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洞窟の魔物

洞窟に行くのに、第一王子の婚約者は、男装し、冒険者の様な服装になり、髪は、器用に丸め帽子に入れていた。

なんだか、すごく手慣れている気がするのは、気のせいか…。



洞窟には、すんなり入る事ができた。


彼女が言う通り、日頃から、騎士や、兵士、冒険者が出入りしているらしい。


入り口に近い付近には、魔物は、ほとんど居ない。

ただただ歩くだけと言った感じだった。

程なくして、他の冒険者のグループが居た。


彼らは彼らで戦い、戦利品を集めている為、頼まれない限り助っ人は、ご法度だ。

まあ、助っ人をするような、時間は無いため、どんどん進む。


令嬢であるはずの、第一王子の婚約者も、なんの文句も言わず歩いている。

普通は、寒いだの、臭いだの、汚いだの怖いだの文句の一つも、出てきそうな場所で、笑顔でついてくる。


『得体が知れない…』


進めば進む程、魔物との遭遇率も上がる。

だが、まだ大丈夫だ。


戦えるのは自分一人、確実に一匹づつ仕留めてすすむ。

無心に戦っていれば、


「ところで、あなた、名前は⁈」


「………」『呑気に、話しかけてきた…』


「名前くらいいじゃない。」


「………」『それどころじゃないんだが…』


「ま。どうせ泉につけば、全部わかるんだけどね〜。」


「………」『気が散る…』


「あなた、結構強いのね〜。流石、騎士に選ばれただけはあるのね…」


「………っつ…」『クソ!気が散った。戦ってる時に、余裕で会話できるやつなんていないんだよ。今は、自分一人しか戦え無いんだ。無駄な体力使えれない!』


「あら、大丈夫⁈私、令嬢だからね〜。戦えないのよね…。まあ、でもよ、でも、自分の身を自分で守ってるだけでもいいでしょ⁈庇う手間が省けてさ〜。」


「それとも、一緒に魔導具の結界に入る⁈強がらずに、入ればいいのに〜。」


彼女は、魔導具を使っているらしく、結界を張っていた。確かに守らなくていいのは、助かるが…。呑気にされているのは、すごく勘にさわる…。



「くっ……」

『何かあの結界に入るのは、プライドが許さない…』



とりあえず、そんな令嬢は、無視して、黙々と、魔物を倒して洞窟をすすんでいった。



半分くらい来た辺りから、自分1人では、もう進める範囲を超えた魔物が、出始めた。

だが、そんな弱音は吐けない。1人、ひたすら黙々と魔物を狩っていた。


だが、多勢に無勢…。


魔物により、一気に襲いかかられた…。とうとう膝をついた。

「……ぐぅ。くっ。」

『くそ!ここまでか!グランマーレ様…』



後ろから、ボソボソと話し声が聞こえてきた。


「…。これはどう言う事かな⁈」


第一王子の婚約者だ、誰かが探しにきても、おかしくはない。やはり泉への案内は、嘘だったのか…。私は、騙されたのか…。

助けを呼ぶための時間稼ぎか…⁈


「あっ…お兄様…」

「………。」


「あっ、ハス、ラス…。騎士さんに、助っ人してあげて〜。」


「「賜りました」」


すると、なんと、探しに来た者に、私の助っ人をたのんだ。

2人は、言われた通りに、助けに行ってくれた。


一人は馬車にマリー嬢を迎えにきた者で、ハスと呼ばれていた。


「こら…。話をそらすな…。お前誘拐されたはずが、何故、誘拐犯を虐待紛いに、魔物に襲わせている!?

罰するにしても、お兄様は、少しお前の正義感を疑うぞ…」


どうやら、漏れ聞こえる話しでは、彼女の兄のようだ。

馬車が、消えた為、捜索していた兄は、ハス等から場所を聞いて駆けつけたらしい。

しかも、彼等は相当強い。



兄と呼ばれた、騎士服の男も、相当な強さだった…。


なぜかって、余裕で話しながら戦っている…。

『確か、見たことがある…。あの人は、第一王子の近衛長だ。』



会話の内容から、近衛長は、騎士を泉へ連れて行くのを渋っているようだ…。

困った…。


この国のものでもなく、さらには、騎士になり、裏切りまでした者だ…。

確かに自分でも、信じられないだろう…。


だが令嬢が、


「お兄様。

人を思う心に、嘘がないなら、それはその人にとっては正義です。

人はそれぞれ、違う場所で産まれ、考え方も違います。相反する人もいますが、自分に相反したらみんな悪ですか⁈違うでしょう?それは、その人なりの正義があるはずです。

だから、真実を見抜き、真実の愛情のみで、助けれる泉で……」

戦っている為、しっかり聞こえないが、説得してくれていた。


「きみは、昔から、変な考え方をするよね。まあ、それが、君の正義なのかな⁈

わかったよ。彼の正義や、愛は、泉の判断に任せるとするか。

では、さっさと最奥へ」


そう言うと、近衛長は、腰の剣を抜き、一気に周りを吹き飛ばした。









最奥………。



首が一本のケルベロスが、待ち構えていた。


『なんだ、この生き物は…』


そう思ったときには、一瞬にして、意識を刈り取られた。







しばらくして、目を覚まし、目の前の状況に、眉をひそめた…。


ケルベロスは倒れ、違う大きな犬?が、その横に立っていた。


なんとか、体を持ち上げで、周りを見渡せば、令嬢達は、何処から持ってきたのか、敷物を敷き、優雅にお茶をしている…。


驚いて見つめていれば、令嬢が、こちらに気がついた。


「あら…やっと起きた。ほら、あの犬が、泉の管理者よ。彼女から説明を聞きなさい。」


「な!?」


「さて、万能薬を求る者よ…。

私に触れながら、あなたの望みと心と理由を全て話しなさい。

嘘、偽りなく、必要性が認めなれれば、あの辺りに、泉が出現します。」


『はたして、本当に、この犬が泉の管理者なのだろうか…。

私は、悩んでいた、だが、あの令嬢…。とりあえず、今のところ、兄を説得したり助けてはくれているようだ。

私は、再生の泉の為だけに、旅をし、苦労を重ねたんだ!これにかけてみるか!』

決意を決め、大きな犬に向かい声を張った。

「私の仕える、グランマーレ姫が、我々の事を助けるために、全身に消えない傷を負った。それで今は歩く事すら困難な状態だ。

だが、姫には、結界を貼り続ける使命がある、国の為には、命を削ってその使命を果たさなければならず…。だが、姫が亡くなれば、国も危うい。

しかし、その前に、たった、16歳の少女が、1人他人の為に苦しみに耐えているのをなんとかしたい。

傷さえ無ければ…。使命を果たすのに命まで削る必要は無いのだ。だから、傷を治す為の薬をどうか…私の心から、愛する人を苦しみから救う万能薬を私に下さい。」


嘘、偽りなく、目の前の大きな犬に、すがるような気持ちで訴える。


すると、洞窟の奥にある一部の地面が、光だし泉が現れた。

「その泉の底には、祠があるから、泉に潜り祠のなかから、万能薬を持って行きなさい。

泉の水には、嘘や、後悔、不安に反応して、あなたの生命力を吸い取ります。気をつけて…」



「感謝する!」


なんの迷いも無く、私は、泉に飛び込んだ。

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