表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迦具夜姫異聞~紅の鬼狩姫~  作者: あおい彗星(仮)
第2夜 古都大和
16/113

第8話 教えて、唖雅沙先生!

 古より陰陽師の聖地として栄えている都“大和(ヤマト)”。

 四方を山に囲まれ、中央には都市の半分を占める“黎明湖(れいめいこ)”と呼ばれる湖があった。

 その湖には島が浮かんでおり、“陰陽寮(おんみょうりょう)”と呼ばれる陰陽師の学舎を中心とした学園都市が形成されている。

 そして、大和で一番高い山には、陰陽院の本部でもある城が、大和を一望出来る位置に建っていた。


「──ここまでは知っているよな?」

「初めて聞きました」

「貴様は本当になにも知らないのだな」


 はあ、と唖雅沙が呆れたようにため息を吐く。すると、今度はホワイトボードに組織図と書かれた模造紙を貼りつけた。


 平安時代より陰陽師を束ねる組織は“陰陽院(おんみょういん)"と呼ばれていた。

 そして陰陽師を育てるために作られた学習院が“陰陽寮"である。

 現在は“星命(せいめい)学園"と名乗っている。


「これが貴様が入学する学園だな。ここでは、二つの学科が存在する。なにかはさすがにわかるだろう? 受験生だものな」

「はい! 鬼狩科と妖怪科です」

「よろしい、正解だ。それでは、どの学科がどの組織に所属するかわかるか?」

「……陰陽院ですか?」

「大まかにいえばそうだ。だが、厳密にいうと違う」


 首を傾げると、ホワイトボードに貼られた組織図の隣に資料が加えられた。


 陰陽院から直線が伸びた妖怪科は、妖怪から一般人の守護を主な活動としている。

 そして、その隣には、緋鞠の知らない名前が書かれていた。


「あかつき……?」

「そうだ。月鬼を狩るための組織、月鬼討伐隊“(あかつき)"。鬼狩科は、暁の所属となる。それも、試験合格後すぐだ」


 唖雅沙が左手の甲を見せる。そこには丸い円に三日月と梅花の紋様が刻まれていた。


「これは封月(ふうげつ)と呼ばれる武器を呼ぶための契約の印だ。月鬼を狩るために、月の裁定者と契約をした証である」

「なるほど……」


 昔、兄の左手に刻まれていた印を思い出す。彼に描かれていたのは、月と菊花だった。


「封月って一人一人、紋様が違うんですか?」

「ああ。月と共に、それぞれ何かしらの意味を持つ紋様が刻まれる」

「花の他には、弓や剣などの武具の類いもあるんですよ」


 唖雅沙の言葉に追加するように、桜木が口を開く。


「桜木さんは?」


 緋鞠がたずねると、桜木は左手の甲を見せてくれた。

 桜木に刻まれていたのは、蝶だった。


「綺麗。だけど、ちょっと意外でした。桜とか、松かと思ってました」


 そういうと、よく言われますと微笑まれた。


「そして、月の裁定者と契約するには、儀式が必要になる。それが、今夜貴様が受ける鬼狩りの試験だ」


 儀式に必要なものは、鬼石(きせき)と呼ばれる鬼の力を封印した石と、契約するための術式である。

 試験は、星名学園に隠されたその二つを探し出し、裁定者との契約を完了させることだった。そうすることで、月鬼を倒す力を手に入れることが出来るのだ。


「ただ探すだけではない。妨害のために傀儡を使用させてもらう。そいつらを術や武器で倒してもいいし、逃げてもいい。あらゆる妨害から身をかわし、契約を完了させた者を合格者とする」

「……よくわかりました」


緋鞠はぎゅっと拳を握って、緊張した面持ちで唖雅沙を見た。これまで、緋鞠が独自の方法で頑張って来た成果が試されるときだ。

 顔が強ばっている緋鞠を、桜木が安心させるように目を細めた。


「緋鞠さんなら大丈夫ですよ。制限時間は二時間もありますし、それに怪我もしませんから」

「え?」

「鬼狩り試験は、夢繋(ゆめつな)ぎという術を使用して、霊体で参加していただくんです。霊体で受けた傷ならば、身体には直接の影響はありません。それに、学園には結界が張られているので、月鬼も侵入出来ません」

「そうなんですか」


 緋鞠はほっと息を吐き、肩の力を抜いた。


 怪我もしないし、月鬼の脅威もない。

 何も心配はいらない。


 全力で頑張るだけだ。

 拳をぎゅっと握った。


 今夜の試験に合格すれば、また一歩兄に近づける。

 緋鞠は決意を固めて、まっすぐ前を見据えたのだった。

次から鬼狩り試験編が始まります。

試験中に起きたトラブルにより絶体絶命のピンチに陥る緋鞠は、無事に月の裁定者と契約を交わし、力を手にいれることができるのか。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ