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RE:ACT2

短いです。

《『魔王』■ルクィンジェ》


パチリと目を覚ました。

時刻はよく分からないが、辺りは暗く黎明には程遠い。

ベットから身を起こすと装備一式を身に纏い軽く伸びをする。


「こんな夜更けに何処に行くつもりだい?」


俺は夢を見ている。

フワフワしてて、あやふやで、曖昧模糊とした夢を。四肢は羽根のように軽やかで気分も何処か虚ろだ。トランス状態と言えば分かりやすいか。ジャックの声もどこか輪郭が無くボヤけている。


「決まってるだろう?ゴブリンとオークを率いて街を全部蹂躙するんだ。そうしたら、次は今度こそ世界を破滅させる。邪魔するなら…斬る」


俺は夢を見ている。

冷たい冷たい感覚が現実感を奪い去っていく。これは夢だ。胡蝶の夢に近いか。

俺が誰かになっているのか、それとも誰かが俺になっているのか。はて、どちらか。


「ッ、キミは人々を救済することこそを尊んだはずだ…ッ!どうしてそんなにも歪んだ!!世界をどうしてそんなにも憎むッ!!」


俺はまだまだ夢を見ている。

歪んだ、とな。それはどちらの話だろうか。俺のあずかり知らぬ誰か様か、将又俺の事か。

どちらかの判別は付かない。


「こんな世界に救う価値はあるとでも言うつもりか?いや、そうだな。昔はあった。認めよう。しかし、今はありはしない。心象は穢れに充ちて、頼れる仲間は裏切った。これが成れの果てだ。分かるだろう?」


「…清人をどうするつもりかな?」


「こいつは…俺だ。こいつをどう使おうが俺の勝手だ。が、…悪いようにはしない。この『魔王』が言うのだ間違いは、無い」


「…『魔王』にも自重を覚えて貰わないとねぇ。あぁ、それともこの名前はご不満かなぁ?」


「……」


「ねぇ堕天使『オルクィンジェ』」


そしてーー夢が覚める。


■■■■■



「あれ、俺寝相悪過ぎ!」


見かけない天井だ。とは言わない。

昨日の宿だ。但し天井が矢鱈に高いし何故か床で寝ていた。

ほうれん草ずくしを食べてキチンとベッドで寝てドアの前で起きる。

何が起きた?


慌ててジャックを叩き起こす。


「ジャック!おいジャック!!起きてるか!」


「うぅん、眠いからパス」


むにゃむにゃと俺のベッドを奪って呑気に寝ているジャックの南瓜頭に肘鉄を食らわせると昨夜のあらましを聞くべく詰問の体勢をとった。


「ジャック、正直に言ってくれ。俺どんな寝相してた?」


「うーん。覇気を纏いながら白目でブリッジ移動してたねぇ。気持ち悪かったよぉ?」


どこのB級ホラーだろうか。下手したらSANチェックまである。

もしかしたら『ねごと』が俺のチートな可能性が浮上してきた。

いや、流石にそれをチートとは呼ぶまい…呼ばないだろう?


「俺の寝相って…そんなに悪いのか…」


「それよりハールーン。良いお知らせと悪いお知らせがあるよ」


急に話題を逸らすようにジャックが口を開き、目線でどっちが先が良いかを問うてくる。


「じゃあ、先に悪い方頼む」


「金がそろそろ尽きる」


「知ってた」


本格的に仕事しないとヤバい…。

このままではギルド会員(※ストロングニート)となってしまう。それは宜しくない。

で、良い方は?と促すと。

ジャックはニヤリと口元を綻ばせーー。


「二つ目の『魔王の欠片』が出現したよ」


対する俺は初めての冒険の予感に胸を熱くするのだった。

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