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乞食としてのエレーザの日々
他国へ逃げたエレーザ。ついてきたのは召使いであり、剣士でもあるエデン一人だ。
追手がいるかも知れず、2人はボロ切れを身にまとい、場末の宿屋に身を寄せた。
持ち金が尽きると乞食のように道に座った。
しかし、不思議なことにエレーザが座ると周りの体調が悪そうだった乞食たちが元気になっていくのだった。
次第に薄暗かった町は明るい声が響き、人が走り回った。
精霊たちはエレーザを好いていた。エレーザについてきたのだ。
エレーザは何も知らずにいた。
「エデン、この国は最初荒れていたけれど明るさが出てきたわね」
「黒王女、そうですね」
「ふ、もう王女ではないわ。殺されかけて追い出された身。ここでなにか商売でも始めようかしら」
「それなら、アレストラで人気の剣をつくられては」
「それもそうね」
そう微笑んだ。
エレーザの心の奥には愛する国をおわれた悲しみがあったが、ここから生きていくしかないと思っていた。
そんなころ、エレーザなきアレストラでは異変が起きていた。