、カレンや庶民にとっては“ギャップ萌え大爆発”の一日でしたね。マントにリボンやラインストーンを貼る日が来るなんて、執筆している私も想像していませんでした(笑)


物語はこれからも、ギャルの自由すぎる発想と、侯爵様の真面目すぎる誠実さがぶつかっていきます。ぜひブックマーク&感想で「次はこうなりそう!」と予想をいただけると、とても励みになります!


次回は……またもやライのお腹に非常ベルが!?

どうぞお楽しみに!


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楽しんでいただけましたか?

ぜひ☆評価で作者のやる気が上がります!

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まとめサイトはこちら!

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