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幻想旅団Brave and Pumpkin【UE】  作者: 睦月スバル
迷宮と聖罰の天使
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出来損ないの天使3

「先ずは説明が比較的に楽な法導協会についてお話し致しますわ」


そう言葉を切ってからオルクィンジェ・レプリカはふぅと息を吐いた。


「先ず法導協会というものは…先程ガブルガの言った通りあの本…経典の教えに基づいて世界の変革を目指す…テロリストですの。その目的はこの地『アスター』の地下に封印、もとい廃棄されたイベントフラグを入手、支配する事ですわ」


廃棄、か。

大体話は読めてきた。イベントフラグを捨てれる人物なんてそれこそ一人しかいない。


「もしかして、ニャルが杜撰に廃棄した災害を起こすフラグ的なものを入手してわちゃわちゃしよう、ってんじゃないよな?」


「イグザクトリィですわ。えぇと」


「清人、俺は…杉原清人だ。先に名乗っとけば良かったな」


「むっ、キャラ被りの予感」


むぅと唸るアニに和みつつ俺のガバ推理が的中したからか驚きを隠せないままでいるオルクィンジェ・レプリカに更に尋ねた。


「じゃあ、次は狙われている理由か。あとヌンについても教えてくれ」


「理由、は…。私の元になった、『セラフィム』のオルクィンジェ様が…『魔王』としてこの世界に君臨していた事に起因しているんですの。とんだ…とばっちりですわ…」


悲しげに語る灰色の少女。

だが、内心は自分ながら引くほど下衆かった。

うん、知ってると言った具合で。


「私は『魔王』のレプリカですから知られたら差別の対象になりますわ。ただ…あの経典には何故かそんな事も書かれているみたいなんですの。故にヌン…『アスター』に住まうフラグ守護オブジェクトに捧げる贄にしようとしているんですわ」


「逃げられないのか?」


だったら逃げれば良いのだ。

贄になどになる道理も必然性もないのだから。

逃げは駄目だと人は言うが案外これが解決策にもなるのだ。


「逃げる事が出来ませんの。というのも鹵獲されたレプリカはニャルラトホテプ・サーバーによって場所を割り振りをされ、情報を提供する為にその場に留まる事が強制されますので」


「なるほど、道理で逃げられない訳だ」


さて、女の子は基本助ける方針は変わらない。


敵は六人、ガブルガ、アラバ、マイクリン、サガラ、名称不明が二人。更にヌンが一体。いずれも実力者であろう。

対してこちらも六人。俺、ジャック、アニ、唯、一、篝。プラスアルファがオルクィンジェ・レプリカ。


数の上では同等だが、ジャックを頭数に数えてしまっている分こちらの状況は悪い。

実質純粋な戦闘員は一と篝のみになる。

アニと俺は戦闘出来るが実力者相手では部が悪い。

そしてジャックと唯はもっと戦闘に向かない。


「やっぱり罠が安定だろうな」


「ん、罠なら任せて。ぴーぴんぐ以外でも下僕の蜘蛛は使える」


「いざ戦闘になれば主にワリャ達の負担が大きいからのぅ。出来ればオルクィンジェにも出て欲しいんやけど、戦えるんか?」


「戦闘用セラフィムのオルクィンジェ様を元に作られましたから大鎌の扱いにはそれなり以上の覚えがありますわ」


とーーオルクィンジェ・レプリカはどこから取り出したのか錆び付いた鎌を取り出し、それを片手で軽々と扱ってみせた。その錆び付いた鎌をよく見ると無茶な使用のせいで刃こぼれは多数見受けられる上に節々に歪みが生じている。


「これ…大丈夫なのか?折れない?」


今にもポキっと折れてしまわないか心配だ。刃こぼれしてる時点で使い手としては明らかに二流に見える。メンテナンスを怠った先は死だ。

何度も武器を壊した男が言うような事ではないかもしれないが、だからこそ心底不安になった。

一なんか本職の都合からか露骨に顔を顰めている。


ーー駄目だこりゃ。


「わ、私の『天地蠱毒』はオルクィンジェ様が実際に使われた物を完全にコピーしたものですわ!だから最初からこのようなデザインなんですの!!決して腕が悪いとか、そう言うものではないんですのっ!!!」


「って言ってるけど一はどう思う?」


一に話を振ると難しい顔をして唸った。


「うーむ、武器として見たら相当お粗末やけど…。まぁ、うん。自己申告やし死んだらそれで終い、使い捨ての肉壁とし…いだっ!!篝!?いきなり無言で腹殴らんといてや!!?」


「…私の連れが失礼した。ただーーそうさな。うむ、…何とも言えないな」


「フォローになってませんの!!?」


「さて敵は六人と一体か…どうすれば…」


「は?」


先程から沈黙を守っていた唯が嘲笑するようなニュアンスでそう言った。


「清人、敵がいつ六人だと錯覚していたのかしら?」


「え?」


唯が背後へ目を向けるとーー泡を吹いた人の山。

その服は六人が着ていた法衣と同じ物。


「清人がたらたら話してるからちゃちゃっと仕事を片付けたわ。昏睡してるから運が悪ければ獣にでも喰われて死ぬでしょうね」


「唯、グッジョブ」


「唯、ぐっじょぶ」


アニが流れで言いーー。


「唯ちゃんNice boat」


おい、なんか違くないかジャック。

いや、場面的に合ってるけれどもね。


「ま、この分は清人に責任持って払ってもらうから覚悟しなさい」


…幻覚だろうか。

あれだ、動物物のバラエティーで出る犬の動画。飼い主の手伝いをしてあげた後に凄く尻尾をブンブン振って露骨にナデナデを要求してくるあれ。

澄ました顔に見えるが仮想の尻尾をブンブン振っているように見えるのだ。


「任せとけ、撫で撫でのうまさはクロ御用達だっただろ」


「…なんで撫でるのかしら。清人って救いようのない変態ね」


「でも助かったのは事実だ」


沢山の法衣。

潤沢なの武器。それを一挙に手に入れたのは正直嬉しい。

ーーそれに付随して案も出てきた。


「さぁて、良からぬ事を始めようか」


「何だか悪者っぽいですわ!!?」

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