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芸術とは、最も美しい嘘のことである

 リリカ・クラヴィーアは鍵盤を前に息を整える。

 譜面台の向こう、対岸のピアノに腰掛けた一人の少女を前にして。


 白くしなやかな指が優しく白鍵を撫でた。

 その瞬間、"それ"は始まった。


 二人の奏でる音楽が聴衆の鼓膜を揺さぶり、会場全体に音の世界を構築していく。


 ジャム・セッション――

 それはミュージシャン同士が互いの演奏技術を披露し腕比べをするジャズ発祥の演奏形式。

 しかし音楽家同士の戦いの歴史は、ジャズに始まったものではない。


 古くはベートーヴェンが音楽界で名を馳せる最初の切っ掛けとなった「公開演奏会」、モーツァルトとサリエリのオペラ合戦など、ジャズ以前のクラシック音楽界でも度々、音楽による"戦い"は行われてきた。


 そして今、彼女たちの繰り広げる戦いは、その長い音楽の歴史の延長線上にある。


 二人は譜面台越しに互いの顔を見合わせ笑う。

 打鍵する指が熱を帯び、ペダルを踏む足が繊細に踊る。


 この演奏は、二人にとっては最後の演奏だ。

 だからこそ、リリカ・クラヴィーアは万感の想いを乗せて、目の前の彼女にこの曲を送る――。

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