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RE:ACT3

『魔王』オルクインジェが望んだ事はこの世界の破滅と再創世だった。

『魔王』オルクインジェは『魔王』アザトースの世界を支配する力を奪うことで救いのない世界を一度壊し、ゼロから構築し直そうとしたのだ。

その若き『魔王』が望んだ世界。それはーー。



■■■■■■■■■■■■



(…きろ)


「ん…んっ?」


(起きろ、馬鹿め)


眼を覚ますとまた真っ暗な空間にいた。

どうやらまた魔王の所に来てしまったらしい。

ただ、前回とは違って肉が幾分か戻ったのか魔王は仮面のような感じになっている。『魔王の欠片』を回収した事で現れる部分が増えたらしい。


(ふん、『魔王』たる俺が態々賛辞の言葉を言ってやろうというのに来るなり寝るとは呑気なものだな)


「来るなりって…。あれ、そう言えばあの後どうなったんだ?」


魔王が溜息を吐いた気がした。


(あの娘は無事。お前は『欠片』を取り込むも負傷。無様だな。あのまま娘が羽虫を追い払わなかったら死んでたいたぞ)


呆れているのだろうか口調が荒い気がする。けれど…懇切丁寧に気絶してからの事を話してくれる『魔王』というのも何だか少しだけ微笑ましくてついつい口元が緩んでしまった。


(…何をにやけている?馬鹿にしているのか?)


「いやいや、馬鹿にはしてない。ただ…ちょっとだけ意外でさ。ほら、『魔王』って言ったらRPGのラスボスだろ?肩書きとはだいぶ離れてるなと思ってさ」


(馬鹿者、俺は間違いなく『魔王』だ。…確かに大衆の何でもかんでも殺したりというイメージからは若干逸れるかも知れないが…俺は『魔王』なんだ)


何処か影のある声色だった。

それはかつて仲間に裏切られたからか…将又別の要因があるのか。


(前に貴様は俺の過去を見た筈だ。なら俺はこの世界を支配しようとしたのも知っているだろう?)


「ああ、その為に『魔王』アザ某と戦ったんだよな?」


(アザ某…。…まぁそうだ。だが何故俺がこの世界を支配しようとしたのかは知らない。そうだな?)


頷く。

現時点で俺が知ってるのはこの魔王が天使である事、そしてその凄絶な最期くらいしか知らない。


(…俺は理想の世界を作りたかったんだ)


「誰もが幸せな世界、とかか?」


(違う)



(大体の人が幸せな世界だ)


それは誰もが幸せな世界と似ていたが…少しだけ。ほんの少しだけ悲しいと思った。


(誰もが幸せなんて嘘だ。子供の描く未来図か、或いは絵に描いた餅か。どちらにせよそれが実現しないのは目に見えてる。だから、俺は一部を除いて他の大勢は幸せになる世界を作りたかった。…誰も幸せになれないよりは大分良いだろう?)


「誰も幸せになれない世界って…アザ某の支配してた頃の世界はそんなに酷かったのか?」


(酷い)


いっそ清々しくなるくらいの即答だった。というかかなり食い気味だった。

…整理してみよう。『魔王』アザ某王朝の支配が酷くて、目玉王は支配する前に仲間の裏切りに遭い…ん?


「じゃあ、今の世界を支配してるのは誰なんだ?」


(今の世界を支配する黒幕は、俺を罠に嵌めたヤツだ)


「待ってくれよ。ヤツ?単数なのか?」


(…確かに俺を裏切ったのは三人いる。けど全員アイツだったんだ。一人の漏れ無くな)


「三人が…一人?」


…口にはしないがレンジャーモノの三体合体ロボを想像してしまった。


(そいつには気を付けろ。…もし、そいつに出会ったら俺が今度こそ)



(今度こそ息の根を止めてやる…!)


いつもの感情を押し殺した灰色の目は復讐に燃えてギラギラと輝いていた。

徐々に白み始める景色とは裏腹にその光景だけが目に焼き付いて暫く離れなかった。

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