悶える者。
愛くるしいよ、悶える者。
触れることはないけれど、堕天使の香り。
沸き立つ絶命の予感を知れ。
拒み続ける安寧は、しくじり続ける和解の上塗り。
沈み行く断絶の予感と死ね。
この清潔で、均衡の証の部屋の中、動くことを奪われた。
ここから見ているよ、悶える者。
驚きと失笑の結末から先回り、この先の扉の施錠は済んだ。
かけがえのない未来と信じるなら、その命の価値を知れ。
淡く気高い夢と信じるなら、未だ見えない奇跡の意味を知れ。
招かざる者、悶える者。
慰めることはないけれど、慰み者の刻印。
のらりくらりの結末から先回り、その先の本末転倒の罠を知れ。
微塵の動きも奪われたこの部屋の中、招き入れるよ、悶える者。
永遠の傍観者、その夜に交わる。
光指す先に未来があると信じるなら、歪に伸びる影の先に過去があると知れ。
招かざる者、愛しい者よ。
閉め出された未来を信じられないのなら、あなたは確かに悶える者。
閉ざされた部屋、たったひとつの扉。
待ち焦がれた者、この夜と交わる。
招かざる人、悶える者、永遠の傍観者の席を手に入れる。