金策・熱闘・闘技祭5
100話!20万字突破!!★イエイ!!
闘技祭準決勝、チーム『クズ』ケイト、アリスのペアとの戦う事が決定した。
…いや、ぶっちゃけると『優勝したら結婚』のヤクヤとモシヨと戦いたかった。
名前からして勝ちフラグの匂いがプンプンするし。
さて、次の対戦相手だが、チーム名が『クズ』ってところから明らかに何かしら下衆い事をおっ始める気がしてならない。
果たして勝ち抜けるのか。
相手の様子を伺う。
ケイトは男、アリスは女の子。
ケイトの方は軽装備で身体つきも典型的なインテリ派、どちらかと言ったら策士タイプか。真っ先に叩くには丁度いいマトだ。が、…『クズ』だしそれも織り込んだ上で何がやらかす可能性が高い。まあ、予測ですらない妄想だからそこまで当てにはしないが。
取り敢えず、防御力は低いとだけ考えていれば良いか。
対してアリスは…アリスもそこまで動きそうにない。軽装備で腰に付いている鞭がメインウェポンだろうか。鞭がミスリードで暗器使いもあり得る。あと、若干胸が大きい。
「…?」
はっきり言ってチーム『クズ』は顔面偏差値が高くてインテリ系で紙装甲って位しか特筆した部分が無い。
俺達が負ける要素は無いはずだ。
なのに、何故こんなにも不安になっている?
勝てるなら良しではないか。
準決勝は特設ステージをそのまま利用して行う。十キロ四方の正方形、見晴らしは最高で凹凸は無し。
ステージは戦う前に係員によって罠等が無いか入念にチェックした後に戦闘。
……。
いや、まさかな。流石にインテリ系がこんな頭の悪い手を使うとは思えない。
初見殺しには充分だが、対策を練る上で臨む決勝で勝てなくなる。
ステージのチェックの時間だ。
さて、よく見てみよう。
「……いや、案の定かよ」
俺は一人苦笑を漏らした。
「篝」
「何だ?」
「この戦い、俺に任せてくれないか?」
そして俺は、篝に笑顔で悪知恵を授けた。
さぁ、勝てる戦いをしよう。
■■■■■■■■■■■■
「準決勝第一試合!『クズ』ペア、ケイト、アリス対『旅狂』ペア、清人、篝!!開始ッッ!!」
敵の初手はきっと…会話に走るだろうな。
「本日はお日柄も良く」
先手を取って俺が喋ってやる。
これには二人も目を見開いた。これが時間稼ぎになるか、将又ブラフか考えているのだろう。
「お、おう?良いな?」
「いやぁ、準決勝って初参加なもんでドキドキしっぱなしでどうも落ち着かなくてな?」
「?」
事実をのべよう。今、俺たちが立っている場所以外。
大体全部落とし穴がある。
と、言うのも。
係員に扮した二人が第四魔素辺りで地面を弄ってるのが丸見えだったのだ。
そこから俺は二人が『遅延に走って焦れた所を突撃してくる敵を落とし穴に嵌めてタコ殴りする』戦略と見た。
だから、先に方針を変えた。
利用して勝つ。
敵が遅延に走るならこっちは逆にタメの長い魔素消費技を用意してブッパするだけで良い。
その意図を悟られないように今は困惑を振りまく為に会話を引き延ばしてイニシアチブを取らせないプレイングを心掛ける。
「まぁ、ここは一つお手柔らかに…」
「何で攻めて来ない?」
「いや、お互い様だろ?」
「……ーーマジで負けるぞ、お前」
改めて周囲を見渡す。
変化は、無い。
「……」
沈黙する。互いに全く動かない。
「……」
「おい、動けよ」
「ちょっと待ってくれ」
あと三十秒位か。
…ブラフ、ね?
「「良し来た!!」」
それはほぼ同時だった。
当然ながら俺が一つの技を用意している間に当然ながら敵も技を用意している。
果たしてどちらが上を行くかーー。
答え合わせと行こうじゃないか。
「『火走改』」
「『汚泥の贋造人形』」
火の柱と泥の津波が真っ向から衝突した。
煙と砂埃が視界を遮る。
「『俊足』」
「『加速』」
踏み出す足場は地面では無い。
「火を足場にッ!?いや、違うな。噴射しているのか」
「別に二つ展開してもおかしく無いだろ?そのくらいの時間をくれたんだ。有り難く使わせて貰った!!」
「成る程」
地面がダメなら空を飛べば良い。
それだけの至極簡単な話だ。
杖を横薙ぎにしようとして。
「まだまだだな」
「!?」
しかしーー杖は泥の人形の腕に止められていた。
「いやー、うん。何と言うか計算通り過ぎて怖いわ。っつーのもお前、落とし穴見破っただろ?アレは別にさして重要じゃ無いんだ。馬鹿が嵌れば良しってな。重要なのはお前みたいな策士擬きがペアに居る事なんだよ」
「…何が言いたい」
「ペアの女、篝?なら落とし穴程度の罠では止められない。だから突っ込んでいれば即座に決着してたよ、俺たちの負けでな。けど、お前が深読みしてくれたお陰で篝は動いてない上に時間と言うアドバンテージをまんまと俺たちにくれた訳だ。滑稽だな」
ーー策士策に溺れる。
「それに、今頃バフを掛けまくったアリスが篝を圧倒してるだろうさ。正に策士策に溺れて墓穴掘りまくりって寸法だ」
…コイツはどうやら周りが見えていないらしい。
どうして『火走改』だけでこんなにも時間が掛かったのかを考察しないのだろう。
それに、俺がいつ仕込んだ技が二つだけと言った?
『…意趣返しか。それにしては八つ当たりのような感じが強い気がするが…下衆の粛清には丁度いい。乗った』
『てな訳で、敵の鼻を明かしてから勝てる戦いを確実に勝とう。だから信じて待ってくれよ?』
篝に授けた悪知恵。ーー待機。
「果たして、それは本当なのかね」
「?」
「いやー、土煙晴れないな。これはどうしたものやら」
「土煙?そんなものとっくに晴れてーー嘘だろ。土煙…いや、これは霧!?」
俺流最強陣地『封殺の陣』。
土石流と火柱が衝突して視界が狭まる一瞬に割り込ませて貰った。
霧、火走改、噴射、封殺の陣の四重展開。これが時間稼ぎの正体だ。
「要するにお前が一つ技を用意する間に俺は四つ仕込める。あとはーーカッコよく篝が決めてフィナーレって訳だ」
水の膜から篝が飛び出す。
「『秋…桜』ッッ!!」
不可視の領域から一発で決める。
それが俺の頭の悪い作戦概要だった。
「どっちがクズなんだよ、負けだ。負け」
観念したようにそう言って、ケイトは吹き飛ばされた。
「準決勝第一試合決着!!勝者、『旅狂』清人、篝ペアッッ!!」




