陶酔心
この作品は受験生や新年度から気持ちを切り替えたいと思う方は読むことをお勧めいたしません
それでも読むのであれば作者は一切の責任を負いませんのでご了承ください
なんでだろうか、いつからだろうか、自分が自分を嫌いになったのは
最近は夜寝るのすら面倒になってそんな自分を嫌悪している
夏の大会が終わって本格的に受験生となってそれまでの自分を恨むようになった
得意の数学も追いつけなくなっていった
共通テストを使わない第一志望校に落ちて親には
「当然だ、お前が受かるわけないって言ったろ」
まあ、そうだよねって思う反面、親なら子供の幸福を願うものじゃないのかなって頭が締め付けられた気がした
それから勉強に力を入れられなくなった
学校で友達に前はこんなに悪くなかったのにどうした?って聞かれるようになった
毎回笑って理解できないんだから仕方ないだろって友達を小突いていたが同時になにかを削っている気がした
家は勉強しているふりばっかりになった
少しでも気怠そうにしてると親から
「落ちたの悔しくないんか!!そんなんだから落ちるんだろうが!!」
そんな罵声が酒に酔いつぶれた親から飛んでくる
…受験前日にお前は受からない、絶対に受かるわけがないって言ったのはどこの誰だよ
そんなこんなで共通テストを受けた自分の結果は言うまでもなかった
卒業式を終えて同級生はみんな笑いながら学校をでていく
一人風に吹かれる桜を眺める
春の陽気は自分の頬を冷たく撫でていった
何も考えず最寄り駅に行き桜の大木のある駅に降りる
時間は7時をとっくに回っていた
車通りのない田舎町の橋は電灯だけが灯っていた
「結局は自分に酔ってただけなんだろうな」
自分が嫌いなのに自分を諦められなくてやればできるなんて根拠のない空白で心を埋めていた
少しくらい親を見返せると思う自分がいた、やればできると思っていた
誰かの役に立てると思っていた、自分にしかできないことがあると思っていた
…ただ…自分のことを…少しでも、ほんのわずかでも好きになりたかった
鈍い音と水の音が橋に響く
(最後まで自分に酔ってたな…)
桜の花びらが一枚街灯に照らされていた
読んでくれてありがとうございました
気晴らしに書いたものですので完成度は気にしないでください