語り手だぁれ?4
「暑いなぁ……」
団扇を扇ぐ男性の姿が目に入った。私は庭から開いた掃き出し窓から、そっとリビングに入る。
「はぁぁ……」
彼の頬に汗が流れ落ち、私の喉はごくりと鳴った。男性は彼に気づかれないように、そっと彼の左側に回る。そして私は無防備に晒された、彼の左腕に針を立てた。
ぷすりと、皮膚を裂き血が流れ込んでくる。
血はお腹の子の為である。
何倍にも膨れたお腹に満足し、私はその場を後にする。
「あれ? 痒いな……蚊に刺された……」
男生は赤くなった左腕を掻く。
そう私は蚊である。