29.5日
そうか
昨日は綺麗な三日月だったんだな
朝、窓を開け冷えたベランダで煙草を咥える
いつもより狭い視界
昨晩に未練でもあるのかすっかりと白んだ朝の空に
顔を出している月が入り込む
変わり映えのない日々
二つずつ買った食器
僕の趣味には合わない色
冷蔵庫には二人分のビール
一本が寂しげに結露していた
一人で住むには広い部屋
物語の終わりのように綺麗に畳まれた洗濯物
パーカーの紐の長さはバラバラで
片方だけ伸びきっていた
いつの間にか訪れた夜
僕の部屋にさよならを置き忘れた君が
ドアを開ける
君が帰る頃
月はもう見えなくなっていた
「今日は新月だから月はもう見えないよ」
僕だけに見える満月が
そう告げていた
君だけに訪れる29.5日
解説です
三日月→月の満ち欠けのように君から僕への気持ちが薄れていっている様
パーカーの紐の長さ→僕だけの気持ちが大きくなっている様
僕だけに見える満月→新月(別れ)を迎え
たが男の想いは当初から何も変わってない
君だけに訪れる29.5日→月の一周期。君が周期を超え男への気持ちに整理をつけていることを示す
てイメージです