1 プロローグ
思いついたら、忘れないうちに書きたくて…。
短い連載もの予定です。R15は、保険です。
筆頭王宮魔術師長とは、国で一番の魔法使いだ。
その年齢は、不明。
一説には、100歳200歳の化け物とも言われていた。
だが、実は。
筆頭王宮魔術師長とは、代々本人が、後継となり得る者をその、自他共に認める魔法の才能で、見つけ出し、容姿と魔力を譲って受け継がれていた。
14年前、80歳を超えた、前筆頭王宮魔術師長が、後継者を見つけ、2年前に交代した。
現在は、16歳のこの国の3番目の姫が、
筆頭王宮魔術師長の跡を継いでいた。
この国の記録には、王子は、1人。姫は、3人。
産まれる前から、前筆頭王宮魔術師長は、この3番目の姫が、莫大な魔力を持ち、次の筆頭王宮魔術師長であると、予言していた。
姫は、その存在を姫では無く、筆頭王宮魔術師長とするために、病弱を理由に公の場には、出されずに育ったのである。
この国には、結界がある。
魔物や、周りの国から、国を守る、壮大な結界である。この結界を維持、補修することこそ、筆頭王宮魔術師長に、課せられた1番の仕事でる。
名前ばかりは、立派だが、事実を言うなれば、結界の為の生贄のようなものであった。
結界を維持する為に、ほとんど、王宮の守りの塔から出られない。
筆頭魔術師長の仕事のため、敷地内の、中庭を挟んだ魔術師塔への行き来と、自室への行き来が、彼女の移動範囲だった。
彼女は、普段は、100歳にも、200歳にも見えるほどに、年老いた姿をしていた。
前筆頭魔術師長の姿、そのものをそのまま、変幻の魔術で、譲り受け継いでいた。
これは、代々受け継がれ、いつ世代がわりしたか、わからないようにする為に行われていた。
彼女の正体を知っているのは、家族である王族と、彼女付きの執事1人、乳母1人、侍女1人、そして、王宮魔術師副長のみであった。
現筆頭魔術師長の彼女が、第3王女である事、16歳の若さである事は、国家機密である…。
のんびりやなので、温かい、長い目で見てやって下さい。