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第23話《こんとん》


「とにもかくにも、いなちゃんに質問ね。もう2、3週間で3学期が終わるっていう非常に微妙な時期に転校してきたのはなんで?」


考えてみる。この時期に転校してくるのなら、新学期から登校してくるものではないのだろうか?


「そ、それはあれね。早く学校に来たかったってのが理由よ。わ、私ってほら、学校大好きだから!」


親指だけ爪を切るのを忘れた時のような歯切れの悪さを感じた。いや、これは表現としては微妙ね。


「ふーん。それにしたってどうだかなー。だいたい、2年生になればクラス替えだってあるんだし。他になにか目的があるんじゃないの?誰か会いたい人でもいるとか?」


「え、えぇえ!?べ、べべべつにそんな、会いたい人だなんて!い、いるわけないじゃない!こ、この学校にちっちゃい頃、仲が良かった幼なじみがいるとか、そんなことあるわけないじゃない!?」


本音が口からだだもれだ。ツンデレって案外わかりやすいのかもしれない。


しかし、なるほど、この学校にはいなちゃんの幼なじみがいるのか。それは気になるわね。


「となると、にったかさんは昔この街に住んでいたってことか?」


「まあ、一応、私はこの街の出身ね。小5まではこっちにいたんだけど、ちょっと家庭の事情で街を離れてたわ、って、ちょっと待ちなさい!となると、って!どういうことよ!なんでさっきの私の台詞がこの話題に繋がるの!?ちょ、え?なんで、三人してニヤニヤしてるのよ!?」


意外に目ざといツンデレね。


普通なら見逃してスルーしそうなツッコミポイントにくいついつくるとは……このツンデレ出来る!


「それでそれでー、いなちゃんはーその幼なじみさんには、もう会ったのかなー?」


「そ、それは、その……えっと……実はまだだけど……。とりあえず、このクラスにはいないみたいでええええい!!だぁかぁらぁ!違うんだって!違うの!なんかよくわかんなくなってきてるけど、とにかく違うのよ!確かにこの学校には私の幼なじみがいるって話しを聞いたのは事実なんだけど!私はべつにあいつに会うために待ちきれなくて、無理いって早めに登校してきたわけじゃないの!断じて違うの!」


「そこであれよね。直接、家に押しかけないで、学校で会おうと考える辺りがうぶでかあぁーいわね」


ダイレクトアタックは恥ずかしいでも、逢いたい、そんなこんなで葛藤するツンデレ!あー!なんかいいわねそれ!つーか!じれったいだけなんだけどね!


「よし!思い立ったが吉日よ!今からいなちゃんの幼なじみに会いに行きます!はい!決定!異論はなしなんだからね!」


バッと立ち上がり腕を振りかざす!いざ、行かん!まだ見ぬ幼なじみのもとへ!


「えぇえ!?い、いいいや!ま、まちなさいよ!そそそんな急に……!?まだ心の準備が……!?」


「だめー。行くったらいくのー」


「で、でも……ッ!」


「新高さん、諦めたほうがいいよ。すずは変なとこ強引だから」


「うぅ……」


「ほらほら立って立って、お昼なんか後回しよ」


むしろ、その幼なじみと一緒にお昼っていうのも面白いかもしれないわね。


「さて、いなちゃん!まずはその幼なじみの名前を教えなさい!」


「えっと、その、あの……言っておくけど、か、勘違いしないでよね!べ、べつにただの幼なじみってだけで好きでもなんでもないんだからね!」


「ツンデレはわかったから。早く名前、名前」


「うぅ……わ、私はツンデレじゃないわよぅ……」


いやいや、いなちゃんは立派なツンデレです。しかもツインテールだし。これで金髪だったら文句なしだったのに。


「あのね……そいつの名前は」


「うん。うん」


「……あ」


「あ?」


「あ、有松、赤緒って……いうんだけど……知ってる?」


「有松赤緒かぁ……」


なんか最近よく聞いている名前。つーか、よく口にしているような……。


「……っ!?」


激しく動揺したのはほたる。ん?なんでほたるが赤緒の名前を聞いて動揺してるのか?


あ、そうか。確か。


「赤緒って言えば、ほたるの好きな人だったわね」


「……え?好きな人って……えぇえ!?」


「ちょ!すず!?なにさらりと言ってるんだよ!」


「あれ?言っちゃダメだった?」


「あははー、すずちゃんは相変わらず空気読めないよねー。それは普通は言わないよー」


「うっさいわよ、咲夜。べつに言ったっていいじゃない。ホントのことなんだから。ほたるは赤緒にぞっこんラブだぜイエーイでしょ」


「そ、そうなの!?」


「そうよ」


「そうだよー」


「そ、それはそうなんだけど……」


嘘つかない、自分に素直に生きるがモットーのほたるはここで否定しないで素直に認めた。


「……あぁ……うぅ、え……」


いなちゃんは口をぱくぱくとさせていた。頭が状況を処理しきれてないみたいだ。


「それはそうとさー、すずちゃんは有松くんとどんな関係なのかなー?」


「ん?赤緒と私の関係?どうしたのよ、咲夜。急に何の脈絡もなくそんなこと聞いて」


「だって、すずちゃん有松くんのこと赤緒って名前で呼んでるよー。そんなに仲良かったかなー?」


「ああ、私と赤緒の仲?そんなの良いに決まってるじゃない。赤緒は私の部屋に住み込んでるわけだし」


「へぇ……住み込んでるんだ……」


一時停止。その時、場の空気が止まった。そして爆発する。


「「「えぇえ!?」」」


話しはとことんややこしくなっていた。


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