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第18話《基本的に二人は認知症》


暴君……じゃなくて、ハニーもとい鈴郷有灯ちゃんは8時過ぎに実家に帰宅した。実家から迎えが来たのだ。ちなみに迎えは黒塗りのベンツでした。ここはノータッチでいこうと思う。


有灯ちゃんを見送り、部屋に戻って鈴郷さんと二人になった。なんか急に静かになった気がした。


「ねぇ、有松」


「ん?」


「お腹すいた」


「なにかつくる?」


「さっぱりしたのがいいな」


「冷し中華とか」


「ちょっと早くない?」


「まだ春だしね」


「塩がいいかな」


「カップラ?」


「カップラなら自分でつくれるわよ」


「塩味の何かをつくれってとこ?」


「そういうこと」


「わかった。任せて」


俺は早速、キッチンに向かった。


チャンチャカチャカチャカチャンチャンチャーン。


そんなわけで調理終了。だいたい三分クッキング。出来上がったのは見た目普通のお茶漬け。ここはシンプルに余計なものはいれない。


しかしあれだな。お茶漬けは調理する必要があるか否かは、微妙なとこだな。ご飯よそってお茶をぶっかけるだけだし。


「それなのに!このお茶漬けカップラ(塩)の味がする!普通のラーメンじゃなくてカップラの味ってのがポイントね!なんとなく身体に悪そうで安っぽい感じの味!」


「合成着色料は一切使っておりません」


「へへへ、これだからカップラはやめられねぇーぜ」


「鈴郷さん、へへへ、笑いはさすがに、ちょっとイメージが崩れる。あと、これは一応カップラじゃなくてお茶漬けだからね」


「私の新たな一面を見て、ちょっと萌えたでしょ?」


「……へ?い、いや……何て言うか……残念です。はい」


「ちょっと!そこでなんで言いづらそうに口ごもって「残念です」なんて言うのよ!がっかりだわ!有松にはがっかりしたわ!見損なったわよ!」


「鈴郷さんの中での俺の評価は見損なうだけのものがあったの?てっきり、泣きながら食パンをもしゃもしゃしてやがった気持ち悪い野郎ぐらいの評価だとばっかり」


「いやだって、私は有松のこと好きっぽいじゃん」


「へぇー、そうだったのか」


……あれ?


なにか、今、さらりと爆弾発言されたような?


鈴郷さんを見てみる。俺の視線に気がついた鈴郷さんはなんじゃらほいと首を傾げた。俺もそれにならってなんじゃらほいといった具合に首を傾げた。


「なんじゃらほいって死語かな?」


「なんじゃらほい?死語っていうか私語じゃない?」


確かにそんな気もしないでもない。その前になんじゃらほいって、なんじゃらほい?


んー、よくわからないことになってきたぞ?


結局、俺はなにがしたかったんだ?


まあ、いいか。





「それにしても綺麗になったわね」


私はぐるりと部屋の中を見回してそう言った。


「あの惨劇がここまで綺麗になるとはねー。有松グッジョブ」


ぐいっと有松に親指をたててみせる。


「いやいや、久しぶりにやり甲斐のあるお掃除で、結構、楽しかったさ」


「有松は掃除好き?」


「そうだな。好きっていえば好きだな。やっぱり、綺麗になった部屋を見たときの達成感が実に清々しくてね。こう、ぐっとくるんだよ。ぐっと」


「なるほどね。ぐっとくるのがグッドなわけね」


「ははは、鈴郷さんそれはマイナス10点」


ダメだしされた。いや、自分でも今のは酷かったとは思うけどさ。なんか、悔しかった。


「まあ、有松が掃除好きってのはわかったわ」


「あ、でも俺は掃除より鈴郷さんのことのほうが好きだからね」


「へぇー、そうなの」


……あれ?


なにか、今、さらりと爆弾発言されたような?


「有松」


「はい?」


呼びかけると有松はドウシタデアリマスカーってな感じで、返事をくれた。


「えっと……」


「ん?」


言葉につまる。私は有松になにを聞こうとしていたのか……。


えっと、あれ?なんだっけ?


忘れてしまった……。


あれこれと思い返してみるが、思い出せなかったので、とりあえず有松に聞いてみることにした。


「有松は私が、今、有松になにを聞こうとしたかわかる?」


「……へ?えーっと……お風呂ならさっき沸かしといたよ?」


「あら、気が利くわね。それなら、先にはいってくるわ」


「いってらっしゃい」


「ちなみに聞き耳をたてることまでは赦すけど、覗き見したら……しばらく口聞いてあげないんだからね!」


「大丈夫、大丈夫。覗かないって」


「なによ!それは私の裸に魅力がないってこと!?有松は最強に失礼ね!」


「それは遠回しに覗きを容認しているってことで過大解釈するね!ほらほら、鈴郷さん!早くお風呂行きなよ!俺はその間にカメラのレンズに曇り留めを塗っとくから!」


「って!有松!あんたは私の裸をその網膜に焼き付けるだけじゃ物足りず、あまつさえ、この私の美貌を撮影印刷焼き回し焼き回し焼き回し焼き回しするっていうの!?干渉用、実践用、保存用、枕の下用、心中用にするっていうの!?」


「とりあえず実践用に1枚は欲しいかなって」


「一番最低な選択肢がきたッ!?あ、でもやっぱり心中用のほうが嫌かも」


「え?なんでそれはまた?」


「いやだってさ。写真の私と心中されるのは本物の私としてはなんか複雑じゃない」


「鈴郷さんは俺と心中してくれるの?」


「どうせだったら二人で幸せに暮らしていきたいけど、やむにやまれぬ自体になったとしたら……そうね、有松となら心中してもいいかな」


「するときはなるだけ痛くない方法で逝きたいよね」


「そうよねー。痛いのは嫌よねー」


いや、しかし、なんでまた二人で心中する話しになっているのだろうか?


付き合ってるわけでもないっていうのにね。


おかしな話しだった。


「それじゃ、お風呂いってくるー」


「いってらっしゃーい」


私はすたすたとお風呂に向かった。


結局のところ、有松は覗きには来なかった――つーか、覗かれてるかどうかなんて覗かれてる当人はわかるはずないか。


そんなわけで、有松が私の入浴シーンを除いたか否かは定かではないわけであった。


ばっくらおまけ

有松はサービスシーンを

"たまたま"見ることがよくある。

"たまたま"窓が少し空いていて、その前を"たまたま"通り過ぎたら"たまたま"中の様子が目に入ったとか。

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