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麗しいの騎士目線

私は、伯爵家に4番目の子供として、生まれたフォルテ。

上に、何に対しても優勝な兄が1人。

美人だが裏表の激しい腹黒姉が2人いる。

伯爵家を継ぐのは優勝な長男だ。

私は、どこか後継の居ない家に婿入りするか、魔導師になるか、騎士になるか位しか道はなかった。


貴族は、魔力が有る事が、当たり前な、世界だが、それを上手く使えるかどうかで、また道が違う。


私は、魔力の扱いは、兄とは違い苦手だった…。だが、幸い、剣の腕には自信があった。

何かに付け優勝な兄が居れば、弟の教育にも、優勝さを発揮してくれたからだ。

あの、姉2人を見ていれば、女性には、憎悪しか無かった…。

だから、結婚するくらいなら、独り身で居ても、何も言われ難い騎士をしていた方が、自分には、合っていると思った。


騎士の中でも、一番危険が多いとされる、3番隊を希望した。

1番隊は、花形の王族の近衛隊だ。

2番隊は、王宮の警備。

3番隊は、魔物の討伐。有事での参戦。その他有事での警備などだ。

街を護衛したり、戦争で、一般兵士として、出兵されるのは、警備隊と兵士隊と区分されていた。


3番隊は、1番戦いに赴く事の多い、死亡率の高いたいだ。よほど腕に自信がなければ、希望して入る者はまずいない。

しかも、女性からチヤホヤされる騎士の中では珍しく、死亡率が高い事で、3番隊と聞くと、あまりモテないのだ。


自慢するわけではないが、自分の容姿が、女性受けする事は、姉達から嫌と言うほど教え込まれ、自分とよく似た兄が、女性達から揉みくちゃにされ、困っている姿もよく見ていた。

女性から、好ましく思われない3番隊は、私には、嬉しい限りだった。


3番隊の希望は少ないため、すんなり入隊できた。

16歳で入隊して、2年。現在18歳になる。



夜になり、騎士の寮で、夕食を取ったあと、今日は、珍しく、魔導師塔で、騒動が起こった。


王宮の敷地内だが、魔導師塔は、2番隊の管轄は、警備のみ、捜査や、追跡は管轄では無い。

と言う事で、夜仕事をしたく無かったらしい2番隊から、仕事が回ってきた。


駆けつければ、魔石の盗難事件だった。


犯人は、分からず、夜間警備を増やすとの命令に、犯人の捜査班と、警備と別れ、私は、警備班となったため、魔導師塔を徘徊しなければ、ならなくなった。


用事がない限り入る事は無い魔導師塔。

まずもって、用事もない。

徘徊している間に、隠されたように有る中庭を見つけた。

一応、警備だ。中庭も回る必要がある。


「こんな所に、中庭があるなんて…。今まで気が付かなかった…。いや、この作りは、わざわざ隠すように作られているのか…」

サクサクと芝を踏み分ける足音と共に、そんな独り言を呟いて中庭の奥へ入っていく。


すると、奥の泉近くに、ローブを深くかぶる人影があった。

ローブのフードから見える顎や首、手から、老人である事がわかる。背が丸まった、小さな老人を先程の犯人だと疑うには、難があったが、私は、騎士だ。

疑う事も仕事のうちだ。そう思いながら、声をかけた。


「御老人、こんな時間に、こんな所で、どうなさったのですか⁈道に迷われたなら、ご案内致しますが…⁈」



「ふむ。…仕事じゃ。」


言葉少なくしわがれた声の返答が返ってきた。

声の感じから、老婆だろう。


「お仕事ですか⁈こんな時間に⁈」

普通に、驚き、声がでた。


「うむ。」


『仕事…。このローブからして、魔導師か…。夜な夜な怪しい魔術の研究でもしているのか?』


そんな事を思いながら、声をかける。


「つい、先程も、そちらの、魔術師塔で、盗難騒ぎがございました。そのローブを見るに、魔術師の方と、お見受けします。まだ、犯人は、捕獲されていません。安全の為、我々も見回っておりますが、お部屋へ帰られますことをお勧めします。」


「うむ。…じゃが、仕事を放置できぬ。」


『老人は、頑固だな…。このまま、ほっとくわけには、いかないよな…。なんかあれば、ここで見つけている、私の責任だ…。仕方ない…』


「では、お仕事が、終わるまで、付き添わせて頂いても⁈」


「うむ。邪魔しなければ、よい。」


仕方なく、私は、東屋の脇に立った。


休憩をしていたらしい老人が、東屋から、出て泉に向かう。目だけで、それを追っていると、


「我は、これから、長く泉に入る。騎士よ。東屋に入り、座るがよい。そこは、邪魔じゃ。」


と言われてしまった。


その後は、老人は、何やら泉に入れば、集中し始めた。


邪魔だと言われてしまえば、致し方ないと、言葉に従い、東屋に座った。

老人が、魔力を使う。老いたはずのその姿を覆う魔力は、キラキラ光り、なんとも幻想的な光景が続いた。知らないうちに、その老人に見入っていた。

明け方、月の光より、太陽の光が、さしはじめたころ、老人は、仕事を終えたようだ。


「さて、お終いじゃ。」

そう呟くと、老人は、さっさと歩きはじめる。


私は、慌てて、立ち上がり、老人の後を追い、声をかけた。


「では、魔術師塔まで、お送りします。」


すると、老人は、立ち止まり振り向いた。


「我の部屋は…、秘密じゃ。ついて来るでない。」


なんと、来るなと言われてしまう。しかし、犯人の疑いも捨てきれず、まだ薄明かりな今、老人一人では、安全も心配だ。


「しかし…。御老人の身元も確認していませんので…」


何とか、角の立たないように、送る事を伝えたが、


「若者よ…。老人とて、我は、乙女じゃ。乙女の秘密は、暴くものではない。心配せずとも、我は、毎晩ここにおる。確認したくば、今晩もここにくるがいい。ほれ…。これは魔導師の証で、大事な物じゃ。今晩返しておくれ。」


老人は、何と、乙女の恥じらいがあるのだと、断ってきた。貴族の間では、場合により意味が変わるが、簡単に言うなら、女性が、やんわり男性を遠ざけるために、使われる、隠し言葉だ。


今の場合なら、

若僧は、こんな老人にも、欲情するのかと…

ついて来るなら、お前は、変態だ。位の意味がある。


決して老婆が使う言葉ではないことで、老婆に、若僧と軽くあしらわれている事がわかった。


だが、もし、犯人だった場合、自分のプライドで、犯人を取り逃がした事になる。

そう思い、返事をしかねると、首から下げていた、魔導師の証のメダルを渡された。


これは、魔導師にとっては、命の次に大切と言われている物だ。そんな物を預ける者が、たかが魔石数個盗むか…?いや、この証には、魔石数個どころではない価値がある、

「……。わかりました…。では、また今夜。」


私は、渋々納得するしかなかった。

はやく何処かに行けと言わんばかりに、手を払うように振られて、踵を返し、魔術師塔の正門へ向かう。


報告と、朝食、休憩も必要だ。

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