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今日から学校と仕事、始まります。②莞

勉強しかしていなかった俺が翌年、エースストライカーになっていた話

作者: 孤独
掲載日:2021/08/18

久しぶりに会う人達。姿がちょっと大人びて、変わっていても。中身はそんなに変わっていない。

同窓会にて。


「えーーっ、そうなの?」

「ホント!俺が一番ビックリしてるんだけど!うん!……俺がエースストライカーなの!」

「ははははは」


それだけで凄く笑ってしまう。

だって、お互いに運動音痴でチームプレイとか好きじゃない。

違いと言えば、自分の方が圧倒的に頭が悪くて、向こうはとても頭が良い。都内有数の進学校に進学したって事くらい。


そんな彼から聞いた話を参考に…………。



◇         ◇


中学校で部活を引退まで続けて、希望校に行く。簡単なようで難しいような。自分でもハードルを下げればたぶん、いいんだろう。


「ボール上げろ!」


サッカー部に入ったのは、厳しいからじゃない。楽しそうだったからだ。ドリブルすら上手くできないし、パスも上げられない。……身長はあったから、ヘディングとかはそこそこ有利なのか?ジャンプもそこまで高く飛べないけど。


「あーーっ、もう!下手くそ!」


正直あるあるな事だが、運動神経のある奴には敵わないサッカー部員程度だ。体育のサッカーの方が憂鬱な気がする。でも、サッカーは…………人にもよるが、スポーツは楽しいぞ。個人競技よりも好きな方だ。得意ではないが。


「へーーっ……」


学校の勉強は退屈か。真面目に聞いてれば、ちゃんとできるし。家に帰れば予習も復習もこなす。通信教育やってるし。……勉強が生活時間の中心だ。ゲームとか、そーいうのはやってないな。家族がそーいうのを許さない。時折、その中が羨ましかったりもしたが……。


「勉強教えてー」

「お前、なんでそんなに勉強できるんだよ」


自分と同じように、勉強に熱を入れる人達といる方が楽しかった。こーいう人達の方が性格が良いし、付き合いやすい。やっぱり進学校に行こう。将来はまだ決められないが、ステキな奴等と出会いたい。



そんなこんなを3年間続けて、……自分と同じ学校に行った者は残念ながらいなかったが。無事に希望した学校に合格。頑張ったぜ!

ここでも楽しい学校生活を送るぞ。



「は?」



初日で驚いたのは、クラス全員が眼鏡をかけていたことだった。

そして、みんなが勉強に熱を入れているのだ。なんだこれは……っと、思っている空気になっているのは自分だけだった。


「…………………」


1週間、2週間。

クラスのほとんどが短い会話しかしない。友達でも作りそうなものだが、みーんな。本の虫というか、勉強しかしていない。時折、ゲームもいたが……長い休み時間にだけプレイをする真面目さ。


他の学校じゃ、授業中でもお構いなしとか聞いていただけに。これはちょっと異様。


そして、その異様がよく分かるのが体育の授業。

自分は、中学校時代では下レベルの運動能力であった。


「は、速い!」

「凄い飛ぶなー……」

「ソフトボールをあんなに遠くに飛ばせるなんて……」


100m走、幅跳び、ソフトボール投げ。どれもこれも中学の頃から変わっていないのに。

こんな運動能力で簡単に1位をとるくらい。中学2年の平均以下の自分が、1位をとるくらいのとんでもない学校だった。むしろ、自分が異常なのかなって思いもした。

特に体育では無双しまくった。身体能力もそうだが、クラスのみんながやる気じゃないから、俺が無双する。夏の期間に体育をすると、7人ぐらい熱中症みたいなので倒れていく。

そして、技術や音楽といった事。そこの分野には確かな天才のような人達もクラスにいたが、大半は……びみょー。

自分は勉強しかしていなかったけど、ここまで酷いのはねぇーわって。口には出さなかったが、そう思うレベルだった。


そして、肝心な勉強の方。とてつもないハイレベルであったが、ハイレベル故。上と下の差があまりない。みんなできる。自分も1位とまではいけないが、トップ10には入るぐらいだ。


試験やら授業やら、交流を深めると自然と仲が良くなる。初日はどーなる事かと思ったが、自分にも8人くらいは仲良く話せる奴ができた。一緒に勉強したり、遊びもして楽しんでいる。

高校生活、楽しいっ!

そー思っている頃、話せる奴から訊かれた。


「……お前、中学って。ホントに区立なの?」

「うん。それ、みんな言うな……」


ここにいる生徒の大半、私立中学の出が多かったから少し浮いていたのはある。出身もそうだったが、一番不思議に思われたのは


「勉強もできて運動もできるのに、なんでイジメとかしないんだ?」

マゾなの、お前……?」


自分としてはそんなに陽キャをやっているわけではないのだが……。周りから見ると、陽キャに分類されていたらしい。ただただ楽しい学校生活をしたいから、話しかけたりしただけなんだが。言いたい事は確かに分かる。運動できる奴って大半、イジメをやるよなって。


「俺は何度も言うけど、運動ができないんだ!イジメっつーか……責められたりはしてたよ。でもよ、勉強できたら、あーいうのは黙ってるじゃん!な!」

「うんうん」


運動ができて、頭がいい、そーいう奴もそりゃあいた。それがイジメのリーダー格をやっていると性質が悪い。ま、影で色々言われてるけど。


「でー。そのー。勉強もできない。運動もできない。……障害者でもない。そんな奴が虐められてれば、その時までは良いと思ってたよ。俺の気持ちも分かるだろ」


ここにいる生徒達の大半が他の生徒だったり、親だったりに、そーいう虐待をされた経験をしている。だから、


「ここにいる人達ってイジメが嫌いなんだから、俺は絶対にやらない。嫌な事をしたくないから、今、勉強してたりするから……さ」

「…………は、ははは。そうなのか。俺、ちょっと。中学の頃、ホントにイジメが酷くてさ。学校に良い思い出がないんだ」

「俺はしないよ。ただ、イジメを止めたりはできない。怖いから」


そっかー。このクラスは不思議な事に、イジメから逃れるために勉強を頑張ってきた人達が集まったのか。そういえば、体育どころか学校にすらあまり通わなかったっていう人もいるくらいだし。……だったら、そーいうクラスにはしたくないな。


「またクラス委員やるか」


これから3年間、このクラスでは一度もイジメは起きなかった。

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