第22話 ギャル、ピース合図は胃痛の元!
いつもブックマークありがとうございます!✨
今回の話では、新キャラ「金髪ギャル・カレン」が本格的にライたちの仲間入り(?)を果たします。市場でのドタバタから、Wi-Fi(?)タワーでの大事件まで、ギャル的感性が異世界に大炸裂!
作者としては「ギャル語を異世界にどうぶち込むか」で頭を抱えつつ、でも書きながらめちゃくちゃ笑ってしまいました。ぜひ肩の力を抜いて楽しんでください!
市場の騒ぎがようやく落ち着いたころ、市衛兵の小隊が駆けつけてきた。
鎧を着た若い兵士が書き板を手にして、真面目な顔で言う。
「先ほどの“魔導ライト暴発事件”について確認したい。誰が光の水晶を――」
「はいはーい! あーしっす!」
元気よく手を上げたのは、金髪ギャル・島津カレン。
自信満々で叫んだ。
「だって盛れるライトだったじゃん? そりゃ回すっしょ!」
「…………」
兵士は言葉を失った。
周囲の庶民は「盛れる?」と頭を抱える。
そこでライが一歩前へ出た。
長身で姿勢のいい彼は、低い声で淡々と言う。
「責任は僕が負う。彼女は危険ではない。扱い方を知らなかっただけだ」
その瞬間、兵士はライの鋭い顔を見てガタガタ震え、すぐに敬礼した。
「ひっ、ひぃっ! は、はい! ライ様の仰せの通りで!」
バルド執事がひげをなでながら小声で言う。
「若様。説明よりも、そのお顔の方が効き目があるようでございますな」
---
ひとまず事情は終わった。
ライはカレンに向き直り、真剣な声で言う。
「君を保護する。ただし三つだけ約束してほしい」
「三つ?」
「一つ。勝手に魔導具に触らないこと。
二つ。危ないと思ったら合図をすること。
三つ。僕や執事、侍女の指示を最優先にすること」
「おっけー! 合図はピースでいいっしょ!」
カレンが笑顔でピース。
銀の懐中時計の針がチリッと揺れる。
ライはお腹を押さえ、モフドラが「プシュー」と湯気を出した。
「……兄様の判断は完璧ですわ!」
黒髪の妹ルチアが、腕を組んで誇らしげに言った。
「召喚主として、あとは私が全面的にサポートしますの!」
「妹様、まずは反省から始めていただきたい」
バルドの塩対応に、ルチアはぷいと横を向く。
「反省は夜にまとめてやりますわ」
---
それより問題は――。
市場の視線がまだチクチク刺さっていた。
「へそが見えてるぞ……」
「布が足りん!」
ライは冷静に告げた。
「まずは服だ。そして滞在するための仮身分も必要になる」
「へそ隠したらキャラ死ぬって!」
カレンは必死。
すかさず侍女ミーナが手を振り上げる。
「最低限の布は必要です!」
二人の声が市場に響き、庶民が「どっちだ!?」と混乱した。
---
結局、服を整えるために仕立屋を訪ねることになった。
向かった先は「オルテン仕立屋」。王都でも古株の老女オルテンばあさんが営む店だ。
背筋の曲がった小柄なばあさんだが、腕前は一流で、口の悪さも一流だった。
「なんだい、その短い布は。ハンカチかい?」
「へそ出しはアイデンティティなんすよ!」
カレンは即座に反論。
オルテンばあさんは無言で、茶色い腹巻を差し出した。
「布は腹を守るもんだ。……ほら、これでも巻きな」
「ちょ、地味すぎ! でも……」
カレンはその腹巻にラインストーンをペタペタ貼り付け、キラキラ仕様にした。
「……悪くないね」
ばあさんはうなり、庶民も「おお?」とざわめいた。
その後、ミーナが淑女の礼を教えるも――。
「こう、スカートを持って優雅に……」
カレンはTikTokダンス風に腰をひねり、謎の角度で礼をしてしまう。
「こけなければ礼は自由でいい」
ライの実務的な一言で、なんとか収まった。
---
次は身分登録だ。
訪れたのは商人組合の事務所。帳簿と羽ペンを持った書記が、仮滞在の手続きを進めてくれる。
「来訪の目的は?」
「兄様の恋の研究のためですわ!」
ルチアが胸を張って爆弾発言。
「……研究?」
受付の書記が目を白黒させる。
「文化交流だ」
ライが即座に訂正した。
組合の書記は「ひぃっ」と頷き、震える手で用紙を書き始める。
こうして発行されたのが仮滞在証。
王都に短期間だけ滞在できる紙札で、氏名「カレン」、保護者「ライオネル」、期限「七日間」と記されていた。
「やったー! これで異世界に正式入国だね!」
カレンは滞在証にキラキラサインを入れようとする。
書記が慌てて「や、やめてください!」と必死に止めた。
---
外に出ると、市場の裏路地で怪しい影がちらついた。
スリの手が財布に伸びかけた瞬間――。
「ピースっ!」
カレンが約束通りに合図。
ライは人の流れをさっと変え、スリを牽制する。
「今は泳がせる。後でまとめて捕まえる」
低い声でつぶやくライ。
懐中時計の針は静かに動いたままだった。
市場を抜けた先の広場に、それはそびえていた。
石造りの塔に、青い水晶を何個もはめこんだ背の高い柱――魔導通信塔。
王都全域に緊急連絡を飛ばすための魔道具で、兵士や市民の避難訓練にも使われる。
「え、ちょっと待って! あれ絶対Wi-Fiタワーでしょ!?」
金髪ギャル・カレンの目がキラリと輝いた。
スマホを取り出して画面を確認するが、やはり表示は「圏外」。
「ここなら電波入るんじゃね!? あーし、天才じゃん!」
そう言うと、塔の基部に刻まれた光る紋章へ駆け寄り、ためらいなくぺたりと触れた。
「やめ――」
ライが制止するより早く、塔全体がピカッと輝いた。
次の瞬間、町中に**ピロピロピロピロ~~!**と非常ベルが鳴り響く。
「避難だーっ!」
「火事か!? 魔物か!?」
広場の人々は大混乱。
モフドラまで「きゅるるー!」とアラームに合わせて鳴きだし、余計にパニックが広がる。
---
「やっば! ミスった!」
カレンはとっさに両手を上げ、ライに向かってピース。
「ライくんごめん! やらかした! 合図これでいいんだよね!?」
ライはうなずき、すぐに塔の基部へ走った。
長身の体で素早く紋章を調べ、隠されたレバーを探り当てる。
「解除だ」
ガシャンと音を立ててレバーを下げると、非常ベルがピタリと止まった。
広場に静けさが戻る。
数人の衛兵が駆け込んでくる。
「緊急信号が出たと聞いたが、何が……」
「問題ない。訓練モードが誤作動しただけだ」
ライは落ち着いた声で答え、さきほど発行されたばかりの仮滞在証を提示した。
衛兵はライの顔を見て「ひぃっ」と背筋を伸ばし、あっという間に下がっていった。
---
「……誰が触ったんです?」
最後に残った衛兵が問いかける。
その場にいた全員の視線が、同じ方向を向いた。
「……あーしです。てへっ☆」
カレンは広場の真ん中で正座し、舌をぺろりと出して謝った。
庶民たちは「てへって何だ?」「Wi-Fiって魔物か?」とまたもや混乱。
バルドが眉をひそめ、低くつぶやいた。
「妹様の召喚物は、騒動発生率が高すぎますな」
ルチアは鼻で笑う。
「当然ですわ、目立つほど愛は育まれるのです!」
---
騒ぎが落ち着いたあと、ライはカレンの肩に手を置いた。
その顔は相変わらずこわいが、声は柔らかい。
「合図が早かった。……助かった」
カレンは一瞬、ぽかんとライを見つめ――頬をほんのり赤く染める。
「ライくん、マジ神対応……。ガチ惚れしそう」
その言葉に呼応するように、銀の懐中時計の針がチリッと跳ねる。
ライのお腹がムズッと痛み、モフドラが「プシュー」と湯気を出してお腹を温めた。
「……僕は完璧だ。――恋以外はね」
ライが小さくつぶやくと、カレンは笑って親指を立てる。
「へへっ、そのギャップがエモいんだよ!」
---
「兄様、次は何をなさいますの?」
「昼食だ。市場の焼き串なら、君の口にも合うはずだ」
そして並んで歩き出す。
和やかな空気の裏で、路地の奥――。
盗賊一味が影に集まり、物騒な相談を始めていた。
次なる騒動の火種は、すでに灯っている。
---
「若様」
最後にバルドがひとこと。
「ギャルの“ピース合図”は便利ですが……乱発されれば、若様の胃の非常ベルは鳴りっぱなしでございますな」
ライは無言で腹を押さえ、モフドラが「きゅるっ」と鳴いた。
いかがでしたか?今回もライの「完璧」さが光った……のか、胃が痛んだのか、微妙なところですが(笑)、カレンの合図=ピースサインは今後も波乱を呼びそうです。
そしてチラッと登場した盗賊一味、次回はさらに波乱の予感……!?
次話からは「異世界ギャル文化 VS 王都常識」の本格対決(?)が始まります。どうぞお楽しみに!
ブックマーク・感想・レビューで応援していただけると、ライの胃痛がほんの少し和らぎます
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
楽しんでいただけましたか?
ぜひ☆評価で作者のやる気が上がります!
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
まとめサイトはこちら!
https://lit.link/yoyo_hpcom
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




