表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

バイバイ




「麗さーん」

「げ」


待ち合わせ場所に少し早く向かっていると、歩幅を合わせて隣に並ぶ男。

あたしはあからさまに嫌な顔をしたが、そいつは顔色を変えない。


「げって、酷いなぁ可愛い後輩に」

「だぁーれが可愛い後輩よ。可愛げのない後輩の間違いでしょ」


背の高い細身の男が隣に並んだ。

女子にしては高身長のあたしが見上げるほどの背の高さ。

ふわっふわのパーマの前髪は目にかかる長さ。なのに襟足は短く切り揃えられてるから清潔感も捨てていないというバランス感覚の持ち主だ。

奴は目尻の下がった目を細める。

このタレ目が色っぽくて、王子様みたいと密かに人気なことを知っている。

あたしには、サッパリ良さがわからないけれど。


「今帰りですか?飲みに行きましょうよ」


達海秋。専門学校時代の後輩。フリーのフォトグラファーをしていて、現在業務委託先でもある。


仕事の腕は尊敬しているが、あたしは昔からどうにも秋が苦手だった。


「嫌よ、デートなのよデー…ト」


言いかけて、凍りついたように足が止まってしまった。


ーーーあ、ほら、まただ。


「やめろよ、これから待ち合わせなんだって」

「えーまだ時間あるでしょー?」


待ち合わせ場所に早めに着くと、そこには見知らぬ女が腕に絡みついて、彼氏にキスをしていた。


立ち止まった麗の隣で秋が気まずそうにしているのが空気でわかった。


「あっ、麗!!!」


彼氏の隣にいた女は、彼氏にしなだれかかって、勝ち誇ったように唇が弧を描く。


あたしの存在に気付いて慌て出した彼氏をどこか冷めた目で見ながら、考えるより先に体が動いて隣にいた秋の二の腕を掴んだ。


「麗、これには訳があって、」


言い訳しようとするのは、彼氏、


「ちょうどいいわ。今日は、この人と付き合うから貴方にさよならを言いにきたの。バイバイ。」


ーーーだった人。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ